勝ち組の今流ウェブマーケティングSNS編③
(U.S. FrontLine誌 2010年12月20日号 掲載分)
前回、ユーザー数がGoogleをも上回るようになった Facebook.comでSNSマーケティングを行うには、ページ を持つだけでは意味がなく、より多くの人目に触れるため に、Like(ファン)をいかに募っていけるかが非常に重要だ ということをお話ししました。
また、SNSマーケティングは、我が社の経験上、最低で も数千人以上のファンがいないと、その効果を実感するの は難しく、やはりプロのノウハウとアイデアを駆使してよ うやく実践レベルになるマーケティング手法の一つでもあ ると言えることも、前回お伝えした通りです。
我が社にウェブ制作やウェブマーケティングについて問い 合わせてくる米系企業ですら、ほとんどはFacebookをうま く活用できておらず、SNSマーケティングがどういうこと なのかを理解しているかどうかも疑問です。逆に言えば、 簡単そうに見えて実は結構奥が深いという点では、ウェブ マーケティングで使われるSEOやPPCといった手法とも共 通していると思います。
我が社のショップはファンが1万人以上
開設してちょうど1年になる、我が社が運営するレッグウ ェア専門のオンラインショップがあります。本業の方がか なり忙しく、あまり手が掛けられなかったため、ビジネス 的にきちんと取り組んだのはここ2カ月くらいですが、それ でもFacebookのファンは1万人以上います。
我が社のクライアントのケースでも言えることですが、同 じ1000人単位のファンを増やすのでも、ファンの総数が数 百人の頃よりも数千人になってからの方が、明らかに簡単 です。つまり、ある程度のファンの数を確保してからの方 が、そこから先のファン獲得は短時間で可能になります。 これは、Facebookでの口コミ効果が、母数が多いほどより 広い範囲で発生するからだと思います。
また、全く客のいないレストランと、行列のできているレ ストランとでは、全く印象が異なるように、ある程度人気 (ファン数)がある方が、消費者の側に安心感が生まれやす く、好感を持たれる傾向にあるからかもしれません。 我が社のショップでは、ファンが5000人を超えた頃から、 1日の注文数が大きく増えた気がします。広告費をほとんど 削っても、注文数がこれまで以上に獲得できるようになっ たことはとてもありがたく、「Facebook様様」といったと ころです。
ちなみに、同業界のおそらくトップを走る、10年以上の 歴史を持つよく知られたショップがあるのですが、1年前、 彼らのファン数は6000~7000人くらいでした。我が社が ショップを始めるころ、「この王様ショップといつか競い合 ってやる!」と息巻いていたのですが(笑)、うちが1万人 のファンを達成した頃に、敵は1万3000人(敵もさすがに やりますが)。王様の背中が、ようやく見えてきました。
大手は不得意。だから中小にもチャンス!
ウェブマーケティングの王道であるPPCやSEOに、大手 企業がかなり積極的に参入しており、資本主義的な様相を 呈してきていることは、以前お話ししました。そんな中、 新しい宣伝媒体として注目を集めるようになったFacebook では、その潜在性の高さから、多くの大手企業がページを 持っていますが、ファンの数は意外に少なかったりします。
それはなぜか? ずばりFacebookがコミュニティを楽し むためのSNSであることに所以すると思います。人がどこ かのコミュニティに参加するのは、そのコミュニティの個 性や特徴、面白さに共感し、支持したいという感情を持つ からです。自由な発想や社風を持っている中小企業ならば、 こうした感情をかき立てるのは得意分野といえるでしょう が、汎用性や合理化を追求し、無機質になってしまった大 手企業には、コミュニティとして受けるための要素が相反 しているのです。
SNSの本質を理解しない大手企業が、下手にファンを募 ろうとしても失敗するのはそういう理由だと思います。つ まりFacebook内では、少なくとも資本主義(お金)だけで は支配できない要素があり、創意工夫で面白い戦い方がで きるところが、私はとても気に入っています。次回も、続 きをお送りします。