ネットでの独占事情 Google

(U.S. FrontLine誌 2013年09月20日号 掲載分、一部加筆・編集あり)

つい最近、Googleのサービスが一斉にダウンするという事故がありました。原因の詳細については明らかにされていませんが、検索エンジンをはじめ、Gmail(無料のEメールサービス)、YouTube(無料の動画配信サービス)、Googleカレンダー(無料のスケジュール管理サービス)、Googleドライブ(15GBまで無料のファイルストレージおよび共有サービス)、そのほかさまざまなGoogleが提供するサービスが一斉にダウンするというのは珍しく、物理的なインフラの問題から生じた停電によるものだという憶測があります。

ネット上の全トラフィックの40%は、Google経由

ダウンタイムは1〜5分程度らしかったのですが、GoSquaredというウェブ解析企業によると、インターネット上のトラフィックの実に40%が、その瞬間に減少したようだという報告がありました。また別の専門家によれば、このたった数分間のダウンは、Googleにとって50万ドルの損失に相当するとも推測されていました。

アメリカの検索エンジンにおけるユーザーのシェア率が7割弱あるくらいのGoogleですから、当然といえば当然のことかもしれませんが(2017年4月の時点で、アメリカの検索エンジンにおけるシェアは約8割)、改めてGoogleのネット世界における影響力のすさまじさを体感させる出来事でもあったと思います。

企業がウェブマーケティングを考えていく上で、Googleを外して考えていくことがいかに難しいか、また結果としてインターネットユーザーのGoogleの提供するサービスへの依存度の高さを浮き彫りにしたといえるのではないでしょうか。

純粋な検索結果の表示はわずか13%

さて、Googleへの依存度の高さは、先の事故で明らかになったわけですが、一般にユーザーが一番利用する機会があるのは、やはり検索エンジンのサービスかと思います。

何でも調べたいことを的確に教えてくれる、便利な検索エンジンとして、他社を圧倒する膨大な情報ソースから、より関連性の高い情報を瞬時に抽出してくれる優れた検索機能を有していたこと。サービス提供開始当時は広告も全くなく、また正にユーザーフレンドリーであったことがウケて、あっという間に検索エンジンユーザーのシェアを奪っていったわけですが、今日のGoogleは当時とは別物になっていることに、お気づきでしょうか?

ある記事によると、13インチのMacBook Airの画面で表示されるGoogleの検索結果を確認すると、自然の検索結果が表示されているスペースは全体のわずか13%しかなかったそうです。ちなみに通常このスペースには、ウィキペディアやYelpなどが表示されており、一般の企業サイトなどは、その中のさらに限られたスペースで露出を競っていることになります。

残りの29%はGoogleアドワーズ(キーワード連動広告)のスペースで、14%はGoogleのナビゲーションバー、7%はGoogleマップとそのリンクになっています。残りはGoogleの象徴的な白いスペースです。

上記は一般的な検索結果の話で、これがローカルサーチ(場所を抽出条件に絡めた検索)の場合はもっとひどくて、自然の検索結果は7%、これがモバイルサーチともなると、4ページ目まで進まないと、自然の検索結果にお目にかかれないというのです。

つまり昔とは全く様相が変わり、ほとんどがGoogleの何らかのサービスに関連したリンクを表示させているに過ぎない“検索エンジン”と化しているということです。

Googleは単なる営利目的の企業であり、ユーザーに無料でいろんなサービスを提供している以上、こういったカラクリが存在することに私は何の疑問も感じませんし、特に問題とも思いません。企業としてごく当然の展開を図ってきていると思っています。

あくまでも自分の意思で選択していたい

ただ私は誰かに知らない間に操作されるようなことが大嫌いな性格なので、ネットで4割のトラフィックを占めるGoogleさんの、あの手、この手で、ユーザー自身も気付かぬうちに、意のままにコントロールできてしまいかねない力には、常に警戒心を抱くようにしています。

昔と違い、検索エンジンとして中立と呼べるものは皆無です。いかにユーザーに広告を見せるかを第一に考えている企業たちに対して、ユーザーもそういったビジネスのスタンスを十分に理解した上で、それらのサービスを利用していれば、まだ健全だと思うのです。

事実、私は何かを調べるなら通常はGoogleを使っていますし、出てくる検索結果で広告だと認識した上でクリックして、「なかなかうまい広告だった。その企業努力を評価して、何か売られてみてあげようかな」などと頭の中で消化している自分がいます。

検索エンジンを活用したマーケティングで知っておくべきこと

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