採用のコツ⑤ 無償トライアル1 Hiring the Right Person, Part 5

(U.S. FrontLine誌 2014年4月20日号 掲載分)

前回は、どういう根拠で自身がとるべき給与を考えているのかを、応募者に質問することで、その人の仕事に対する自覚やスタンスが確認できることや、収益と経費をできるだけクリアにすることで、本人の純利益への貢献度を明確に認識できるようにするという考え方を、私が日本にいた時代に勤めた会社内で確立したことについて紹介しました。さらに、日本の会社時代に真の成果報酬制度を設けさせ、社長より給与をとり、稼いだお金で私自身が起業できたことについても触れました。



採用(結婚)前の“お見合い”

我が社では面接の感触で、可能性を感じた方には、もれなく無償トライアルをオファーすることにしています。内容や長さは、募集している職種により変わってきますが、おおむね2~3時間で、無給ですが、オフィスで本番に近い仕事を実体験してもらうという制度です。

具体的には、例えばショップのカスタマーサービスや出荷担当のポジションであれば、仮想の顧客からの問い合わせに対して、どのように電話やEメールで応対するのか?とか、仮の注文に対して、商品をピッキングするところを実際にやってもらうのです。

勿論、いきなり本番の仕事はさせられないので、実際には予めこちらで用意した疑似体験的シミュレーションになるのですが、その人が潜在的に秘めた可能性や危険性、性格までも、かなり見事にキャッチできるので、この制度をもし採用されていない企業があれば、自信をもってお勧めしたいです。

また、この無償トライアルは、応募者の方からしても、かなりリアルに近い仕事のイメージを持てるため、本人にとってもフィットしそうな仕事・職場であるのかを容易に実感できることから、多くの方から良い制度だと褒めていただいています。

トラップも仕掛けておく

この関連の仕事には、私はあまり関与しておらず、多くはパートナーから聞いた話ですが、うちの場合は特に、正直さとディテールケアができるかに重点を置いており、それが如実に現れるようなトラップをいくつも仕掛けているそうです。また応募者にもあえて、うちが特にこの2点を重視していることも念入りに何度も伝えてから、行っているそうですが、合格点を取れるのは、10人に1人という感じのようです。

電話応対では、事前に読んでもらったショップのポリシーを、どれくらい注意深く見ていたかとか、あまり知識のないことを聞かれた際の対処の仕方とか、軽い人間性の部分まで垣間見ることができるそうです。

Eメールは、基本的な綴りや文法力から、PCの基本操作、ビジネスマナーの習得度まで、シンプルながらかなり明確に浮き彫りになるようで、文法レベルなどの問題は、それまでに受けた教育や環境が大きく影響しているので、一から直していくようなトレーニングは、中小企業では現実的に不可能に近く、事前に応募者の基礎力を把握することは重要といえます。

30分で6つの返信メールを書いてもらうのですが、できる人ほど、始める前に「どの位の時間内でやればいいのか」を聞いてくるそうです。

大半の何も聞かずに始める人たちには、残り15分の時点で伝えるそうです。全部をまともには終えられないと悟った人が、残りを雑に終えたり、1つのレスに最後まで固執したりと、やはり性格が出るそうです。

本当のポイントはプレッシャーの中での、時間を切らした本人の自己責任のとり方を観察しており、例えば確認作業のために、追加の時間を恐縮しながら交渉してくる人なら、実はOKだったりします。またワードのスペルチェック機能をきちんと使うかなど、初歩的ながら、過去の職場での習慣なども把握できます。

商品のピッキング作業も、甘く見る人が多い反面、100点を取れる人は少ないようです。ただあるクライアントさんが、オンラインショップにおいて、出荷作業が一番重要だと仰っていたのですが、私にこの表現はかなり刺さり、的を射た話だとも思っています。

勿論、注文が入るためには、色んなマーケティングをし、露出・集客に労力とお金を費やさなければ何も始まらないと、本稿で何度も触れましたが、そうした努力でせっかく得た注文も、最後にミス出荷をしてしまうと、一瞬で利益が吹っ飛んでしまう上、顧客不満足をも募ってしまい、すべて水の泡となるからです。

またトライアル時にはミスが発覚した際、それを指摘することで、応募者がフィードバックをうまく受けられる人かを見極めるというテーマも隠れています。ちなみに学歴の高い人ほど、逆ギレしてくることがたまにあります。

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