2012年12月12日水曜日

勝ち組の今流ウェブマーケティングSNS編②



(U.S. FrontLine誌 2010年12月5日号 掲載分)
前回、今のアメリカにおける代表的なSNS(ソーシャ ル・ネットワーク・サービス)サイト、Facebook.comが 利用者数でGoogleを上回ったばかりでなく、広告媒体とし てもいかに優れているかについてお話ししました。オンラ インコミュニティという特性から当然とはいえ、ユーザー の50%が毎日サイトにログオンしているというのも、すご い話です。

さて、実際にFacebookでSNSマーケティングを行うとは、 どういうことなのでしょうか? 本題に入る前に、まずは 念のため、Facebookの仕組みについて簡単に説明します。

Facebookは格好の口コミ媒体

Facebookでは、ユーザーがアカウントを開き、簡単なプ ロフィールを登録すると、メッセージの送受信やチャット、 写真や動画の共有、ブログなど、様々な機能を無料で利用 できます。モバイル端末からの情報の閲覧や更新も非常に 手軽に行えます。

ユーザーは「Friend」として登録した相手とのコミュニケ ーションを楽しめるほか、任意でページ(コミュニティ) を作成し、自ら情報発信することも可能ですし、気に入っ たページに参加して、情報を受け取ったり、コメントやデ ィスカッションをしたりすることも可能です。

自分のアカウントページには、Friendとして登録したユー ザーからのメッセージや共有情報も表示されるので、「友達」 が気に入ったページや記事、トピック、画像などが、画面 を通して瞬時に紹介されます。その中で自分も興味がある 内容があれば、クリックして簡単に読み進めていけるので、 口コミによる情報伝達がオンライン上で簡単に起きる環境 が用意されているといえます。

Facebookには、営利・非営利目的を含めて様々なページ が存在していますが、個人やお店、企業が自身の目的に合 わせて、ビジネス、ブランド、ファンなど適切なカテゴリ ーを選んでページを作成し、そのページを気に入って「Like」 登録してくれるファンを募っていくことで、先に説明した 情報共有機能により、Like登録してくれたユーザーの友達へ、 そしてまたその友達へとページの存在を広めていくことが できます。

また、ページを通して情報発信やファンとの対話ができる ので、積極的な販促を行うことも可能です。ビジネス的に は、Facebookのページが言わば、消費者へ向けた「企業の 顔」となるわけです。

ページを作るだけではダメ

単にFacebookにページを持つだけなら、5分もあれば、 誰でも簡単にできます。しかし、自社のホームページを作 り公開しただけでは何も起きず、ビジターを獲得できて初 めてウェブマーケティングとして意味を成すのと全く同じで、 SNSマーケティングは、乱暴な言い方をすれば、Like(ファ ン)やFriendの数をいかに増やしていくかにかかってきます。

米市場をターゲットとしている企業やビジネスであれば、 既にFacebookでページを持っているところも多いと思いま す。しかし、実際にファンやFriendを何人獲得できているで しょうか?

最低でも数千人のファンが必要

失礼ながら、大手企業でさえも「これだけしかファンがい ないの?」という状況を目にすることが多々あります。も ちろん、ビジネスの内容や、SNSマーケティングにかける 予算や時間などによっても全く違ってきますが、我が社の 経験からすると、少なくともファンの数が数千人を超えて、 ようやくSNSマーケティングの効果を実感できてくると思 います。

言い換えれば、数百人程度のファンでは、本当のSNSマ ーケティングを実践できているとは言い難いのです。全て に通用するわけではありませんが、我が社の経験上、限ら れた予算であってもやり方によっては、毎週1000人の単位 でファンを増やしていくことも可能です。

要するに、SNSマーケティングは、プロのノウハウとア イデアを駆使してようやく実践レベルになるマーケティン グ手法の一つといえます。次回もこの続きをお話します。

2012年11月7日水曜日

勝ち組の今流ウェブマーケティングSNS編①



(U.S. FrontLine誌 2010年11月20日号 掲載分)
PPC・SEO はやってて当然。次はどうする?

マーケティングは必ず集客(露出)ありきでなければ成り 立ちません。ですから、マーケティングの本質を理解してい る企業であれば、どう集客していくかを常に考えています。

集客方法として、企業は近年、大手も含めて、その費用対 効果の高さからウェブマーケティングに注目するようにな っています。その中でも、自社のテキスト広告やサイトへ のリンクを検索エンジン結果の上位に表示させて集客を目 指す、PPCやSEOといった検索エンジンマーケティングが 大ブレークしたわけですが、盛んになり過ぎて資本主義的 な様相を呈してきたと、前回お話ししました。予算が十分 にある企業であれば、それでも様々な有効な選択肢を持て るわけですが、一般的な中小企業にとっては、数年前と比 べて明らかに競争が厳しくなっていると言えます。

遂にGoogle を超えたFacebook

そんな中、近年、同じく脚光を浴びるようになったのが SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)マーケティ ングです。要するに、オンラインのコミュニティサイトで、 自社のターゲット層へリーチしようとするわけです。現在 のアメリカのSNSといえば、Facebookが圧倒的に強く、9 月におけるSNSでのシェアは60%以上でした。2位の YouTubeが約17%、3位のMySpaceが約6%、4位の Twitterが約1%程度ですから、Facebookの1人勝ちといっ て良いでしょう。そしてFacebookは、あの無敵に見えた Googleさえも脅かすほどに成長しています。今年3月時点 での統計で、ユーザー数がGoogleを超えているほか、北米 のインターネットユーザーの約75%がFacebookを利用し ているという統計もあります。

なぜ、Facebookがそこまで圧倒的な支持をユーザーから 得られたのか。いろいろな理由があると思いますが、まず、 MySpaceとは異なり、ある時期まで身元が確実なユーザー のみの参加しか許可していなかったことで、質の高いユー ザーベースを確保できていたことが大きいと思います。そ して、様々な機能の追加・拡充を経て、ユーザーが朝起き てサイトへログオンしてから、夜、眠りにつくまで、ほかの サイトに行くことなく、Facebook内でやりたいことがおよ そ完結できてしまう仕組みを作り上げたのは圧巻でした。 要するに、ユーザーのライフスタイルの一部として完全に定 着させた感があります。ちなみにFacebookの統計によると、 ユーザーの50%は毎日同サイトを利用しているそうです。

さらに、外部に優れている、あるいは人気のあるサービス やサイトがあった場合に、Googleのようにそれを真似て自 社開発するか、買収するなどして、最終的に自社ブランド として提供しようとするのではなく、もっとフレキシブル かつタイムリーに、外部とどんどん積極的につながってウ ェブサービスとして取り入れていくFacebookの姿勢が、今 日の成功につながっていると思います。

ちなみにFacebookは、Bing (Microsoft社)の検索エンジ ンを利用しているのも興味深いところです。今後どうなっ ていくのか、楽しみです。

ターゲットの狙い撃ちが可能

もちろんFacebookも営利目的で運営されており、その収 益源は企業の広告収入などですが、広告主から見た場合に も、強烈なアドバンテージがあります。それは緻密かつ精 度の高いユーザー属性の情報を持っている点です。ユーザ ー登録の際のプロファイル情報と日常のユーザーの行動を、 恐ろしく精度の高い独自のアルゴリズムを用いて分析する ことで、そのユーザーが何を好む、どんなタイプの人であ るかを把握できているのです。

そのため、広告主はそのユーザー属性を使って、自分がリ ーチしたいターゲットをかなり細かく指定できるわけです。 例えば、地域や検索キーワードからターゲットを絞り込む PPCと比較しても、この絞り込みの精度の高さは、広告主 としてはありがたい限りです。限られた広告予算を確実に ターゲット層だけに向けて使うことができるからです。

ここまで読んでいただければ、Facebookのすごさをご理 解いただけたと思います。でも、SNSマーケティングって 実際に何をすればいいの? となりますよね? ここで先 に釘を刺しておきますが、間違っても単にFacebookのペー ジを持てばいいという話ではないので、ご注意を。詳しく は次回に。

当社では、「勝ち組の今流ウェブマーケティング」をテー マにしたセミナーを開催する予定です。日程などの詳細は、 次回お知らせします。

2012年10月13日土曜日

資本主義が席巻する検索エンジンの世界



(U.S. FrontLine誌 2010年11月5日号 掲載分)
過去3回に渡って、PPCやSEOといった検索エンジンでの集客手法について触れました。画期的な広告システムとなったPPCは、広告主に歓迎され、Googleに代表される検索エンジンの主要収入源となりました。しかし広告主が増加した結果、PPCのクリック単価も軒並み高くなったのです。1クリック0.01ドルだったGoogleの最低入札額は今、意味のありそうなキーワードだと通常1クリック0.5〜3.5ドルくらいです。もし1クリック2ドルなら、たった500人集客しただけでも広告費は1000ドル。中小企業の感覚では、かなり高めに感じられると思います。

 扱っている商材が高額でマージンが良いか、コンバージョン(成約)率が高くなければ、この額のPPCを継続して行うのは、中小企業には難しいでしょう。加えて、それまでTVのCMに多額の予算を投じていた大企業が、より費用対効果の高いウェブという広告媒体に着目し、オンラインマーケティングにも予算を投じるようになりました。

その結果、検索エンジンという媒体は、完全に資本主義の様相を呈しています。数年前までは、中小企業でも創意工夫してオンラインという戦場に挑めば、突破口が見出せました。うまくやれば、全国区の戦いにおいても大手と互角以上に渡り合えたのです。今はどうかといえば、Googleもすっかり商業化され、金儲けのために魂を売り渡した感があります。資本力で大手に圧倒的に劣る中小企業からすると、不公平な仕様が知らぬ間に追加されており、我々のように長年オンラインマーケティングに携わってきた者が今Googleで何かを検索すれば、その表示結果からは、資本主義の跋扈(ばっこ)とそれに伴う不公平さ(Googleからすれば極めて合理的なビジネス的意図ですが)をたっぷり実感できます。

Google Instantの真の意図とは?

Googleは最近、ユーザーがキーワードをタイプしている途中であっても、検索結果を随時表示してくれるGoogle Instantという機能を追加しました。彼ら曰く、検索がさらにスピードアップされるそうで、確かに以前からあった自動サジェスト機能(入力途中で、キーワード候補を随時予測して表示してくれる機能)が進化したような印象です。以前は、検索するキーワードを一度確定してから、クリックするなりリターンキーを押すなりして結果を表示させていましたが、この動作を減らせるわけです。「ますます検索しやすくなって、技術の進歩って素晴らしい!」と喜ばれている方は、きっと純粋で素直な方だと思います。ちなみに私の感じ方はまるで違い、「またですか……」というネガティブな感情しかありません。

皆さんは検索される際、微妙にスペルが違うキーワード(例えば最後にsが付くか付かないか等)で検索結果も違ってくることにお気づきでしたでしょうか? ユーザーの習慣によって、検索の仕方にばらつきが生じ、目にする検索結果も違っていたわけです。自動サジェスト機能が登場し、そのばらつきは抑えられてきたと思いますが、今回のInstant機能により、更に抑えられると思います。つまり、ユーザー自身の意思ではなく検索エンジンの思惑によって、検索エンジンが導きたい答えにユーザーが誘導されていくようなイメージです。なぜGoogleがそんなことを? 答えは簡単で、より広告を売りやすくするためです。

以前の仕組みだと、キーワードの微妙な違いで、ターゲットユーザーに広告を見せる機会を失う可能性がありました。もちろんPPCでは、そうした広告表示機会の漏れをカバーできるよう色々考えられているのですが、広告主としては、その可能性を意識しておく必要がありました。SEOの場合、この問題はもっと切実に捉える必要がありますが、逆に言えば、自分たちに有利に活用できるチャンスでもあったのです。

キーワードの微妙な違いによるばらつきが無くなれば、PPCの広告主にとっては広告戦略が非常に楽になるでしょう。一方、SEO業者は今まで以上に厳しく大手と順位を競う状況を強いられます。資本主義化する検索エンジンにおいて、中小企業は非常に厳しい立場に追いやられているのです。しかし、まだまだ活路はあります。次回、勝ち組の今流ウェブマーケティングについてお話しします。

2012年9月30日日曜日

業者のセールストーク、暴きます



(U.S. FrontLine誌 2010年10月20日号 掲載分)
何らかの集客を行うしかない

ウェブサイトをうまくビジネスに活用できていないケース の95%以上は、間違いなく集客段階で失敗しています。要 するにビジターがほとんどいないサイトになっているわけ です。もっとも、そうしたサイトが集客に成功すればすぐ 売り上げが向上するかというと、そう甘い世界でもないの ですが、とりあえずビジターがいなければスタートライン にすら立てていないことを自覚すべきです。

しかしほとんどの当事者は「デザインが……」「ナビゲー ションが……」と、集客後の心配を真っ先に挙げます。こ の点は、マーケティングの本質を全く理解していない「な んちゃって広告代理店・PR会社・ホームページ制作会社」 の類にも共通しており、セールストークで彼らは「デザイ ンを変えればブランディングになり顧客が獲得できる」「ナ ビゲーションを改善すれば注文も増える」的なことを匂わ せます。しかし、大前提であるビジターをどう獲得するか については、非常に薄っぺらい話で終わっているのです。

集客方法を大別すると、検索エンジン(PPC、SEO)、 SNS(Facebookなど)、レビューサイト(Yelp、Trip Adviserなど)、人気サイト・ブログ、バイラル(口コミ)ビ デオ(YouTubeなど)、Eメール、雑誌、新聞、ラジオ、TV での広告などが考えられます。これらのどれを使い、幾ら の広告予算で、何人の集客を目指すのか? これが基点で す。もちろんこれら以外の方法でも構いませんが、とにか くまず集客(露出)ありきでなければ、マーケティングは 絶対に成功しません。

業者のトリックの見破り方

例えば、「うちが手掛けたウェブで100人の新規顧客が…」 なんていう業者のセールストークを聞いたら、まず、何人 のビジターをどう集客したのか尋ねてみてください。もし 「SEOで」と言うのであれば、どんなキーワードで検索した ら上位表示できているのかを確認しましょう。ちなみに、 そのキーワードが毎月何回くらい検索されているかは簡単 に調べられます。そして、表示順位によってどのくらいの クリック数があるかも、ある程度予想できます。

SNSによる集客も同様で、簡単に統計が確認できる上、 LikeやFriendの数が集客力をある程度物語ります。レビュー サイトであれば、評価ランキングがビジター数に大きく影 響しますし、その他PPCや人気サイトをはじめ、新聞、雑 誌、ラジオ、TVなどでの広告による集客であれば、投じた 広告費の額が鍵です。費用対効果の高い成果が得られたの なら、業者の手腕を評価できますが、単に多額の広告費を 投じたから広告効果があったというのなら、業者の手腕で はなく、広告主の広告費を捻出する努力と広告媒体の力で しかありません。

SNSやレビューサイトからの集客が成功している場合、 それが誰の努力によるものかも追求しましょう。純粋に顧 客からの評価が高かった結果であれば、単にその企業やお 店の実力であり、業者の力でも何でもありません。一方、 業者が“サクラ”になって好レビューを書き込む努力をし ていたというのであれば、やり方の是非はともかく、業者 の力だとはいえます。ただ“サクラ”による書き込みは、 モラルの問題以前に、近年非常にリスクが高く、下手をす れば大火傷を負いかねません。

何度となく強調してきたことですが、何度でも繰り返しま す。広告代理店、PR会社、ホームページ制作会社は星の数 ほど存在しますが、ウェブをビジネスに生かすウェブマー ケティングにおいて、本当に実践能力のある業者はほんの 一握りです。トークに騙されて多額の費用を投じたのに、 マーケティングには一切役立たないウェブができただけと いう手痛い経験をされた企業が、これまで何度も我が社へ 助けを求めて来られました。我が社へ来ていただければ、 目の前で業者の嘘や矛盾を解き明かせるのですが、そうや ってトリックを暴けるのはごく一部です。そうした悲劇を 少しでも減らすために本稿を書き続けているのですが、全 然減らないですね……(涙)。

本当なら悪徳業者の実名を挙げたいくらいですが、やはり 具体的に書きたくても書けない内容もあります。不安な方 はぜひ我が社にお問い合わせください、と結びたかったの ですが、お陰様で超多忙でして、過去のコラムを熟読して いただくか、できれば年明けにでもお問い合わせください。

2012年8月17日金曜日

これは節約できる予算か? SEO編



(U.S. FrontLine誌 2010年10月5日号 掲載分)
PPCは意外にアンリーズナブル?

サイトへの集客をどうやって行うか考えてみましょう。 もしも検索エンジンのユーザーがターゲットとして見込め る業界なら、まずPPC(クリック課金型広告)を検討する 必要があると思います。

ただし、PPCの1クリック単価は、よく使われている検 索キーワードの場合、0.50〜3.50ドルが相場です。中には 1クリックで5ドルなんてのもあります。

分かりやすく、1クリック1ドルのキーワードをPPCで 購入(出稿)したとしましょう。1カ月に1000クリックあ り、1000人集客したとすれば、広告費用は1000ドルです。 しかし1カ月1000人ということは1日平均33人程度の集 客しかありません。我が社の経験上、相当マニアックな業 種か、地域がかなり限定されるビジネスでなければ、1日 33人程度のビジターしかないサイトは、本来の集客のポテ ンシャルを逃していると思います。

もちろん業種によってその基準は全く違ってきますが、集 客コストとしてPPCには、決してリーズナブルとはいえな い場合があるわけです。始めようと思えば即座に始められ るPPCは非常に重宝で、特にオンラインショップなどでは、 集客数が売り上げに直結する上、時間を無駄にすることも ありません。サイトオープンと同時に集客したければ、 PPCは手っ取り早い手段の1つです。しかし、仮にPPCに 1000ドル投じて1000人集客しても、原価率50%の商品を 売っているとすれば、仕入コストと広告費だけを考えても、 2000ドル以上の売り上げがないと赤字なわけです(実際に は更に様々な経費を計算に入れる必要があります)。

大量の検索ユーザーを狙うならSEO

一方、検索エンジンが好むサイトを作り、検索結果の上位 に表示させるSEOでは通常、サイト構築時の導入費と、維 持費用が発生します。上位表示を目指すキーワードの競争 率によって費用は大きく変わってきますが、仮に毎月の維 持費用1000ドルで5000人を集客できるとすれば、費用対 効果は上記のPPCと比べ5倍あることになります。実際に 我が社の経験でも、集客の費用対効果では、SEOはPPCに 比べ10〜20倍になっているケースはざらで、中には約150 倍という例もあります。

オンラインビジネスを始められると分かると思いますが、 必要な集客を全てPPCだけで行うのは厳しい場合があり、 そこでSEOの登場となります。検索エンジンのユーザーが 大量に存在するマーケットの場合、特にSEOが有効です。 ただしSEOはPPCと違い即時性は期待できません。短期的 な集客ではPPC、中・長期的な集客ではSEOを考えるべき でしょう。もっとも、それはあくまでも検索ユーザー数が 豊富で、ターゲットとして成立している場合の話です。逆 に検索ユーザー数がかなり限られてしまう場合、PPCだけ で十分というケースもあり得ます。

ブランディングとしてのSEO

SEOの成果として、自社サイトは、自然な検索の結果が 列挙されるエリアに表示されます。一方PPCでは、ページ の上や右にある「Sponsored links」という目立つエリアに 表示されます。つまり、SEOとPPCを同時に活用すれば、 検索結果を示すページの上位2カ所に、自社サイトのテキ スト広告とリンクを表示させられるわけです。この効果は 絶大です。ある統計では、複数カ所で表示されている企業 に対して検索ユーザーは、そうでない企業よりも、より強 く「大企業」「信頼性の高さ」などをイメージすることが分 かっています。クリックスルー率(リンクをクリックして くれる確率)も10倍以上にも跳ね上がると言われており、 実際我が社でも、この現象を何度も経験しました。仮にク リックに至らなくとも、社名や商品名、ブランド名をユー ザーは繰り返し目にすることになります。

つまり、ブランディング効果があるわけです。ちなみにブ ランディングとは、ブランドをできるだけ人目に触れる (露出させる)ようにして、意図したブランドイメージを 人々に浸透させる(洗脳する)ことを指し、競合他社との 市場争いを優位に進められるようにするマーケティング戦 略の1つです。かつてブランディングは、潤沢な予算のあ る大手企業のみがTVのCMなどで行っていたわけですが、検 索エンジンという媒体の登場で、中小企業も行えるように なったのは大きな変化です。

2012年7月29日日曜日

これは節約できる予算か? PPC編②



(U.S. FrontLine誌 2010年9月20日号 掲載分)
PPCとは、検索エンジンで使われるキーワードに連動さ せて、テキスト広告を表示させる集客法です。前回は、 PPCが活用しやすい効果的な手法であること、そして、検 索エンジンのビジネスモデルについて触れました。今回は、 「いざ、PPCを始めてみよう」という方へのアドバイスです。

PPC管理業者は不要か?

PPCを始めるには、まずテキスト広告が必要になります。 これには色々な制約がありますが、特に文字数制限には悩 まされます。かなり短いので、簡潔にまとめないと制限内 に収まらないのですが、下手をするとインパクトのない広 告になりかねません。PPCの場合、クリックされなければ 広告費は発生しないとはいえ、ビジネスを行う以上、必要 なトラフィックを獲得していかねば何も始まりません。

ここでは、経験とクリエイティブなセンスが要求されます。 さらに、もし広告の出稿先が英語の検索エンジンであれば、 広告ライターは、広告センスのある英語のネイティブであ ることが絶対条件といえます。この点を考えても、もし日 系企業が英語のPPCを行うのであれば、我が社のようなネ イティブのエキスパートを擁する業者へ委託されることを 強くお勧めします(7月20日号掲載の第34回も参照)。

テキスト広告ができたら、Google AdWordsなどPPC広 告サービスを利用して、出稿します。どのサービスでも、 その管理画面は非常によく出来ているので、自社でも充分 管理できると思います。ただし、実際やってみると分かる と思いますが、PPCを効果的に活用するには、ただ出稿す るだけでなく、それなりのノウハウが必要で、そのために 高額なセミナーも行われているくらいです。

アウトソースしても大怪我に

PPCを最大限に活用するためには、広告が連動して表示 されるキーワード選びを適切に行い、ユーザーがその広告 に関心をもってくれるための工夫(クリック数の向上)と、 検索エンジン側が行う広告品質の評価向上に努めなければ なりません。

PPCではまた、広告がクリックされたら幾らまで支払う かを、広告主同士の入札で競り合うことになります。乱暴 に説明すれば、より高い値を付けた広告主がより良い掲載 順位を得るのです。ただ実際には、入札額が一番高いもの がトップに表示されるとは限らず、検索エンジン側の評価 基準に応じて、より質が高いと認められた広告が良い位置 に掲載されます。また、その広告の質に対する評価によっ て最低入札額が変動することもあり、広告媒体側から広告 の質をシビアに問われるマーケティング手法といえます。

たまに、社内(素人)でPPCを試して成果がなく、「PPC は効果がない」と言われることがありますが、プロが取り 組んでも苦戦することのある奥の深いマーケティング手法 ですから、あまりなめてもらっては困ります。事実、「PPC を自社で試したが、うまく活用できない」として我が社に 助けを求めてこられるケースが結構あります。社内でエキ スパートを養成してじっくり本気で取り組めば、PPCの有 効利用は不可能でないと思います。ただ、それに掛ける労 力や時間と費用対効果を考えると、アウトソースという選 択肢が現実味を帯びてきます。

ある米系企業が、日本語の広告が必要となり、某日系業者 にPPC管理を任せて毎月6000ドルの広告費を投じていたけ れど、売り上げは数千ドルにも満たないとして、我が社へ 問い合わせてきたことがありました。日本語なので、その 業者のやっていることの妥当性も、自分たちでは判断でき ないという状況でした。さっそく確認してみると、その企 業のサービスとは直接関係がない上に、極めて大量のユー ザーが検索に用いるキーワードと連動させて、無駄に広告 が表示されていました。クリック数(広告費)は簡単に増 えていくけれど、コンバージョン(売上げ)には全くつな がっていなかったのです。また広告内容自体にも力を入れ ておらず、顧客のビジネスを本気でサポートする姿勢は感 じられませんでした。

「PPC管理業者は不要か?」と問われれば、PPCの活用に は運営ノウハウ、分析力とクリエイティビティー、経験が 必要になるため、総合的な費用対効果として必要になるケ ースが多々あります。しかし上述のように、それももちろ ん、業者の質次第というのが、私の答えです。

2012年6月13日水曜日

これは節約できる予算か? PPC編

ウェブサイトが完成し、これから集客していこうという場 合、まずPPC(クリック課金型広告)を検討されるかもし れません。Googleなど検索エンジンでユーザーが検索した 際に、ページの上や右の「スポンサーリンク」という枠に、 自社サイトの簡単な広告テキストとリンクを表示させ、ユ ーザーがリンクをクリックした分だけ広告費が課金されて いくという広告システムです。

広告主はメリットの多いPPCに移行

集客数と広告費が比例するのは、広告主にとって非常にあ りがたい話です。それまでの雑誌や新聞などオフライン広 告では、反応があってもなくても定額の広告費が発生して いただけに、PPCの登場を広告主は喜びました。PPCでは さらに、特定の検索キーワードに対して広告が出せる上、 表示させる広告も任意に変えられ、ターゲット層をかなり 細かく指定できます(地域や時間帯、検索のされ方などに 応じ、かなり細かい指定が可能)。だから広告主は、こぞっ てオンライン広告にシフトしていきました。

ちなみに現在のアメリカでは、PPCといえば、すっかり GoogleのAdwordsが代名詞となっていますが、他に Overtureという会社のサービスもありました。その Overtureを、Yahoo!が、Googleへの対抗策として買収した わけですが、今のYahoo!は気の毒ですが死にかけています ね……。Microsoft(Bing)と提携して生き残ろうとしてい ますが、たった数年でオンラインの勢力図はこうも変わる ものかと、毎度のことながら驚かされます。

さて、「PPCは不要か?」への答えですが、まずサイトへ 何らかの集客を行なわないとマーケティングになりません。 その手段として検索エンジンをお考えであれば、答えは間 違いなく「Yes」です。検索エンジンからの集客方法として は、他にもちろんSEO(検索エンジン最適化)もあります。 検索エンジンが好むサイトを作り、検索結果の上位に表示 させるSEOは、PPCと違ってクリック毎に課金されたりし ないので、非常にお得です。もちろん、星の数ほどある業 者の中から、ほんの一握りのプロを見つけ出し、SEO費用 を払ってようやく実現できることですから、簡単に誰にで もというわけにはいきませんが、頻繁に検索されるキーワ ードに対しSEOを行い、検索結果での上位表示を達成した 場合、その費用対効果は絶大です。

検索エンジンのビジネスモデルとは?

しかし、ここで一度、検索エンジンのビジネスモデルを考 えて頂きたいのです。いろいろな情報を無料で提供してく れる検索エンジンは、どうやって収益を上げているのか? なぜ検索エンジンなるものが生まれたのか? その答えこ そ、PPCなのです。つまり検索エンジンは、広告媒体とな るべくして生まれ、広告ビジネスを行うために運営されて いる営利企業に過ぎません。PPCを広告主に売っていきた い検索エンジンにとって、SEOは、彼らにお金を払うこと なく、自社サイトへの集客を達成してしまう不倶戴天 ふぐたいてんの敵なのです。

PPCによって利益を上げている検索エンジンが、SEOと どう向き合っているのか? SEOサービスを長年提供して きた我が社は、この点に常に敏感です。経験上、アメリカ と日本ではかなり様相が違います。日本の検索エンジンは、 比較的おっとりしています(一部例外はありますが)。一方、 アメリカはかなり露骨です。実はいろいろ面白い裏話があ るのですが、それを書いてしまうと、また日系のペテンIT業 者に、さもSEOを理解しているかのようなセールストーク として使われてしまいかねないので、残念ですがここまで にしておきます。

ただ、1つだけヒントを。ある業界で、毎月PPC広告費 に100万ドルを投じている企業があるのですが、彼らのサ イトはSEO(自然の検索結果)でも、さまざまな有力キー ワードで1位なのです。こうした企業に対し、最高のSEO 技術を駆使したとしても、SEOだけで挑んで勝てると思い ますか?(実は先日、本当にそういう業界の案件を引き受 けたばかりです。汗)。そういう現実もひっくるめてPPCを 捉えるべきだと覚えておいてください。ただし念のため、 PPCを行えば自然にSEOも出来てしまうという意味では絶 対にないので誤解のないように。

2012年5月25日金曜日

これは節約できる予算か? Web制作編

かなり昔の話ですが、教育関係のビジネスに携わるスター トアップ企業で、代表取締役をしている知人がいました。 資本金は1億円ほどだったと思います。当然、ウェブサイト が必要になるわけですが、この知人は「今の時代、ホームペ ージなんて誰でも簡単に作れるはずだ」と考え、経費削減 のため社員に作らせようと何度もけしかけていたそうです。

社員たちは本気で取り合いませんでした。ですので知人は、 自らパワーポイントを使ってラフのホームページを作成し、 「ほら見ろ! 素人がたった2日でここまで出来たぞ」と言 って周囲に見せたのですが、反応が今ひとつで不満だった ようです。「素人っぽい出来ですが、たった2日でここまで 出来たんですよ。見てください」と私にメールを送ってこ られました。ホームページなんて簡単なのに、うちの社員 は分かっていないと考え、同意を求めてこられたのです。

この方は、私がまだ日本にいた頃に全く別のプロジェクト で偶然知り合った人物なのですが、実は高校の先輩にあた ることが分かり、それ以来、交流を持っていました。優秀 な営業マンで、頭も切れ、論理的な思考にも長けている方 だっただけに、私はとても驚き、何と答えてよいのか悩み ました。その時どうコメントしたのか詳細は覚えていませ んが、多分私はこの頃、こうした致命的な考え違いをして いる方に、なぜそれが間違いであるか納得してもらうため の定型フレーズを確立していったように思います。

TVのCMとウェブサイト

そのフレーズとは、簡単に言うとこんな感じです。 「もしあなたの会社で、テレビにCMを出すと決まったら、 どうしますか? 自分たちでビデオカメラを回して撮影し ますか? それとも制作会社に依頼しますか?」

100人中100人が「制作会社に依頼する」と答えると思 います。

「テレビCMは、多くの視聴者に自社の広告を見せようと する行為ですよね。では、ウェブサイトを持ち、例えば検 索エンジンの検索結果の上位に表示させるなどして、多く のユーザーに見てもらえるようにする行為は、テレビCMと どこが違うと思いますか?」「そう、やろうとしていること は何ら変わらないわけです。でもなぜテレビCMにはプロが 必要で、ウェブサイトは素人でもOKだと思ったのですか?」

どちらも「会社の顔」となる広告であり、企業イメージに つながります。ましてや現在、検索エンジンのユーザー数 は、人気TV番組の視聴者数をも凌ぎかねません。そしてテ レビと違い、検索によって絞り込まれたターゲット層とマ ッチングできるメリットは大きく、近年、大手企業の広告 予算はTVからウェブへシフトしているのです(そのおかげ で、広告媒体という観点から見れば、ウェブもすっかりTV 化してしまいました……。この話は、いつかするつもりで す)。 それらしいものは誰でも作れるが

確かに、ホームページ作成ソフトやブログに代表されるCMS (コンテンツを管理画面から登録・編集できる仕組み)の普及 で、誰でもそれらしいものは、手軽に作れるようになりま した。個人の趣味サイトならば、これで問題ないと思います。

ただ、企業サイトとして通用するかといえば、答えは「No」 です。少なくとも、デザインやHTMLコードが素人レベルの 出来であっては絶対にいけません。適切でない画像1つ、 コードミス1つであっても、致命的な失敗を引き起こし得 るからです。素人が管理している場合、失敗に気づいてい ないことも多々あります。

最初に挙げた例について言えば、さすがにこの代表取締役 がおかしいと思われるでしょう。しかし、たとえごく少人数 のビジネスであっても、違いはないのです。資本金の多寡 に関わらず、ビジネスが切実なのはどこも同じはずですから。

最近は本当に、自称デザイナー、自称デベロッパーが溢れ ています。特にローカルのウェブ制作などでは、依頼主の 親戚、友人、友人の友人あたりの「自称プロ」が、どこか らともなく湧いてきます。そして、「安くやってくれるらし いから」との理由で依頼し、1、2度失敗してから、我が 社に来られるケースが少なくありません。何度も書いてき たことですが、業者ですら“なんちゃってプロ”がほとん どの業界です。安いのは、単にプロでないからという可能 性をまず疑いましょう。我々がやっているのは、そんなに 簡単なことではないのです。

2012年4月23日月曜日

これは節約できる予算か? 画像編

今年に入り、企業におけるウェブマーケティング意識が高 まってきたのか、昨年と比べて、ブランディング・サイト やオンラインショップの開設依頼が増えたように思います。 そうした背景を踏まえ、本連載では、「とにかくウェブや オンラインショップを作らねば」と焦って手痛い失敗をし ないよう、見落としがちな注意事項から業者の見極め方ま で、役に立つ情報を発信しています。もしも今「ウェブ制 作」をお考えなら、本連載の第27回(4月5日号)あたり からでも、通してお読みになることをお勧めします(過去 掲載分はwww.usfl.com/ee/からダウンロード可)。

ウェブの印象は画像で決まる

ウェブサイトにおいて、画像はとても重要です。どんなに テキストが素晴らしくても、視覚的に飛び込んでくる画像 の方が、やはり最初に目を引いてしまうからです。そのた め画像の質の問題はかなりシビアで、素人くさい写真が1 枚含まれているだけでも、サイトの印象は著しく損なわれ、 その企業全体の印象低下につながりかねません。とはいえ、 質の高い写真を使いたくとも、「その予算がない」と言われ るかもしれません。あるいは他社のサイトを見て、「素敵な 写真がたくさんあり、ずいぶん高額な制作費を使ってそう でうらやましい」と思ったりとか。

ご安心ください。実は、世の中のサイトや雑誌などの広告 の多くでは、写真にそれほどコストをかけていません(業 者がクライアントにどういう請求をしているかは別として)。 なぜなら、極めて低額(例えば1枚1ドルとか)で、プロ の写真家が撮影した質の高い写真を購入できるサイトがあ るからです(例えばwww.istockphoto.comなど)。

こうしたサイトでは、低予算で好きなだけ、高品質の写真 を選べます。ローカルの雑誌の広告などでは、こうしたサ イトで売られている写真をただそのまま載せただけという ものもかなり目にします。実は、日系の広告代理店やウェ ブ制作業者自身のサイトや広告でも、「ああ、例のサイトの 写真をそのまま使ったんだな」と気づいてしまうものがあ ります。安く良い写真を使うこと自体には大賛成です。と はいえ、誰でも買える写真を、創意工夫もなく、さもオリ ジナルであるかのように「会社の顔」として掲載している 業者さんを見ると、正直、本業のデザインスキルを疑って しまいます。

ともかく、プロの写真を購入するコストはとてもリーズナ ブルなので、ぜひ良い写真をゲットして、サイトのインパ クトを強化しましょう。

写真の入手は容易だが……

販売されている写真ではなく、オリジナル写真がどうして も必要なケースもあります。そうした場合、プロの写真家 に依頼すると、やはりそれなりの額になります。予算が十 分にあればそれが理想ですが、難しい場合は、ぜひ社内で 撮影してみてください。

多少良いカメラを用意し、手ぶれを減らすため三脚も使い ます。100ドル以下で手に入る簡易撮影セット(撮影用照 明やミニテント)も、商材撮影にはうってつけです。デジ カメですから、何枚撮ってもコストはかかりません。何百 枚も撮れば、その内いくつかは使える写真があるはずです。 回数をこなせば、結構すぐに腕も上達すると思います。

今回のテーマ「これは節約できる予算か?」の答えとして は、写真を用意する部分については「Yes」です。写真販売 サイトから安く購入したり、自前で撮影して、コストを節 約しましょう。ただし、サイトに掲載するには、画像への 加工が必要です。通常、Adobe社のフォトショップのよう な画像編集ソフトで加工するのですが、ここに如実にスキ ルの差が現れます。我が社の求人でもよく「フォトショッ プ使えます」という触れ込みで応募してくる人がいますが、 テストしてみるとまず間違いなく不合格になります。

フォトショップ自体は非常によく出来たソフトであるた め、素人でも画像加工がとても簡単にできると錯覚してし まいがちです。しかし、サイトに掲載する場合は、素人が 撮影した写真であればなおさら、しっかり加工して「プロ の写真」に仕上げねばならず、その合格ラインは素人が思 うほど低くはありません。ですから「写真の入手コストは 節約し、画像加工はプロに任せろ」が、私の答えです。

2012年3月15日木曜日

これは節約できる予算か? 英語編

今年の初めに、本連載の「知らないってのは恐ろしい」シリーズにおいて「痛い英語サイト」の話をしました。日系 業者が作る“英語”サイトには、英語のネイティブからす ると変な表現になっているものが少なくなく、たとえ文法 的に正しく表現されていたとしても、インパクトに欠けた 魅力のない文章になっているのが関の山、という状況です。 こういうサイトが生まれ、放置されたままになる背景とし て、依頼主も制作者も英語ネイティブでないため、自分達 のサイトの英語がそこまで痛いものになっていることを理 解できておらず、そもそも問題に気付いていないという点 を指摘しました。

本末転倒なリニューアル

先日、日本のクライアントのアメリカ向け英語サイトをリ ニューアルすることになりました。クライアント側でコン テンツの英文を作成してこられたのですが、非ネイティブ が作成したものだと一瞬で分かってしまう文章だったため、 何度も我が社のネイティブによる編集サービスをお勧めし ました。しかし、「特に必要ない」の一点張りだったのです。 我が社のサービスを売りつけたかったわけではなく、この ままサイトを公開しても、かなり痛いことになると分かっ ていたので説得したのですが、結局断念しました。

我が社の場合、英語サイトの業務であれば、高い英語力を 有するネイティブが作業を担当します。その文章を見た彼 らは、「こんな違和感だらけの文章をなぜわざわざ載せるの か?」と私を問いつめてきたのです。正直、返す言葉があ りませんでした。そのクライアントが、“英語”の問題をど れくらい自覚されているのかは分かりませんが、1つには 予算の問題があったのだと思います。予算が限られている 中で、ネイティブによる英語の編集は不要と判断されたの でしょう。

一応補足しておくと、クライアントによるその英文は、非 ネイティブが書いたものにしてはよく頑張った方で、決し て意味が通じないわけではありません。ただ彼らの売ろう としているものがとても高額なため、英文の出来が悪けれ ば企業の信頼性を問われること、そしてサイトの訪問者の 多くは完璧なネイティブ言語を期待していることが予想さ れるため、このままでは痛いと判断しました。何のための リニューアルなのか意義を感じられず、何ともやるせない 思いでした。

ネイティブというだけでは不十分

もっと厄介なケースもありました。あるクライアントが、 オンラインショップの商品説明ページに、8つの項目にお ける100人のユーザー評価を多角形のチャート(くもの巣 状)形式で表現したものを追加されたのです。その図は 「Comparison Chart」と表現されていました。それを見た我 が社のネイティブが「これは比較表ではないので Rating Chart の方が適切です」と、軽い気持ちで指摘したのですが、 その日本人担当者のプライドに触れてしまったのか、「いや、 そんなことはない。社内のネイティブにも確認させた」と、 逆に強い反発にあってしまったのです。

こうなると、どちらのネイティブの英語が正しいのかを検 証・証明しなければなりません。当然ながら、同じネイテ ィブといえども、言語能力は千差万別です。下手をすると、 相手側のネイティブのメンツをつぶすことにもなってしま うので、とても厄介でした。もっともその日本人担当者が 社内のネイティブに確認をとる過程で問題があった可能性 もあり得ます。それくらい初歩的な英語の話だったのです が、とても後味の悪い苦労をした覚えがあります。

当時の担当者は既にその会社を退職されているため、ここ まで具体的な話をご紹介できたわけですが、これはあくま でも軽い一例で、このクライアントに限らず、「社内のネイ ティブが確認した」という英文なのに、「本当に?」と驚か されてしまうケースを何度も経験しました。そもそも、ど んなに英語が得意だとしても、日本育ちの日本人が英語表 現の質の高低を見極めることなど無理だと私は思っていま す(したがって無意味なプライドも不要です)。だからこそ ネイティブのサポートが不可欠なのですが、同時にネイテ ィブの言語力も千差万別であることを認識して、「ネイティ ブだから」というだけで過信しないことが重要なのです。

2012年2月28日火曜日

知らないってのは恐ろしい ホスティングの話⑥

前回、素人がホスティング業者と直接やりとりをしなくて済むという意味では、マージンを上乗せされるIT業者系由のホスティングサービスにも、それなりに価値があるとお話ししました。ただしそれが「にわかIT業者」では無意味です。そして、素人に毛が生えたくらいの「自称プロ」が溢れかえっている業界であるのも事実です。しかしそれでも、ホスティングサポートでのトラブルは少ないはずだとお話ししました。

にわか業者でもトラブルが少ないのはなぜ?

なぜトラブルが少ないのか? 簡単な話です。ホスティングは24時間365日安定稼動が原則のサービスだとお話ししましたが、そのサイトへのトラフィックが少なければ、別に大した苦労もなく、それなりに安定させられるからです。

「にわかIT業者」が作成したウェブサイトは、まず間違いなくトラフィックの少ない、つまり、ほとんど誰にも見られていないサイトになっています。トラフィックが少なければ、当然サーバーにも回線にも負担はかからず、極めて快適に動作します。以前、ホスティングは奥が深いと語りましたが、それは、大量にトラフィックのあるサイトを舞台にして初めて実感させられることなのです。

我が社は大量トラフィックのサイトをたくさん構築してきたため、否応なしにそういった苦労や経験を重ねてきました。しかし世の中の大半のサイトは少量トラフィックしかなく、サイトを制作した「にわかIT業者」がホスティングも提供するという形が一番多いのです。

つまり彼らは、高い技術力が特に必要とされない状況下でずっとやってきたため、なかなか問題が表面化せず、優秀な技術者が育つはずもありません。

気持ちは分かるが、ビジネス的には……

以前、「ホスティング費用を節約したいので、自社内のサーバーを用いて、社内のシステム管理者が運用するようにしたい」と相談されたことがあります。確かにトラフィックの少ないサイトなら、それもありでしょう。しかし、訪問者が少ないサイトは、そもそもビジネス的に存在価値が低いわけです。そこで、大量トラフィックを獲得できるようなサイトに変えていくと、今度はそのサイトのビジネスにおける重要性が激増します。そして24時間365日安定稼動を維持することがいかに大変か実感することでしょう。本来のホスティング運用とは、とてもシビアで奥が深いのです。

また最近、我が社がかなり昔に制作したサイトがいきなりアクセス不能になってしまったとして、助けを求められました。確認してみると、ホスティング環境のセキュリティの甘さによるハッキングが原因だと容易に分かったのですが、ホスティング業者はそれを認めず、何の対処もせずにアクセス不能のまま放置していました。その会社は直接ホスティング業者と契約していたのですが、もし我が社が間に入っていれば、とっくに解決していたであろうことを考えると、IT業者系由のサービスもやはり必要なのだと感じました。それにしても、安かろう悪かろうは、やはり怖いですね。

ACEが考えるホスティングの適正価格

トラフィックがほとんどないサイトならば、月額100ドル以下の共用サーバーを探しましょう。トラフィックのほとんどないサイトなのに、毎月何百ドルものホスティング料を支払っていたとしたら、それは異常です。日系のぼったくり業界のみで通用する料金体系でしょう。しかもそういう業者ほど、ホスティング環境自体も粗悪だったりします。

逆に、トラフィックが大量にあるとか、データベースの容量をそれなりに必要とするサイトであれば、専用サーバーを検討してもよいかもしれません、ただし、料金が1桁は変わるのが普通です。ただ我が社のクライアントでも、いきなり専用サーバーから始めるのは稀で、通常は共用サーバーから始めて、SEOやPPCなどウェブマーケティングにより、トラフィックの多いサイトに段々と成長させていくうちに、専用サーバーへ移行するというパターンになります。つまり、その時々で、身の丈に合った相応な料金のホスティングを選ぶべきでしょう。

2012年1月24日火曜日

知らないってのは恐ろしい ホスティングの話⑤

ホスティングサービスには大きく分けて、(1)ホスティング業者が直接提供するタイプと、(2)IT業者がホスティング業者からサービス環境を間借りして提供するタイプの2つがあります。ホスティング業者による直接サービスである(1)より、確実に料金が高くなるIT業者系由の(2)の存在意義については、前回、我が社を例に説明しました。

我が社が構築するウェブサイトは、SEOなどウェブマーケティングを万全に行うため、大量にトラフィックのあるサイトとなり、その分、データ転送量がかさみます。また、何十万件以上のデータを扱うようなサイトでは、データベース容量もかさみます。そうしたケースでは、通常のホスティング会社の共用サーバーでは、コスト的に合わなくなりがちです。

かといって専用サーバーを1社で使用するのもコスト的に厳しい場合があるため、我が社では、信頼性の高い(コストもですが……涙)ホスティング会社から専用サーバーをいくつかレンタルし、クライアント数をかなり限定した上で共用しています。ただしこれは必要に迫られてやっているだけで、利益を追求しているわけではありません。従って、通常なら存在しないホスティングサービスだと思いますので、今回は、もう少し一般的なサービスについて考えてみます。

大手でもエキスパートは一握り

ホスティングをレンタルする上で、その業者のサポート体制はとても重要です。安定稼動が当たり前とはいえ、トラブルは皆無ではないため、何らかのトラブルが発生した際に、どういうサポートをどれだけ迅速に受けられるかが非常に重要なのです。「優良なホスティング業者なら、この点は問題ない」と言いたいところですが、優良な業者は、基本的に大手になると思います。そして大手の技術サポートは、マニュアル通りのお決まりの対応が多く、問題によってはすぐに解決できない場合も多いのです。

もちろん、社内にシニアクラスのエキスパートは多少いるはずですが、彼らと話せる段階に行くまでに時間がかかります。最初はまず“1次サポート君”たちの、マニュアル通りの確認と検証に付き合わねばなりません。会社はホスティングの専門かもしれませんが、窓口の彼らは知識も経験も乏しいというのが実情です。

素人がやり取りするには少し敷居が高い

いくつかのメジャーなホスティング業者とやりとりをした経験では、窓口の“1次サポート君”と話しても得ることがほとんどなく、例え100%ホスティング業者側の責任で解決すべき事柄だったとしても、時間的に待っていられないので、自分たちで問題を解決してしまうことがほとんどです。我々はITのプロなのでそれが可能なわけですが、もしも素人の顧客が、窓口の彼らとやり取りしなければならないとなると、結構恐ろしいものがあると思います。

そうした点で、ホスティング業者と素人の間に入るIT業者の存在価値はあると思います。さらに、もし日本語でサポートを受けたければ、単に日系IT業者がホスティング業者のサービスにマージンを乗せただけの様なサービスであっても、それなりの価値はあると思います。ただし、その業者が「にわかIT業者」では、当然ながら意味はありません。そして日系も米系も「にわかIT業者」がめちゃめちゃいるのも事実だと思います。

とはいえ実際には、間に入っているのが「にわかIT業者」だったとしても、トラブルは少ないと思います。問題もなかなか表面化しないでしょう。それはなぜでしょう? まあ皮肉というか必然というか、理由を聞いてしまえば誰でも納得できる話なのですが、これについては次回、このテーマの最終章でお話しします。

さて、IT業者(特に日系)系由のホスティングサービスについては、ずっと言いたかったことがあります。業者の技術レベルはとりあえず置いておきますが、例え日本語サポートという価値を付け加えているとしても、ホスティング業者から借りているスペースの原価を知っている者からすると、その料金体系は、ぼったくりが多過ぎです。もしも英語でのやりとりに問題なければ、迷わず米系をお奨めします。