これは節約できる予算か? 英語編
今年の初めに、本連載の「知らないってのは恐ろしい」シリーズにおいて「痛い英語サイト」の話をしました。日系
業者が作る“英語”サイトには、英語のネイティブからす
ると変な表現になっているものが少なくなく、たとえ文法
的に正しく表現されていたとしても、インパクトに欠けた
魅力のない文章になっているのが関の山、という状況です。
こういうサイトが生まれ、放置されたままになる背景とし
て、依頼主も制作者も英語ネイティブでないため、自分達
のサイトの英語がそこまで痛いものになっていることを理
解できておらず、そもそも問題に気付いていないという点
を指摘しました。
本末転倒なリニューアル
先日、日本のクライアントのアメリカ向け英語サイトをリ ニューアルすることになりました。クライアント側でコン テンツの英文を作成してこられたのですが、非ネイティブ が作成したものだと一瞬で分かってしまう文章だったため、 何度も我が社のネイティブによる編集サービスをお勧めし ました。しかし、「特に必要ない」の一点張りだったのです。 我が社のサービスを売りつけたかったわけではなく、この ままサイトを公開しても、かなり痛いことになると分かっ ていたので説得したのですが、結局断念しました。
我が社の場合、英語サイトの業務であれば、高い英語力を 有するネイティブが作業を担当します。その文章を見た彼 らは、「こんな違和感だらけの文章をなぜわざわざ載せるの か?」と私を問いつめてきたのです。正直、返す言葉があ りませんでした。そのクライアントが、“英語”の問題をど れくらい自覚されているのかは分かりませんが、1つには 予算の問題があったのだと思います。予算が限られている 中で、ネイティブによる英語の編集は不要と判断されたの でしょう。
一応補足しておくと、クライアントによるその英文は、非 ネイティブが書いたものにしてはよく頑張った方で、決し て意味が通じないわけではありません。ただ彼らの売ろう としているものがとても高額なため、英文の出来が悪けれ ば企業の信頼性を問われること、そしてサイトの訪問者の 多くは完璧なネイティブ言語を期待していることが予想さ れるため、このままでは痛いと判断しました。何のための リニューアルなのか意義を感じられず、何ともやるせない 思いでした。
ネイティブというだけでは不十分
もっと厄介なケースもありました。あるクライアントが、 オンラインショップの商品説明ページに、8つの項目にお ける100人のユーザー評価を多角形のチャート(くもの巣 状)形式で表現したものを追加されたのです。その図は 「Comparison Chart」と表現されていました。それを見た我 が社のネイティブが「これは比較表ではないので Rating Chart の方が適切です」と、軽い気持ちで指摘したのですが、 その日本人担当者のプライドに触れてしまったのか、「いや、 そんなことはない。社内のネイティブにも確認させた」と、 逆に強い反発にあってしまったのです。
こうなると、どちらのネイティブの英語が正しいのかを検 証・証明しなければなりません。当然ながら、同じネイテ ィブといえども、言語能力は千差万別です。下手をすると、 相手側のネイティブのメンツをつぶすことにもなってしま うので、とても厄介でした。もっともその日本人担当者が 社内のネイティブに確認をとる過程で問題があった可能性 もあり得ます。それくらい初歩的な英語の話だったのです が、とても後味の悪い苦労をした覚えがあります。
当時の担当者は既にその会社を退職されているため、ここ まで具体的な話をご紹介できたわけですが、これはあくま でも軽い一例で、このクライアントに限らず、「社内のネイ ティブが確認した」という英文なのに、「本当に?」と驚か されてしまうケースを何度も経験しました。そもそも、ど んなに英語が得意だとしても、日本育ちの日本人が英語表 現の質の高低を見極めることなど無理だと私は思っていま す(したがって無意味なプライドも不要です)。だからこそ ネイティブのサポートが不可欠なのですが、同時にネイテ ィブの言語力も千差万別であることを認識して、「ネイティ ブだから」というだけで過信しないことが重要なのです。
本末転倒なリニューアル
先日、日本のクライアントのアメリカ向け英語サイトをリ ニューアルすることになりました。クライアント側でコン テンツの英文を作成してこられたのですが、非ネイティブ が作成したものだと一瞬で分かってしまう文章だったため、 何度も我が社のネイティブによる編集サービスをお勧めし ました。しかし、「特に必要ない」の一点張りだったのです。 我が社のサービスを売りつけたかったわけではなく、この ままサイトを公開しても、かなり痛いことになると分かっ ていたので説得したのですが、結局断念しました。
我が社の場合、英語サイトの業務であれば、高い英語力を 有するネイティブが作業を担当します。その文章を見た彼 らは、「こんな違和感だらけの文章をなぜわざわざ載せるの か?」と私を問いつめてきたのです。正直、返す言葉があ りませんでした。そのクライアントが、“英語”の問題をど れくらい自覚されているのかは分かりませんが、1つには 予算の問題があったのだと思います。予算が限られている 中で、ネイティブによる英語の編集は不要と判断されたの でしょう。
一応補足しておくと、クライアントによるその英文は、非 ネイティブが書いたものにしてはよく頑張った方で、決し て意味が通じないわけではありません。ただ彼らの売ろう としているものがとても高額なため、英文の出来が悪けれ ば企業の信頼性を問われること、そしてサイトの訪問者の 多くは完璧なネイティブ言語を期待していることが予想さ れるため、このままでは痛いと判断しました。何のための リニューアルなのか意義を感じられず、何ともやるせない 思いでした。
ネイティブというだけでは不十分
もっと厄介なケースもありました。あるクライアントが、 オンラインショップの商品説明ページに、8つの項目にお ける100人のユーザー評価を多角形のチャート(くもの巣 状)形式で表現したものを追加されたのです。その図は 「Comparison Chart」と表現されていました。それを見た我 が社のネイティブが「これは比較表ではないので Rating Chart の方が適切です」と、軽い気持ちで指摘したのですが、 その日本人担当者のプライドに触れてしまったのか、「いや、 そんなことはない。社内のネイティブにも確認させた」と、 逆に強い反発にあってしまったのです。
こうなると、どちらのネイティブの英語が正しいのかを検 証・証明しなければなりません。当然ながら、同じネイテ ィブといえども、言語能力は千差万別です。下手をすると、 相手側のネイティブのメンツをつぶすことにもなってしま うので、とても厄介でした。もっともその日本人担当者が 社内のネイティブに確認をとる過程で問題があった可能性 もあり得ます。それくらい初歩的な英語の話だったのです が、とても後味の悪い苦労をした覚えがあります。
当時の担当者は既にその会社を退職されているため、ここ まで具体的な話をご紹介できたわけですが、これはあくま でも軽い一例で、このクライアントに限らず、「社内のネイ ティブが確認した」という英文なのに、「本当に?」と驚か されてしまうケースを何度も経験しました。そもそも、ど んなに英語が得意だとしても、日本育ちの日本人が英語表 現の質の高低を見極めることなど無理だと私は思っていま す(したがって無意味なプライドも不要です)。だからこそ ネイティブのサポートが不可欠なのですが、同時にネイテ ィブの言語力も千差万別であることを認識して、「ネイティ ブだから」というだけで過信しないことが重要なのです。