中小企業が生き残るには(21)印象1
(U.S. FrontLine誌 2012年3月20日号 掲載分)
企業やお店、あるいはブランドや商品の印象を決めるものは何だと思いますか? オフィスや店舗の場合は外観や内装、また広告や商品パッケージのデザインなどが、すぐに浮かぶのではないでしょうか?
見た目は大事
会社を立ち上げて3年目の頃だったと思います。オフィスはビーチから1ブロックで、開放感があり澄んだ空気が気持ちよく、ロケーション的にはとても贅沢をしていました。もちろん家賃も相応に高かったのですが、内装にはほとんどお金を掛けず、オフィス家具も、私が日本で勤めていた時代のオフィスの感覚を引きずっており、日本によくありがちな、頑丈さだけがとりえのようなグレーのスティールデスクに、何の変哲もないグレーのパーテーションやホワイトボードといったものでした。
言葉だけでお伝えするのが難しいのですが、イメージ的には、日本の田舎にある、地味な会計事務所みたいな感じでしょうか。とにかくできる限り、最もつまらなそうなオフィスを想像してみてください。きっとそれに近いです…
パートナーは最初から猛反対していたのですが、私が出資していたこともあり、何にいくら使うのか、私がほとんど独断で決めていたため、最初は内装などは最低限で済ませ、その分サーバーやPC、ソフト等には充分にお金を掛けるといった、ある種のエンジニアドリームを実現していました(笑)
その頃の私は、外面など飾らなくとも、内面の技術さえしっかりしていれば、いつか必ず伝わるはず、という考え方だったのですが、パートナーから、「仕事の内容は極めてクリエイティブなことをしているのに、このオフィスではそれが一切感じられないし、来社してくれた人も、おそらく同じ感覚を抱くはずだ」と指摘され、とりあえず内装にもお金を掛けることを承諾しました。
それこそ天井から壁、床までモダンでユニークな雰囲気に変え、ライトも特注したフレームにし、オフィス家具も全てグラス調に変え、レイアウトも空間を最大限に、うまく生かすようにしたのです。その結果、ほとんどの方に、「わぉ、素敵なオフィスですね!」と言っていただけるようになりました。
そして何より、来社していただいた潜在顧客の方に対して、改装前と特に変わらないコンサルテーションをしていたにも関わらず、前とは明らかに違い、「なるほど! とても勉強になります」的な、納得のリアクションが格段に増えたのでした。
人の当然の心理
正直最初は、「こちらのスキルは何ら変わっていないのに、ここまであからさまに信用のされ方が違うのは何なんだ(怒)!」と、本質を見ようとせず、表面的なもので判断している相手の資質を、むしろ疑いたくなったくらいでしたが、徐々にこれがむしろ、人の当然の感覚、心理であると理解することができました。
何故なら私自身も、日常生活でそういった価値判断を常にしてきたことに気が付いたからです。例えば、パッケージが安っぽい冷凍食品を見ると、それだけで品質まで疑ってかかったり、不動産エージェントがどんなに感じのよい人だったとしても、乗っている車が明らかに中古のボロ車だと、失礼を承知で「この人、あまり仕事ができない人なのかなぁ?」と、内心思ってしまったりする自分がいました。
誰もダサいヘアスタイルの美容師の所へは行きたくないのと同じで、何よりウェブサイトが悲惨な業者に、デザインを頼みたくはないですよね? 当時の状況としては、おそらくこの逆で、ウェブを見て、せっかく期待感をもって来社していただいたのに、オフィスが冴えず、不必要な不安を与えてしまっていたのだと思います。
そして実際には技術面にはお金は掛けていたのですが、表面的にそうは映らなかったため、マーケティングという売上を伸ばすサービスを行っている会社で、価格もそれなりにするのに、クライアント候補からすれば違和感があったのだと思います。
真実がどうあれ、相手に正しく伝わらなければ、ビジネスは成立しない。とても基本的なことですが、私が身をもって学習したことでした。以来、我が社では、事業拡張でオフィスを移転する度、内装にも本気で取り組んでいます。今のオフィスも、近所では結構評判らしいです。まぁ掃除のおばさんからの情報ですけどね(笑)。
企業やお店、あるいはブランドや商品の印象を決めるものは何だと思いますか? オフィスや店舗の場合は外観や内装、また広告や商品パッケージのデザインなどが、すぐに浮かぶのではないでしょうか?
見た目は大事
会社を立ち上げて3年目の頃だったと思います。オフィスはビーチから1ブロックで、開放感があり澄んだ空気が気持ちよく、ロケーション的にはとても贅沢をしていました。もちろん家賃も相応に高かったのですが、内装にはほとんどお金を掛けず、オフィス家具も、私が日本で勤めていた時代のオフィスの感覚を引きずっており、日本によくありがちな、頑丈さだけがとりえのようなグレーのスティールデスクに、何の変哲もないグレーのパーテーションやホワイトボードといったものでした。
言葉だけでお伝えするのが難しいのですが、イメージ的には、日本の田舎にある、地味な会計事務所みたいな感じでしょうか。とにかくできる限り、最もつまらなそうなオフィスを想像してみてください。きっとそれに近いです…
パートナーは最初から猛反対していたのですが、私が出資していたこともあり、何にいくら使うのか、私がほとんど独断で決めていたため、最初は内装などは最低限で済ませ、その分サーバーやPC、ソフト等には充分にお金を掛けるといった、ある種のエンジニアドリームを実現していました(笑)
その頃の私は、外面など飾らなくとも、内面の技術さえしっかりしていれば、いつか必ず伝わるはず、という考え方だったのですが、パートナーから、「仕事の内容は極めてクリエイティブなことをしているのに、このオフィスではそれが一切感じられないし、来社してくれた人も、おそらく同じ感覚を抱くはずだ」と指摘され、とりあえず内装にもお金を掛けることを承諾しました。
それこそ天井から壁、床までモダンでユニークな雰囲気に変え、ライトも特注したフレームにし、オフィス家具も全てグラス調に変え、レイアウトも空間を最大限に、うまく生かすようにしたのです。その結果、ほとんどの方に、「わぉ、素敵なオフィスですね!」と言っていただけるようになりました。
そして何より、来社していただいた潜在顧客の方に対して、改装前と特に変わらないコンサルテーションをしていたにも関わらず、前とは明らかに違い、「なるほど! とても勉強になります」的な、納得のリアクションが格段に増えたのでした。
人の当然の心理
正直最初は、「こちらのスキルは何ら変わっていないのに、ここまであからさまに信用のされ方が違うのは何なんだ(怒)!」と、本質を見ようとせず、表面的なもので判断している相手の資質を、むしろ疑いたくなったくらいでしたが、徐々にこれがむしろ、人の当然の感覚、心理であると理解することができました。
何故なら私自身も、日常生活でそういった価値判断を常にしてきたことに気が付いたからです。例えば、パッケージが安っぽい冷凍食品を見ると、それだけで品質まで疑ってかかったり、不動産エージェントがどんなに感じのよい人だったとしても、乗っている車が明らかに中古のボロ車だと、失礼を承知で「この人、あまり仕事ができない人なのかなぁ?」と、内心思ってしまったりする自分がいました。
誰もダサいヘアスタイルの美容師の所へは行きたくないのと同じで、何よりウェブサイトが悲惨な業者に、デザインを頼みたくはないですよね? 当時の状況としては、おそらくこの逆で、ウェブを見て、せっかく期待感をもって来社していただいたのに、オフィスが冴えず、不必要な不安を与えてしまっていたのだと思います。
そして実際には技術面にはお金は掛けていたのですが、表面的にそうは映らなかったため、マーケティングという売上を伸ばすサービスを行っている会社で、価格もそれなりにするのに、クライアント候補からすれば違和感があったのだと思います。
真実がどうあれ、相手に正しく伝わらなければ、ビジネスは成立しない。とても基本的なことですが、私が身をもって学習したことでした。以来、我が社では、事業拡張でオフィスを移転する度、内装にも本気で取り組んでいます。今のオフィスも、近所では結構評判らしいです。まぁ掃除のおばさんからの情報ですけどね(笑)。