中小企業が生き残るには⑲ 知名度2

(U.S. FrontLine誌 2012年2月20日号 掲載分)
前回、資本力の劣る中小企業にとって、アイデアをうまく生かせば広告費を何分の1にも抑えることができる「バイラル(口コミ)マーケティング」が救世主になる可能性について、お話しました。ただし、SEO(自然な検索結果での上位表示)を遥かに凌ぐ至難の業であることにも触れました。そして、バイラルマーケティングとはどんなものかをイメージしていただくために、あるオンラインユーザーのピザ注文時での遊びをヒントに取り上げました。

昨年末話題を呼んだビデオ

ちょうど昨年のホリデーシーズンの終わりくらいのことです。ご存知の通り、アメリカにおいて、この時期のオンラインショップのセールスは凄まじく、配送業者にとっても1年で一番忙しい時期でもあります。配送業者と言えば、アメリカではUSPS、UPS、Fedexあたりが真っ先に浮かびますが、USPSも破産寸前でかなりのサービス廃止をするらしく、どの業界も大変なんだなぁと思っていた頃でした。
この時期オンラインで、かなり有名になったビデオがありました。それこそ色んなメディアでも取り上げられていたので、ご覧になられた読者の方も多いかもしれません。そのビデオとは、あるコンピューターのモニターを注文した顧客の家へ、Fedexの配達人が届ける一部始終を、たまたまその家の監視カメラが20秒程録画したものです(本当に偶然だったのか、真相は不明)。
その荷物はサイン不要のものだったらしいのですが、配達員は、家の前でドアベルを鳴らすこともなく、柵の上から、ぽいっとモニターを庭へ投げ入れて立ち去るという、ちょっとした衝撃映像でした。日中だったので、かなりクリアに映っています。もちろん、そのモニターは壊れていて、返品しなければならなかったそうです。受け取り人いわく、その時は自宅におり、玄関のドアも開いていたとか。
その人がYoutube(動画投稿サイト)へ映像をアップしたところ、5日で500万回以上の視聴がされたらしいです。話はここまでなのですが、もしもこれが、Fedexに対するネガティブキャンペーンだったとしたら、もの凄く効果的ですよね。しかも制作費はほとんどゼロに近いし(笑)。ただ実は、UPSもUSPSでも似たようビデオは存在するみたいです。もしかしたら、お互いを刺し合っているのかも。

昔話題になったバイラル

また、これは全く別のバイラルの例なのですが、かなり昔に話題となった、ダイエットコークのペットボトルに、メントス(ミント味のキャンディー)をいくつか入れると、 急激に炭酸が気化し、泡が一気に数mの高さまで(やりようによっては10m以上も)吹き上がるというものです。覚えていませんか?
2002年に、物理学教師スティーヴ・スパングラーが、News9セグメント(KUSA-テレビ)で、この爆発を実証して以来、2006年あたりをピークに、Youtubeから一気に広 まっていったのです。例えばラスベガスのべラージオホテルの前で、噴水ショーさながら、という映像もありました。噴き出す泡の高さを競うコンテストも始まり、今では、コカ・コーラ社とメントス社がスポンサーになって開催されているほどです。
ちなみに私は、たまたま見ていた刑事ドラマの中でこの実験をして遊ぶシーンが出てきて、知りました。その時、「これはもしかしたら、天才的なマーケティングアイデアなのではないか」と感心したのを覚えています。
私にとって何が斬新だったかというと、この衝撃映像もさることながら、「モノを売るという行為においては、必ずしも本来のモノの用途など関係もなく必要もない」という事実を突きつけられたことです。
もし、その頃私が若い学生だったら、確実にダイエットコークとメントスを買いに行ったことでしょう。ちなみにコークもメントスも、私が好きな味ではなく(というかむしろ苦手で)、飲食という目的なら絶対に自分から手を出すようなアイテムではないのにも関わらずです。しかもおそらく、色々遊びたいので、大量購入したことでしょう。事実、両社は売上を大きく伸ばしたそうです。

露出できる方法は様々

どちらも、一応最初から商用目的に制作されたバイラルビデオの例ではありません。またFedexにしても、コカ・コーラやメントスにしても、大手で既に名前は知られており、中小企業がこれから知名度を高めていく、という例としては不適切かもしれません。それでも、発想を膨らませれば、色々な可能性が広がると思いませんか?

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