中小企業が生き残るには⑨ 基本

(U.S. FrontLine誌 2011年9月20日号 掲載分)
前回、あるクライアントの業界が、大手数社の台頭で業界 全体の構造が全く別物に変えられてしまったという話をし ました。全国で2万軒はあった町の小売店が、1割くらい にまで淘汰され、500社くらいあった卸業者も、今では2 社という恐ろしい現実です。そして業種は違えど、オンラ インという市場でも同じような淘汰が進行しているように 感じていることもお話ししました。

この流れは、資本主義社会である以上、どうすることもで きないのかもしれません。また中小企業が大手に資本力で 敵うはずもありません。ではどうすればよいのか?このシ リーズの最初に書いたように、少なくとも私には、絶対的 な解決法は見つけられませんが、おそらくこういう方向性 ではないかと感じているものはあります。

勿論、本来なら業種により解決法も違ってきますが、主に 製造業と小売業の視点から見ていこうと思います。それ以 外の業種でも共通していることや、応用できることもかな りありますので、随時、ご自身の状況に合わせて、適切に 読み替えて頂ければと思います。

例えば飲食店であれば、製造業であり、同時に小売業でも あると言えます。サービス業であれば、売り物が「商品」 から「人」に代わっただけで、小売業としてとらえられる と思います。ただ話の核心に行く前に、少し基本のおさら い的なことをさせてください。

自社の顧客を知る

人がどこかの会社の商品・サービスを購入・利用しようと するとき、何を基準に選んでいるのかを考えてみると、「価 格」「評判」「品質・性能」「信頼性・知名度」「印象」といっ た要素がすぐに浮かびます。ただこれらの要素の中で、消 費者の購買意思決定に影響する優先順位というのは、商材 により変わってきます。つまり顧客層の特性をできるだけ 正確に押さえておくことが重要だと言えます。

また、誰が顧客層になり得るかというのも、これらの要素 により、相対的に決まってくることが多くなります。ただ、 製造業であれば、顧客層を主体的に意識した商品開発も必 要になってくると思います(それに対する異論を唱える著 書もあったのですが、あくまでも経験による私見ととらえ てください)

自社の本当の敵を知る

自社の競合が誰になるかは、同じ顧客層(市場)をターゲ ットとしている相手すべてが該当する可能性があると言え ますが、もう一つの要素として、自社のゴール設定も影響 してきます。要するに売り上げ目標が高ければ高いほど、 通常、広い市場を目指さなければならず、その分競合の数 もレベルも当然変わってきます。

自社のポジションを知る

目指す市場において、自社の競争力・優位性がどれくらい あるのか?という話なのですが、それを推し量るのに、や はり先に挙げた「価格」、「評判」、「品質・性能」、「信頼性・ 知名度」、「印象」においての競争力が総合的に関係してきま す。どれも大手企業であれば、中小に比べ、優位性を発揮 しやすい要素であることは間違いありません。

中小企業からすれば、その現状を認識した上で、大手に対 抗できる要素を少しずつ見出し、捻出していくしかないで しょう。予算的な余裕がないほど、アイデアでカバーせざ るを得ないのですが、逆に、大手では実行が難しいことを 見つけ、いかにやってのけるか、という勝負になると思っ ています。

さて、おそらく本屋さんで並んでいるどこにでもあるビジ ネス書に書いてありそうな、概念的な話はこの程度にして、 これらの基本を念頭において頂いた上で、ACE Inc.らしく、 オンラインにおける実状・戦略をできるだけ具体的に絡め ながら、本テーマの本題にいよいよ迫っていきたいと思い ます(まだもったいつけるのかと罵声を浴びせられそうで すが、いよいよ次回からです! 笑)

ところで、私事で誠に恐縮なのですが、事業拡張のため、 8月31日に本社及び倉庫を移転しました。新たに展開して いきたい事業が2つあること、また、以前のオフィスより かなり広いスペースに自社オンラインショップ用の倉庫を一体 化することでオペレーションの効率化を図ることが目的でし た。10年いたビーチエリアを離れるのは若干の寂しさもあ ったのですが、我が社が次のステージへ行くためにと、決 断しました。移転作業にまつわるトラブルのエピソードなど も、いつか息抜きついでにお話ししようかと思っています。

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