2016年12月14日水曜日

スポンサード・コンテンツの影響力

(U.S. FrontLine誌 2016年12月号 掲載分)

前々回、現代の情報源となるメディアが発する4種の“情報”:「(本来の)情報」、「プロパガンダ」、「誤報」、「偽情報」について触れました。今年の最後に、我々がメディア(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ放送、ソーシャルメディア)を消費する際の、もう一つの大事な情報形態について、マーケッターの立場からすると複雑ながら、面白い(時には恐ろしい)状況をご紹介したいと思います。

マーケティングとプロパガンダの違い

ご存知の方も多いと思いますが、実は近いところがあります。以前触れましたが、プロパガンダは大げさに都合の良いことだけを、人々の感情や恐怖に訴えかけ、宗教や政治的概念を売り込むことです。広告・マーケティングは、似たような手法を利用し、(人々の悩みや不安、ミーハー心などを操作し、)消費物を売り込むことです。要するに売り手の思惑で売り込むことが、立派に共通しており、しかも企業のプロパガンダともくると、自社に有利な情報を流しつつ、場合により直接の利害関係を明らかにはしません。

以下の例は、厳密にはプロパガンダというより、偽情報に区分されると思いますが、最近とんでもない事実が公になりました:

この50年間、砂糖などの甘いお菓子が持つ健康リスクは、もっぱら脂肪の持つ危険性であると誤認されてきましたが、実は製糖業界が研究者をお金で買収し、調査結果をねじ曲げて、科学論文を発表していたらしいのです。そしてこの誤解により、流行した「低脂肪で糖分の多い食事」は、現在の肥満社会を形成したと言われています。

こういうことが現実に起きているからこそ、メディア・リテラシーはとても重要なわけですが、近年はネイティブ広告を含む、スポンサード・コンテンツの登場で、人が情報源を安全に消化する上でのハードルも、実は更に上がっているのです。

収入減だったメディアの救世主

近年、伝統的広告の収入低下を「スポンサード・コンテンツ」により、補っていくことを図り、かなり成功しているメディアが多いのですが、これは簡単に言えば、情報記事、ビデオ、写真集、ポッドキャストなど、自然なコンテンツを装った有料広告です。

以前なら、新聞や雑誌などに広告を載せようと思ったら、モデルさんと写真家とコピーライターを雇い、広告を作り、媒体の専用広告欄に載せていたと思います。しかし現代の広告ブロックソフトや、人々の広告を無視できる感覚の発達もあり、伝統広告は、そのリーチと影響力が激減し、しかも成果測定も困難であり、広告主にとっての価値が年々下がってきました。しばらく広告スペースを売る側(媒体)と買う側(広告主)も苦しんだあげく、媒体の中に自然に挿入されたコンテンツは、消費者をより説得しやすく、面白い情報として紹介することができる事に気付いたのです。

事実、アメリカにおいては、NewYork Timesを始め、ほとんどの大手新聞や雑誌は、「スポンサード・コンテンツ」を収益の大事な一部と認定しています。

コンテンツ・マーケティングとネイティブ広告

コンテンツ・マーケティングは、消費する側にとって、情報性、教育性など、面白みの高いコンテンツを作り出し、それを活用するマーケティングの手法です。従来のCMや有名人を使った押し売りのキャンペーンではなく、受け手側が何かを得たと感じさせる、有益なコンテンツ、例えばありふれた、非常においしい新しい調理法の特集から、ワンポイントメイクを極める秘訣の画期的なビデオまで、お役立ち情報の中に、企業の商品が密かに取り上げられたり、企業対消費者ではなく、エンドユーザーからの推薦として紹介するといった具合です。「Infotainment」とか「Edutainment」といった、楽しい造語は、現代企業の商品やサービス紹介戦略にますます入ってきています。

コンテンツ・マーケティングは、ブランドの認知度を高めながら、ユーザーとの信頼関係や忠誠心を作り上げるには、有効かつ必要なものになってきており、潜在顧客層にとって有益なコンテンツを作ったら、今度は人目に触れさせる必要があります。

ここでネイティブ広告の出番なのですが、ネイティブ広告とは、その有益なコンテンツを各媒体の体裁に合った形で、違和感なく挿入し、消費者に抵抗感なしで有益情報として消化させる広告の事です。例えば検索エンジンでのキーワード連動広告、Facebookのスポンサード・ポスト、ポータルサイトのレコメンド記事なども全てこれに該当します。

そしてFacebookやBuzzfeedはもちろん、NewYorkTimesですら、社説より、この「スポンサード・コンテンツ」として載せた方が、遥かに影響力を持つとまで言っています。

2016年11月1日火曜日

洗脳 VSメディア・リテラシー②

(U.S. FrontLine誌 2016年11月号 掲載分、一部加筆あり)

前回、この12年間でアメリカのメディアで一番視聴されているFox Newsは、CNN と MSNBC を合わせた以上の視聴者数を誇り、その層の70%弱は、Foxを一番信頼できるニュースソースと考え、他のメディアを全く視聴しない傾向があり、その背後には巧妙な洗脳術があることに触れました。

Fox Newsの実体

運営関係者を見ると一目瞭然で、Foxの元CEOは、歴代の共和党大統領の政治コンサルタントで、現在のトランプ氏の選挙対策委員会(選対)のアドバイザーです。選対本部長も Fox のコメンテーターで、Fox と密接なメディアを運営する人物が選対CEOなど、メディア幹部や関係者が、実は共和党選挙戦略のブレインで固められており、共和党支持、民主党批判の偏向報道ばかりなのは、至極当然なのです。それ故この選挙で、メディア・リテラシーが、どれ程重要であるかを、改めて痛感させられています。

Foxの元CEOは、ディベートコーチの役目が終わる大統領候補最後のディベート当日に、「トランプ氏は人の話の聞く耳をもたなかった」として、選対アドバイザーを降りる宣言をしてはいましたが、いずれにせよ最大の視聴者数を誇るメディアが、特定政党の選対として、自ら率先してサポートしている状況は、冷静に考えると、かなり衝撃的です。

Fox Newsによる洗脳術

分析によると、Fox は大きく「視聴者の隔離」→「敵の創造」→「恐怖による扇動」→「史実の変換」の 4 つを循環させ、その中で様々な洗脳テクニックを駆使しているそうです。

(参考情報: Fox Newsによる洗脳を、研究した例)

1.「視聴者の隔離」は、洗脳の典型的手法で、Fox 視聴者が外部から情報を得るのを遮断します 。「誤った二分法」により、 例えば「( 敵で偽りの )リベラル / 主流メディアの情報」or(味方であり正しい)Foxの情報 」という究極の2択を迫り、仮にネット上 の情報で、Foxの報道に疑問を感じても、それは“リベラル/主流メディアが、悪意の操作 をしている”、 というようなフレ ーズを、しつこく繰り返し、そう信じ込ませます。

更に仮説や信念を検証する際に、それを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視、または集めようとしない「確証バイヤス」や、矛盾を抱えた際の不快感を解消する為に、自身の態度や行動を変更する「認知的不協和」の心理と、信仰心も利用し、Foxの主張=正しい信仰に基いた神の主張、Foxを否定=神への否定かのような行為として浸透させているとか。

「認知的不協和」の分かり易い例:
喫煙者にとって、肺癌になりやすいという認知は、自身の行為に矛盾を感じさせるので、喫煙者で長寿の人もいれば、交通事故での死亡率の方が高い、など新たな認知を加えると、矛盾を弱められます。煙草会社の主張は、「喫煙者が肺癌になりやすいのは、煙草が原因ではなく、ストレスを抱える人がそれを和らげるために喫煙しており、肺癌の要因はストレスであり、煙草との因果関係はない。」

2.「敵の創造」は、論理思考を除去するのに都合がよく、家族・国・神を守るFox視聴者は、正直でピュアな善のグループ、リベラル・エリートなど、それ以外は皆悪のグループと規定し、例えばキリスト教はこれらの人々から攻撃を受けているという構図を創り上げます。

本来言える立場にいない側が、自分に言われていることを相手に被せていく「フリッピング」で、例えば黒人の人権保護主張を、逆に白人差別だと非難するなど、問題は相手側にあると片付けたり、警官による黒人射殺事件では、( 白人ならまず撃たれ得ない ) 被害者を、誹謗中傷にて相手の立場の正当性を無くし、無理やり悪者にし立て、“殺されても仕方なかった”と消化したり、少数の行動からグループ全体をネガティブな存在に規定した「スケープゴート」により、例えば“イスラム教徒は皆テロリスト”というように、偏見や敵を確立します。

3.「恐怖による扇動」は、独裁者やカルト教祖が人を支配する上での常套手段です。恐怖は、脳の理性を処理する部位をバイパスして、動物的反応を司る視床下部へ直接伝達される為、理性を失わせた行動をさせるのが特徴です。

例えば“不法移民は犯罪者ばかりで危険”だとか、“職を奪ったり、福祉受給が多く、自分達の生活を脅かしている”という「ステレオタイプ」を増幅させて、不平等や差別も許される根拠へ展開します。(不法移民の犯罪率は特別高くなく、福祉受給割合など実は白人も多く、不法移民に割かれる税財源など数パーセントで、逆に彼らがもたらす経済効果により、社会保障の財源も破綻していないという事実があります。)

4.「史実の変換」も偽情報を流して頻繁に行われ、Fox視聴者には、“オバマ氏はイスラム教徒で、米国生まれではない” “地球温暖化はただの陰謀”などと、本気で信じている人が多いのも、見事な洗脳成果です。

視聴者を恐怖で煽り、戦時中の国民さながらに怯えさせ、理性を奪い、身を守るためと錯覚させるこのやり口は、ナチドイツのナンバー2が「誰も戦争など望まないが、攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては、愛国心が欠けていると非難すればよい」と言っていたのを思い出して、ぞっとしました。

2016年10月3日月曜日

洗脳 VSメディア・リテラシー①

(U.S. FrontLine誌 2016年10月号 掲載分、一部加筆あり)

アメリカのトップ1%(実質的には0.1%)による富の支配が騒がれるようになってから、随分経ちます。所得格差の是正は、今回の選挙でも1つの争点になっているはずなのに、相変わらず、富裕層や大企業への減税、租税回避の実質的放置、相続税廃止など、本来なら所得格差を拡大させるだけの政策を掲げる共和党ですが、いつも通り支持率で民主党と拮抗しています。トップ1%の方々だけならまだしも、なぜ半数近くも、いつも安定して支持を得られるのか? そこにはあるメディアの秘密が関係しています。

メディアが発する4種の“情報”

仕事柄、マーケッターとして人の心理を分析し、警戒心を解き、効率的に広告やブランドイメージを浸透させることを研究しているだけに、選挙では、逆に人のメディア・リテラシーの低さが恐ろしくなります。メディア・リテラシーとは、『無数の情報メディアを読み解いて必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き、活用する能力』です。私たちはメディアを通じて、日々様々な“情報”に触れているわけですが、そこにはどれくらいのプロパガンダが含まれ、洗脳の危機に晒されているのかに言及します。

ジョンズ・ホプキンス大学の、効果的なリサーチを行う為の研究生向けガイドラインによると、情報は、大きく「(本来の)情報」、「プロパガンダ」、「誤報」、「偽情報」の4つに分類されるとのことです。

「情報」の基礎単位はデータで、我々が既に持っている情報に、その新しいデータを足し、分析をすることによって、知識に変えることができる可能性のあるものです。

「プロパガンダ」は、主張者にとって有利に働く、選りすぐられた「情報」データを加え、更に受け手の態度や感情を煽って、深層心理にまで訴え掛け、意図した主張の説得や洗脳を試みる行為です。見分けるにあたり、感情を煽ったり強調されたりした部分をすべて取り除き、「(本来の)情報」だけを抜き出すことは有効です。

「誤報」は、都市伝説的な情報です。見分けるのはとても難しく、自分で様々なソースを見て確かめるしかないのですが、とにかく鵜呑みをしない事が重要です。

「偽情報」は、悪意を持って嘘の情報を作り上げ、それをベースに論理的な説得や洗脳を試みる行為です。見分け方としては、情報を提供している側のバッカーや関係者の国、団体、個人を確認し、その情報が引き起こす心理操作により、誰が得をし、誰が損をするのか? 裏の意図を確認する事で、判断できる可能性があります。

典型的な例では、 “イラクが大量殺戮兵器を持っている”という「偽情報」により、世論も操作して、ブッシュ前大統領によるイラク戦争が開戦され、推定120万人が死亡しました。

洗脳はどの様に成されるのか?

所謂インテリ層と、非インテリ層では、メディアとの向き合い方や活用の仕方が全く異なってきている事が判明しており、インテリ層の場合、様々なメディア(CNN、MSNBC、CBS、ABC、PBS、NBC他)のソースから、幅広く情報を得ているのに対し、非インテリ層は、特定のメディアのみを視聴する傾向が顕著になっています。

その特定メディアは、この12年間で、アメリカにおいて一番視聴されており、CNN とMSNBCを合わせた以上の視聴者数を誇り、今年の共和党予備選の討論会では、240万人もの視聴者数を記録しました。そのメディアとは、Fox Newsです。

Foxの視聴者層は、実に70%弱がFoxを一番信頼できるニュースソースと考えており、(他メディアでは最大でも30%未満)、他のメディアは全く信頼せず見ない傾向が強く、なぜこんな極端な状況になっているのか、実は様々な研究・分析がなされており、聞いてみると巧妙ながら、とても恐ろしい裏の仕掛けがありました。

(Fox Newsによる洗脳を、研究した例)

まずFoxだけを見る様にさせる「視聴者の隔離」ですが、実は洗脳の典型的手法の一つだそうで、この状況を作り出す為に、色んなテクニックが駆使されており、学術的に、「誤った二分法」と呼ばれる、不必要に究極の2択を迫るのもその1つです。

本来なら複雑な問題を、単純化し過ぎることによって、実際には他にも選択肢があるのに、2つの選択肢しか考慮しない思考を生み出します。例えば「Foxという(あなたの味方で正しい)ソースから情報を得るか、他のすべてのリベラル系の(敵で偽りの)ソースから情報を得るか」という選択を迫るわけです。視聴者が外部から情報を得てしまうと、誤報や偽情報が露呈してしまう為、「誤った二分法」による「視聴者の隔離」は、洗脳には不可欠だとか。

その他、「視聴者の隔離」をより強固にさせる、「フレーズの繰り返し」や「認知的不協和」、「確証バイヤス」と呼ばれるテクニックも駆使されており、次回、具体例も交えて、詳細に解説しますが、上記はFoxの洗脳手法のうち、まだ1/4程度の話なので、本当に恐ろしいのです。

2016年8月31日水曜日

ポケモンGO

(U.S. FrontLine誌 2016年09月号掲載分)

今巷で大人気の、ポケモンGOというスマートフォン(以下スマホ)用ゲーム、私は正直それ程興味はなかったのですが、パートナーがかなりハマっており、色々聞かされたり、付き合わされたりした中で、素直に感動した事や興味深いと感じた事を、書かせてください。

前身はGoogle内のスタートアップで、昨年独立したNiantic社が開発していたIngressという、スマホ用のオンラインの位置情報のARゲームで、新しい地域を冒険し、運動にもなり、他のユーザーとも繋がりを持つというコンセプトに、現実世界とポケモン(ポケットモンスターの略で、漫画のキャラクター )との共存体験を実現する構想として、Googleや任天堂も出資しました。

既にご存知の方も多いとは思いますが、一応ゲームの概要を説明すると、プレイヤーは、ポケモントレーナーとして、現実世界でポケモンを探して歩きまわり、ポケボールと呼ばれるカプセルを投げてポケモンを捕獲し、最終的に約150種類ものポケモン図鑑を完成させるというゲームです。

ポケボールは、マップ上に現れるポケストップと呼ばれる特定の場所で、様々な道具と共に手に入ります。ポケストップは、世界中の名所やスポット以外にも、Ingressでユーザーから集められたデータも活用され、例えば近所でもマニアックなアートスポット等もあり、行ってみると、「ヘェ〜こんな所あったんだ」的なプチ感動をする事もあるとか。

図鑑を完成させるために、ポケモントレーナーとしてのレベルを上げる必要があり、たくさんのポケモンを捕まえたり、予め3つのチームに分かれたトレーナー同士が、特定の場所にあるポケジムで、敵チームとポケモンを戦わせ、鍛えるなどします。

このゲームは意図されたコンセプト通り、ユーザーをとにかく歩かせて、運動不足を解消させます。因みにパートナーは、始めてから約3週間で、112km歩いており、私もそこそこ付き合わされました(汗)。世の中の肥満問題の解決策として、誰かが考えたのなら、本当に見事で、引き籠りがちだった人が、外に出る様になったというニュースも多々見ました。

現実のコミュニティを作る

老若男女、人種問わず、それこそ障害者までもが、共通の話題で盛り上がれるのは、実に素晴らしく、今の大統領選の某候補が、恐怖や憎悪、偏見を煽り、国民を分断させるような動きをひたすらとっている様な世の中において、このゲームのコンセプトは、実に平和的で、健全かつ気持ちのいい世界感だなと思いました。

パートナーがポケジムでバトルをする際に、10歳位の見知らぬ坊やと味方チームになったそうです。周りにいたティーン達が敵チームと分かり、明らかにがっかりされたらしいのですが(笑)、いざ戦いが始まると、パートナーのポケモンは強かったらしく、ティーン達から「うわっレベル22だ、誰だ強ぇ、勝てね〜」と思わず動揺が聞こえ、この味方の坊やが急に誇らしげになり、ハイタッチして来たとか。

会社の近くで、同じくポケモン探しをしていた自閉症の子供に、熱く話しかけられたり、見知らぬユーザー同士でも、年齢差も40歳以上ありそうでも、ごく自然にこのゲームネタで、軽い会話が生まれている光景も何度も見ましたが、これって凄いなと思いました。

マーケティングにも有効だが

ポケストップには、当然ユーザーが集まりますし、お金でも買えるルアーを付ける事で、より多くのポケモンが集まるため、色んなビジネスが客寄せにも使えます。日本では既にマクドナルドと提携している事がバレていますが、ビジネスによっては、新たな集客ツールとしても十分に活用できそうだと、当初から思っていました。

ただ先日、仕様変更があり、パートナーが激怒していたのですが、今迄あったポケストップやポケジムの多くが、急に消されたのです。またポケモン捕獲の失敗率も、あからさまに上がりました。恐らくこの大反響に乗じて、収益モデルの本格化が一気に進み、有料サービスの強化が、提供者側からはかられているのでしょう。

ゲーム自体は 無料なので、ゲームを優位に遊べる有料アイテムの購入(In-app-purchases)が主な収益源なのですが、不具合もあり、返金を要求しようにもその手段がないなど、本来ならゲーム市場から撤廃させられてもおかしくない程、未整備の一面もあり、そこへ来て、ファン心理を踏みにじる仕様変更なので、今後が気になります。

以下、パートナー談です。「時代なのか大人になったからなのか、見知らぬ人は、警戒するのが当たり前になったが、子供の頃は、周りは皆ポテンシャルの友で、分け隔てなく、どこか繋がりも感じていた。この夏の1カ月位、まるで昔の夏祭りのように、子供から大人までもが、夜遅くまで夢中になって、しかも安全に遊べた感覚が、本当に懐かしかった。ありがとう。仕様変更前のゲーム」(その後、ポケモン捕獲の失敗率は、改善された様です。)

2016年8月9日火曜日

日米のWebサイトの違い

(U.S. FrontLine誌 2016年08月号 掲載分)

前回は、日本から欧米市場へ進出される企業の英語サイトでよく見られた、いくつかの共通点について触れました。一言で言えば、相手に対する尊重の無さの問題でした。

誤字や大文字・小文字の不統一、スペース規則無視など超基本事項をはじめ、ロジック的にうまく整理されておらず、短いセンテンス1つ理解するにも、かなりの努力と労力を必要とするなど、英語のネイティブからすれば、そこに掛けられた努力やケアの乏しさが透けて見える為、本気で英語圏の顧客を欲しがっているとは思えず、雑に扱われている感覚になるという話でした。またそうした雑な英語サイトは、近年、コンテンツの質を特に重んじるようになった主要検索エンジンからは、罰則を受ける可能性もあります。

今回は、そうした初歩的英語の問題は脱しているけれども、販促にはほとんど繋げられていない英語サイトの傾向について、お話しします。

取説とマーケティングの違い

技術的にもユニークで、世の中の役に立ちそうでいて、需要もありそうな、とてもポテンシャルのある商材を扱う日本企業から、以前、既存の英語のサイトのリニューアルについて、問い合わせがありました。

そんな素晴らしい商材だったのですが、サイト上では価値や興味、インパクトが全く伝わって来ないので、まるで取り扱い説明書を読まされている感覚になる、というのが、当社のネイティブのマーケッターたちの評価でした。

英語的に意味は取れるものの、人の興味を募ろうとか、競合と比べて、こちらを是非使ってみたいと思わせる、何らかの説得され得る理由を一切提供してくれないので、好意的に何かはあるはずだと、むしろ説得されたがって読んでいたのに、結局何も見つけられず、逆にイラっときたそうです。


日米の商習慣的な違い

商習慣的な違いも、もしかしたら災いしているのかもしれません。日本では基本、謙虚さはポジティブに評価され、他社批判など御法度ですが、アメリカは、真逆で、他社批判ありきみたいな所があり、大手は名指しも時にはしますし、相手会社を比喩で貶すことは多々あります。

例えばクールな Macという人物が、ダサくておやじ風のPC君を、色んなテーマでこき下ろすApple社のキャンペーンなどは有名です。

またブランドをとりまく環境も大きく違っています。日本では担当者が、人との繋がりを地道に築いて信頼を構築する、昔ながらのスタイルがまだ割と残っていると思います。

今でこそ終身雇用は崩れてきたそうですが、それでもひとつの会社へ長く勤める人も多く、従業員の会社に対するロイヤリティは強い傾向があり、すばらしいとよく感心させられるのは、自社の製品に誇りを持ち、例え膨大な品種があっても、実に広く深い知識を持つエキスパート的な担当の方々が、何人もいることです。

そうした人たちが、対外的に商品やサービスとは別の次元で、ブランドを形成しているとも言えます。

一方アメリカでは、数年で転職は当たり前の世界ですので、担当者はコロコロ変わり、各担当の会社へのロイヤリティも低く、従業員を雇っても、商品やサービスについて、十分な知識を持ち、愛着が沸く前に、もう居なくなっている、みたいなケースがほとんどかもしれません。

それこそ、顧客としてごく当然な質問をしているつもりでも、まともに返されず、分からない、ウェブにはもしかしたら載っているかも、といった残念な対応に出会う経験を、ほとんどのアメリカ在住の方なら、されているのではないでしょうか?

米系企業において、ブランドを形成しているのは、ほとんどの場合、人の要素はなく、商品や会社と言えます。

Webサイトがベストな営業マン?

つまり人もブランドを代表する日本と、会社のみがブランドを代表するアメリカ、みたいな違いがあり、その会社をWebサイトが代表するので、ベストの営業マンを安定して唯一確保する方法があるとすれば、企業のブランディングサイトを構築することになります。

米系企業の場合、例えどんなスモールビジネスであっても、企業ブランディングは意識されており、Webが効果的なジャンルの企業ほど、十分な情報提供に加え、潜在顧客層に刺さる訴求力をもった企業のブランディングサイトが、マーケティングを行っていく上で、非常に重要な位置づけという認識であり、日本とはその意味と存在意義に、大きく温度差があるように感じます。

日本の場合、良くても情報が充実したサイトという印象ですが、アメリカの場合、必要な情報の提供もさることながら、良くできたサイト程、テレビCMでも見ているかのような、インパクトや訴求力を感じさせます。

日本とアメリカの文化・価値観の違いなど、こちらでも説明していますので、併せてご参照ください。英語ウェブサイト制作について >>>

2016年7月21日木曜日

欧米の顧客が獲れない理由

(U.S. FrontLine誌 2016年07月号 掲載分、一部加筆あり)

多忙にて半年ほど、休載を頂いておりましたが、原稿の締切に追われない生活は、本当に素敵でした(笑)。とりあえず半年ほど、またお付き合いください。

最近、日本からアメリカ市場など、欧米進出を画策されている企業からの問い合わせをたくさん頂きます。日本の景気低迷、もしくは市場の閉塞感からか、新規市場を求める企業が増えているのかもしれません。

英語圏の顧客獲得が困難な理由として、文化や価値観、言語の違い、挙げればきりがないのですが、ほとんどのケースは、それ以前の極めて基本的な問題で失格していると言えます。それは「相手に対する尊重」の欠如です。

先日も何件か、現行英語サイトのコンテンツの質や進むべき方向性など、コンサルティングサービスとして、色々とフィードバックをさせて頂いたのですが、当社のネイティヴのマーケッターたちの指摘が、日系企業のグローバル展開で、よくありがちな問題にかなり共通していたので、可能な部分で、少し共有しようと思います。

スタンスは、見透かされる

サイトデザインはモダンで、レスポンシブWebデザイン(モバイル対応サイト)になっており、他の競合のスモールビジネス感溢れる、古いサイトと比較すれば、明らかに大手の先端企業のイメージ。

ところが、マーケッターの総評は、「英語のネイティブのクライアントを、本気で獲りたがっているようには見えない。誰かがパッションを持って仕事をしてくれる気がしない。高いクオリティのサービスは期待できない」といったネガティブなものでした。

理由は複合的でしたが、一言で言えば「英語の雑さ」で、トップページからも、直訳もしくは非ネイティブ英語があまりにも目立つとのことでした。

具体的には、(日系企業で軽視されがちな)誤字や大文字・小文字の不統一、スペース規則無視などが多々ある上、ロジック的に整理されておらず、短いセンテンスひとつ理解するにも、かなりの労力と努力を必要とするらしいのです。

コンテンツに掛けられている、努力やケアの乏しさ、ビジネス上での英語(サイト)のプライオリティの低さが透けて見えるため、ネイティブからすると、本気さ・尊重を全く感じられず、舐められ、雑に扱われている感覚にしかならない、という指摘です。

完璧な英語が必要か?

一般的に、提供している商品・サービス・技術が唯一無二、もしくは希少価値があり、競合が全くいなければ、たとえ英語サイトの質が酷くても、ビジネスが成立する可能性は高いと言えるでしょう。ただそういうビジネスは稀で、特にオンラインでは、基本的に同業他社の大半が競合となり、その中から、選択肢に入れて貰えるかを競うことになります。

デザインも古く、決してモダンとは言えないような競合サイトでも、タイポもあり完璧な英語ではなくとも、スムーズでよく整理され、その分野の専門性を感じさせたり、人間味やパッションを感じさせたりすると、非ネイティブながら一生懸命何かを伝えようと、ベストを尽くしているのが伝わってくるため、真面目さや誠実さも伝わり、好評価でした。

重要なのが、「英語が下手であっても、それは相手の人格や仕事っぷりの評価ではない」ことです。アメリカに住んでいれば、誰でも実感できると思うのですが、内容がクリアにさえ伝われば、たとえ完璧な発音や文法でなくとも、相手に咎められるわけでもなく、ごく自然にやり過ごすことができるはずです。

見た目も文体もクールな、大手のブランディング路線の場合、そこに拙い英語が来ると、逆にコンテンツを雑に扱っていると受け取られ、英語圏の潜在顧客への細かいケアもなく、(大手の横柄な企業体質的)ネガティブな印象を際立たせることになります。

大手のブランディングであれば、雑さは許されず、完璧さを要求されますし、スモールビジネスであれば、謙虚さや愛嬌、パッションを感じさせると刺さる場合があり、自社がとるべき路線を正しく見極める必要があります。

英語の質とSEOとの関係

多くの誤字や機械翻訳を含む、拙い英語のページは、実はSEOにも色んな悪影響を及ぼす可能性が高く、例えばページを量産するために機械翻訳を多用する、一昔前のスパム手法があり、図らずともその類のページと、検索エンジンに見なされる可能性があります。

また英語のネイティブが、拙い雑な英語ページへ訪れた場合、そのまま離脱する可能性も高く、サイトの滞在時間も短くなりがちです。それらは、コンテンツの品質評価をかなり重要視するようになっているGoogleから、ロー・クオリティ・スコアとして、罰則を受ける可能性が高いのです。

販促用の英語ホームページ制作における最大の課題など、こちらでも説明していますので、併せてご参照ください。英語Webサイト制作について >>>

2016年6月23日木曜日

クラウドファンディングとバイラル

(U.S. FrontLine誌 2015年09月20日号 掲載分)

クラウドファンディングという用語を聞くようになってからしばらく経ちます。群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、要は不特定多数の人から、インターネットなどを通じて、個人や組織が資金提供や支援などを得る行為を指します。資金調達を実現する場、つまり群衆とプロジェクト立案者を引き合わせるプラットホームとしては、kickstarterやindiegogoなどが有名です。

多額の資金が必要な製品開発やイベント開催でも、ネットを通じて、不特定多数の人に、比較的低額な出資を呼び掛け、一定額が集まった時点で、プロジェクトを開始させることが可能になり、資金調達のハードルがかなり下がったことや、アイデアによっては、不特定多数の人の目に、プロジェクトの本格展開前から露出でき、バイラル(口コミ)になることもあり、銀行やベンチャーキャピタルには相手にされないようなスタートアップ企業やクリエーターでも、容易に起業でき、成功できるチャンスが広がったと言えます。

クラウドファンディングには、資金提供者に対するリターン(見返り)のタイプが大きく3つあり、寄付、投資、購入(プロジェクトが提供する何らかの権利や、物品を購入することで支援を行う)に分けられます。その中でも寄付のタイプは、寄付額によってさまざまな特典を与えるものがあり、中にはそのユニークさやユーモアだけで、時々バイラルになることがあります。

昨年、こういうアイデアと実践力をもっと自分も持つべきだなぁと陰ながら自省させられた、ある有名なバイラルになったネタというか、”プロジェクト”があります。ご存知の方も多いかもしれませんが、一応ご紹介しておきます。

プロジェクト名は「ポテトサラダ」

ザック“デンジャー”ブラウンと名乗る人物が、kickstarterにて立ち上げたこのプロジェクト、中身は、これだけです。「Basically I'm just making potato salad. I haven't decided what kind yet.」(基本的には、ただポテトサラダを作る。まだ種類は決めてないけど)。

通常なら、資金調達のための広告代理店が制作するプレゼン用動画などがくるのですが、基本はテキストだけでした。

用意された報酬としては、1ドルの寄付で、彼のウェブサイトに名前が掲載され、調理時に名前を大声で呼んでもらえ、2ドルの寄付で、(上記に加え)調理風景を撮影した写真が貰え、3ドルなら、(上記に加え)ポテトサラダを少量送ってくれるとか。5ドルなら、(上記に加え)希望食材をサラダに加えてくれて、10ドルなら、(上記に加え)実際の調理場へ見学に行けるなど、とにかくネタとしか思えないものばかりでした。しかしこれがネットユーザーには受けて、大変な反響を呼びました。

当初の目標額は10ドルでした。それに対して、反響を得ると共に報酬内容も多少スケールアップさせていきましたが、最終的には6911人のバッカーズ(支援者)を募り、実に5万5492ドルを獲得したのです。もちろん、いろんなメディアにも取り上げられ、大きなバイラルになったのも大きかったにせよ、繰り返しますが、これはある無名の個人が、ただポテトサラダ作りに初めて挑戦するというだけの話でした(笑)。最終的にブラウン氏は、ポテトの一大イベントを開催し、イベント収益や既に得ていた2万ドル近くをチャリティーに寄付したそうです。

実際の「ポテトサラダ」のページはこちら>>

国の破産をも救える?

最近で言えば、15億4000万ユーロの債務を抱えて返済期限が迫っていたギリシャの財政破綻が話題になっていましたが、あるイギリス人男性が、やはりクラウドファンディングでギリシャを救おうと、indiegogoにて、「Greek Bailout Fund(ギリシャ破綻救済基金)」というプロジェクトを立ち上げ、寄付を募っていたのが話題になりました。

目標額は16億ユーロで、報酬は、3ユーロでギリシャ首相からのポストカード、6ユーロでフェタチーズとオリーブのサラダ、10ユーロでウーゾ(ギリシャのお酒)の引換券、25ユーロでギリシャワインなどの引換券を、160ユーロでギリシャ特産品の詰め合わせを、送料別で送るとか。5000ユーロならギリシャのペア旅行、100万ユーロなら、ヨーロッパ市民、特にギリシャ市民からのありがとうだそうです。

彼の主張としては、16億ユーロは高額に感じるかもしれないが、ヨーロッパの全員が、1人3ユーロでも寄付すれば到達できるそうで、3ユーロと言えば、イギリスでビールグラス半分の値段でしかないという発想で、事実、8日間で何と10万8654人もの寄付を募り、193万577ユーロも集めたそうです。

結局、この試みは目標額には届かず、返金したようです。今のネット時代は賛否両論あるとは思いますが、クラウドと適切に作用することで、健全かつ有益な活動のチャンスが生まれたことは、素晴らしいことだと思います。

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