異常さに気づけない人が増えている?異常さ

警察による黒人への不当な殺人事件後、よくあるのはその犠牲者が過去にxxの犯罪歴があったとか、隣人コメントで“アイツはxxな悪党だった”と、要は“殺されても仕方無かった人物”的な報道です。

勿論そう明言はせずとも、そういった印象付けを意図した報道をするメディアは確実にあり、彼らは大体の場合、黒人被害者の写真も、あえて悪そうに見えるものをあからさまに選んで掲載する傾向があるので、写真を見ただけでも、そのメディアがどのスタンスに立っているのか、結構簡単に分かるときもあります。

Fox NewsやBreitbart News、今だとOne America News Network(OANN)とかいう新興メディアなんかはその典型と言えますが、正に彼らの意図したプロパガンダをモロに鵜呑み or 影響されているアメリカ人達が一定数いる事は知っています。

しかし自分は最近日本のニュースのコメント欄も見るようになったのですが、全く近い感じで、被害者をむしろ貶めるようなコメントを平気で書き込んでいる人がいるのを見て驚きました。数もそこそこあり、同一人物による別名での書き込みなのか、この手の印象操作にまんまと乗せられている人たちがそこまでいるのかは不明ですが、同じ日本人としてあまりに恥ずかしく感じました。なぜこれがプロパガンダであるかは、それこそ1つのポイントで指摘できます。

警官は裁判官(陪審)でも死刑執行人でもない

どんな容疑があったにせよ、先進国では起訴、裁判という法的手続きを経て、仮に有罪になり刑罰が死刑と下れば、後に死刑執行される、という程度の権利は誰にでも認められているという、基本的人権すら無視した警察の越権行為を批判している話であり、過去云々を持ち出していれば、話の本質のすり替えそのものです。

20ドルの偽札を使った疑惑が掛けられただけで、いきなり殺されていれば、まず刑罰がおかしい上、その警官はその瞬間に裁判官(陪審員)役を勝手に経て死刑執行したような話で、法治国家的にあり得ないですよね?

逆にその警官が殺人罪で問われるべきであり、この無法行為に皆抗議しているのです。そして結局、最後は和解金を遺族に支払うだけで、(謝罪すらなく)警官が無罪放免になるケースがほとんどで、この警察のシステムの腐敗と破綻具合に人々は更に抗議しているわけです。

別の最近のケースで、警官からの静止を振り切って逃げたとか、警官を殴った事で、結果射殺された事件も、“そんな行動を取れば、そういった目に遭うのは当然”的なコメントを多々見ました。

本質的問題は上記と同じで、警官自身が本当に生死の危険がない状況で、相手を好き勝手に殺して良い権利など、彼らにはないので、まず当然でも何でもなく極めて異常なことです。

脅威の3ストライク法の存在

あと「何でそんな(警官に抵抗するような)行動に出るのか理解できない」という声も多いわけですが、アメリカには3ストライク法があります。

これは適用されている州によって、ルール内容も厳密には違っているようですが、大枠の理解用に、Wikiから抜粋します。

『制定当初は重罪の前科が2回以上ある者が3度目の有罪判決をうけた場合、その者は犯した罪の種類にかかわらず終身刑となるという立法』

『二度の犯罪歴を持つ者が、2ドル50セントの靴下の万引きで終身刑、またピザ一切れを奪ったとして懲役25年を宣告される事例などが発生』

『過去20年間犯罪歴のない所帯持ちの男性が些細な万引き、あるいは大麻の所持などで終身刑を言い渡されるような事例も存在』

現在はいくつかの州で条件を緩和したり、刑を軽くしたりする法改正は行われているそうです。

賛否のある法ですが、再犯率の高いアメリカで抑止力として考案され、実際に犯罪率の軽減につながった例はある一方で、3ストライク目で捕まる(終身刑になる)くらいなら、逆にやけになって重罪を企てるケースもあるとか。

まずこの3ストライク法には、致命的な瑕疵が2つあると思っています。

1:「重罪」の定義が非常に危うい

州により違いがあるとはいえ、多くは「長期1年以上の刑の科せられる犯罪」という定義になっており、殺人、過失致死、放火、強盗、誘拐など凶悪犯罪は勿論理解できますが、暴行、家庭内暴力、酒酔や麻薬使用時の運転、麻薬絡みの犯罪なども含まれます。そしてこれが#2と複合的に絡むので危うさを増します。

2:警官は決して公平・公正ではない

この法は全国民に対して警察がフェアに機能しているという大前提で考え、制定されたとすれば、それなりに適切に機能したと思いますが、現実はまったく異なります。

こちらのFacebookで、毎日のように周って来る不当逮捕や理不尽に暴力をふるう警察の動画を見ているとより実感できるのですが、警察には白人至上主義者がそれなりにいるという事実です。KKKや過激派右派グループに所属している警察たちが、黒人など他人種に対して、フェアに振舞うはずもないわけです。

日本でも月末?になると、警察が交通違反の罰金稼ぎのノルマを果たそうと、取締り強化しますよね?(私は渡米約20年なので、今の日本の警察は不明ですが。)

あんな感じでアメリカの警察は、例えば乗車している人の肌の色だけ見て、車をがんがん止めますし、ただ公道にいるだけでもそれが白人エリアであれば、簡単に不審者扱いします。

3ストライク目なら、どんな軽犯罪でも相手を終身刑(州により死刑)にできるわけですから、彼らがどんな些細なことに言いがかりをつけてでも、検挙しまくるモチベーションも容易に想像できますよね?

警官が差別主義者で、有色人種へ悪意むき出しで対応している、という仮定でこの法を見るなら、えぐい結果にしかなり得ないわけです。

そしてこれは仮定ではなく現実です。警察の労働組合は前回も今回も、トランプ氏の支持を表明していることから、どの程度の割合で警察内を白人至上主義者や差別主義者が占めているのか、想像するに難しくないかと思います。

実際に動画で見る悪警官たちの振舞いには結構共通点があり、最初こそ皆普通なのですが、いきなり尋問を始められた側が(例えば何の容疑でこんな目に遭っているのか)少しでも逆質問なりしようものなら、態度を急変させ、”俺様が法律だ”と云わんばかりに、独裁者気取りで自身の違法行為もおかまいなしに相手へのハラスメントをエスカレートさせるパターンを何度も見ました。

そしてこの3ストライク法がある州なら、警察に拘束されると、(例え撃たれるリスクがあろうとも)必死で抵抗して逃げようとする黒人がいても、何ら不思議はないでしょう。

勿論、逆に完全無抵抗で警察の指示通りに行動する黒人もいます。それでも結局最終的に警察に不当に射殺される事件が、警官のボディカメラの映像が数年後に公開されるなり、運よく誰かの動画で記録されていたなりで、いくつも発覚しています。(それも氷山の一角でしょうけど。)

LA Timesで以前書かれていた事で、コンプトンには警察官で構成されたギャング的なグループまで存在するそうです。例えば誰かを不当に射殺しても、「いや〜相手が銃を持っていたんで‥」と、いつでも死体横にささっと置ける銃を余分に携帯していて、自分達が捕まることはまず無いとか。ボディカメラもその場全員のカメラがなぜか”偶々”故障するなり、停止していた、なんて話もいつものことです。そのレベルの悪警察が普通に存在し、そのレベルから警察を疑う必要があるわけです。

そういう現実を知っているからこそ、警察自体を信用できず、止められただけで戦々恐々とパニックになるのも、また至極当然でしょう。

更にこの国の貧富の差、教育システム、キャリアシステム、医療体制など、要は社会そのものが決してフェアに出来てはおらず、特に貧困層が生活水準を上げること自体、無理に近いといえるので、その状況下に置かれている人たちの犯罪率が高くなるのも残念ながら当然です。

誤解のないよう、勿論私も犯罪は悪と考えますし、犯罪者を無条件に擁護しているわけではありません。

自分たちからは到底知り得ない相手の事情や環境が背景にある可能性くらいは念頭に置き、知りもしない相手を軽率に貶めるようなことは絶対にすべきではない、ということです。

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