欧米の顧客が獲れない理由

(U.S. FrontLine誌 2016年07月号 掲載分、一部加筆あり)

多忙にて半年ほど、休載を頂いておりましたが、原稿の締切に追われない生活は、本当に素敵でした(笑)。とりあえず半年ほど、またお付き合いください。

最近、日本からアメリカ市場など、欧米進出を画策されている企業からの問い合わせをたくさん頂きます。日本の景気低迷、もしくは市場の閉塞感からか、新規市場を求める企業が増えているのかもしれません。

英語圏の顧客獲得が困難な理由として、文化や価値観、言語の違い、挙げればきりがないのですが、ほとんどのケースは、それ以前の極めて基本的な問題で失格していると言えます。それは「相手に対する尊重」の欠如です。

先日も何件か、現行英語サイトのコンテンツの質や進むべき方向性など、コンサルティングサービスとして、色々とフィードバックをさせて頂いたのですが、当社のネイティヴのマーケッターたちの指摘が、日系企業のグローバル展開で、よくありがちな問題にかなり共通していたので、可能な部分で、少し共有しようと思います。

スタンスは、見透かされる

サイトデザインはモダンで、レスポンシブWebデザイン(モバイル対応サイト)になっており、他の競合のスモールビジネス感溢れる、古いサイトと比較すれば、明らかに大手の先端企業のイメージ。

ところが、マーケッターの総評は、「英語のネイティブのクライアントを、本気で獲りたがっているようには見えない。誰かがパッションを持って仕事をしてくれる気がしない。高いクオリティのサービスは期待できない」といったネガティブなものでした。

理由は複合的でしたが、一言で言えば「英語の雑さ」で、トップページからも、直訳もしくは非ネイティブ英語があまりにも目立つとのことでした。

具体的には、(日系企業で軽視されがちな)誤字や大文字・小文字の不統一、スペース規則無視などが多々ある上、ロジック的に整理されておらず、短いセンテンスひとつ理解するにも、かなりの労力と努力を必要とするらしいのです。

コンテンツに掛けられている、努力やケアの乏しさ、ビジネス上での英語(サイト)のプライオリティの低さが透けて見えるため、ネイティブからすると、本気さ・尊重を全く感じられず、舐められ、雑に扱われている感覚にしかならない、という指摘です。

完璧な英語が必要か?

一般的に、提供している商品・サービス・技術が唯一無二、もしくは希少価値があり、競合が全くいなければ、たとえ英語サイトの質が酷くても、ビジネスが成立する可能性は高いと言えるでしょう。ただそういうビジネスは稀で、特にオンラインでは、基本的に同業他社の大半が競合となり、その中から、選択肢に入れて貰えるかを競うことになります。

デザインも古く、決してモダンとは言えないような競合サイトでも、タイポもあり完璧な英語ではなくとも、スムーズでよく整理され、その分野の専門性を感じさせたり、人間味やパッションを感じさせたりすると、非ネイティブながら一生懸命何かを伝えようと、ベストを尽くしているのが伝わってくるため、真面目さや誠実さも伝わり、好評価でした。

重要なのが、「英語が下手であっても、それは相手の人格や仕事っぷりの評価ではない」ことです。アメリカに住んでいれば、誰でも実感できると思うのですが、内容がクリアにさえ伝われば、たとえ完璧な発音や文法でなくとも、相手に咎められるわけでもなく、ごく自然にやり過ごすことができるはずです。

見た目も文体もクールな、大手のブランディング路線の場合、そこに拙い英語が来ると、逆にコンテンツを雑に扱っていると受け取られ、英語圏の潜在顧客への細かいケアもなく、(大手の横柄な企業体質的)ネガティブな印象を際立たせることになります。

大手のブランディングであれば、雑さは許されず、完璧さを要求されますし、スモールビジネスであれば、謙虚さや愛嬌、パッションを感じさせると刺さる場合があり、自社がとるべき路線を正しく見極める必要があります。

英語の質とSEOとの関係

多くの誤字や機械翻訳を含む、拙い英語のページは、実はSEOにも色んな悪影響を及ぼす可能性が高く、例えばページを量産するために機械翻訳を多用する、一昔前のスパム手法があり、図らずともその類のページと、検索エンジンに見なされる可能性があります。

また英語のネイティブが、拙い雑な英語ページへ訪れた場合、そのまま離脱する可能性も高く、サイトの滞在時間も短くなりがちです。それらは、コンテンツの品質評価をかなり重要視するようになっているGoogleから、ロー・クオリティ・スコアとして、罰則を受ける可能性が高いのです。

販促用の英語ホームページ制作における最大の課題など、こちらでも説明していますので、併せてご参照ください。英語Webサイト制作について >>>

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