バイラルにおける雑感 ①
(U.S. FrontLine誌 2013年12月05日号 掲載分、一部加筆・編集あり)
バイラル(口コミ)マーケティングについて、本稿でも何度か話題にしてきました。以前お話ししたように、資本主義化が超加速してきた検索エンジンを中心としたウェブマーケティング世界の現状から考えると、特に中小企業にとっては、今後しばらく救世主になるであろう
Facebookを中心としたSMM(ソーシャルメディア)マーケティングに加え、このバイラルマーケティングを併用することで、最大限の成果を得ようとする試みが、生存へのキーになっていくと考えています。
ただ、これはマーケティングの最先端を行くアメリカにおいても、まだまだ新しい手法であり、それこそ米系の広告代理店ですら、ほとんどキャッチアップできておらず、完全実力主義、小手先のごまかしが一切効かない世界なので、ハードルは極めて高いのですが、逆にチャンスも可能性も十分に残っているといえます。
わが社も既に数年前から、自社とクライアント用に、本気で取り組んできて、その過程でいろんな厳しさも手ごたえも感じてきたのですが、確実に機は熟しつつあると感じています。そこで、実例を少しだけご紹介します。
まずは自社のためにやっていた
実はわが社が提供しているほとんどのサービスは、もともと自社のために行ってきたもので、それらに磨きをかけ、昇華させたものをクライアントへも提供するというスタンスをとってきました。
SEO(自然な検索結果での上位表示)も、PPC(キーワード連動広告)も、自社サイトでの収益効果を追及したのが始まりです。オンラインショップも、始まりこそあるクライアント用に構築したものでしたが、現在では2つの自社ショップを運営しています。
またソックス専門の自社オンラインショップのFacebookページのファンが、現在では10万人以上いるのですが、これももともとは、できるだけお金を掛けず、創意工夫と最小限の努力でとりあえず業界一のファン数を獲得できるかやってみよう!という社内プロジェクトが始まりでした。
約1年半で目標を達成した後、クライアントへも、Facebook管理サービスを提供するようになりました。
バイラルは世界を旅する
バイラルに関しても、先駆的にクライアント用に実践する傍らで、1年くらい前に、ペット用ウィグ&コスチュームの自社ブランドを、バイラルでアメリカ市場にどう展開できるかという、社内プロジェクトも密かに行っていました。バイラルマーケティングの場合、バイラルネタ(画像、動画、サイト、ストーリーなど)を作成した上で、それをシーディング(種まき)と呼ばれる何らかの方法で拡散させる必要があり、広告費を投入して展開するのが通常なのですが、先の例の自社ソックス専門ショップの大量のFacebookファンベースを活用して、ほとんどコストを掛けず、新ブランドを立ち上げるという試みを行ったのです。
結果からいえば、投稿した1枚の画像に対して、500ドルの広告費用で53万人以上にリーチでき、最終的にFacebookのLike(いいね)が8822人、コメントは366件書かれ、シェアは何と438件を獲得しました。
企業のFacebookページを運営していなければ、あまりピンと来ないかもしれませんが、シェアを数百件以上獲得するのは、かなり凄いことで、例えば2,200万人以上のファンを持つTargetの投稿でも、通常ならLikeは300~3000、シェアは20~200程度しか獲得できていないのです。
ブランドを立ち上げるタイミングだったので、リアルタイムでFacebookの動向を見守っていたのですが、コメントを書き込んでくれるユーザーが、時間とともに世界中に伝播していったのには、ちょっと感動しました(売上にはあまり関係はないのですが)。
自分が確認しただけでも、アメリカを発端として、メキシコから中南米のブラジル、アルゼンチンへ渡り、しばらく経って東南アジアのフィリピン、タイ、インドネシア辺りのユーザーから、何語かわからない(けれど翻訳機能でおおよそはわかる)書き込みが増え、しばらくしてヨーロッパのフランス、イタリアなど、 本当に世界中のユーザーに見られていたのを実感できたのは、面白かったです。次回に続きます。
バイラルマーケティングについて