大金をかけたシステムが使い物にならない!その1
いきなりですが、「システム」って何だか知ってます?
IT業界ではこの言葉をよく耳にします。一般の方には馴染みが薄いかもしれませんが、知らないうちに誰もが利用しているものです。YahooやGoogleなどの検索エンジン、amazon.comに代表されるショッピングサイトなどは、全てシステムで作られています。用途に合わせて様々なシステムがあり、レストランで店員さんがタッチパネル式の機械に注文を登録しているのもシステムです。店員さんは、あらかじめ登録されていた料理名を画面に呼び出し、注文を入力します。
こうして入力されたデータは全て「データベース」という情報の格納庫で管理されます。データベースは情報の詰まった大きな箱です。ただ、それだけではあまり役に立ちません。情報を便利に使えるように、プログラミングして操作画面を改良したり、必要な情報を印刷できたりするようにします。書類をダンボール箱に溜めておくだけでは、後で探す際に不便ですよね。内容ごとにフォルダに挟み、付箋を付けておけば分かりやすくなります。このダンボール箱がデータベース、フォルダや付箋が操作画面だと考え
とイメージしやすいでしょうか。
このように、データベースや操作画面を用意する一連の作業を、システム開発と呼んでいます。
2次請け、3次請けは当たり前
日本にいた頃のことです。ある会社が、販売管理システム(取引先からの注文や仕入先への発注を始め、売上、在庫、請求、入金、支払などを管理するシステム)の開発を、あるソフト会社に依頼しました。しかし、そのソフト会社には開発できる人材がおらず、システムの設計と開発を、それぞれ別の2社に外注したのです。
これは、IT業界にはよくある話です。規模の大きい仕事であるほど、実際に開発を行う業者は2次請け、3次請けというのは当たり前で、一説には、直請けだけで仕事のできている業者はわずか5%以下とも言われています。ですから、開発の多くはエンドユーザーの声の届かないところで行われがちで、その弊害は少なくありません。
第一声は「遅っ!」 唖然とする現場
取引先からの注文をシステムに入力する際は、「何の商品を幾らの価格で何個」という情報を入力します。「何の商品」かを入力する場合、あらかじめ登録された商品情報から該当する商品を呼び出して指定します。ですから、納品された販売管理システムには、商品情報を照会する機能がありました。ところが、この機能がとてつもなく遅いのです。商品を一つ選択するのに5~10分も要すのでした。プルダウン(ドロップダウン)式だったのですが、クリックした後、しばらくじっと待つ必要がありました。毎日大量に注
文を入力するわけですから、これでは使い物になりません。
動作が遅い理由は、登録されている商品数が数万件にも及ぶためでした。一般的にプルダウン式の場合、リストに表示させる全情報を、ユーザーがクリックする前にデータベースから取得しておきます。ですので、リストに数万件も表示させようとすれば、時間がかかるのは当然です。そして、そもそも数万件の中から、人間が視認して一件選ぶこと自体、非現実的です。
ではこれは誰の責任でしょう? システムの開発を始める前に、どれぐらいの商品数を取り扱うものなのか当然理解しておく必要があります。このケースでは、エンドユーザーとやり取りをしていたシステムの設計者は、それを理解していました。しかし、実際に開発を行う別の業者には伝えられていなかったのです。しかしプロならば「どういう状況でどう使用されるシステムなのか」正しいイメージをつかんでから開発に入るべきです。ちなみにこのシステム、1500万円の開発案件でした。そんな規模の仕事なのに、こんな程度のデキだったのです。
しかし驚いてはいけません。実はこれは、同じシステムの2回目の開発だったのです。1回目の開発でも失敗し、再度クライアントに予算をとってもらって行った仕事だったのでした……。
IT業界ではこの言葉をよく耳にします。一般の方には馴染みが薄いかもしれませんが、知らないうちに誰もが利用しているものです。YahooやGoogleなどの検索エンジン、amazon.comに代表されるショッピングサイトなどは、全てシステムで作られています。用途に合わせて様々なシステムがあり、レストランで店員さんがタッチパネル式の機械に注文を登録しているのもシステムです。店員さんは、あらかじめ登録されていた料理名を画面に呼び出し、注文を入力します。
こうして入力されたデータは全て「データベース」という情報の格納庫で管理されます。データベースは情報の詰まった大きな箱です。ただ、それだけではあまり役に立ちません。情報を便利に使えるように、プログラミングして操作画面を改良したり、必要な情報を印刷できたりするようにします。書類をダンボール箱に溜めておくだけでは、後で探す際に不便ですよね。内容ごとにフォルダに挟み、付箋を付けておけば分かりやすくなります。このダンボール箱がデータベース、フォルダや付箋が操作画面だと考え
とイメージしやすいでしょうか。
このように、データベースや操作画面を用意する一連の作業を、システム開発と呼んでいます。
2次請け、3次請けは当たり前
日本にいた頃のことです。ある会社が、販売管理システム(取引先からの注文や仕入先への発注を始め、売上、在庫、請求、入金、支払などを管理するシステム)の開発を、あるソフト会社に依頼しました。しかし、そのソフト会社には開発できる人材がおらず、システムの設計と開発を、それぞれ別の2社に外注したのです。
これは、IT業界にはよくある話です。規模の大きい仕事であるほど、実際に開発を行う業者は2次請け、3次請けというのは当たり前で、一説には、直請けだけで仕事のできている業者はわずか5%以下とも言われています。ですから、開発の多くはエンドユーザーの声の届かないところで行われがちで、その弊害は少なくありません。
第一声は「遅っ!」 唖然とする現場
取引先からの注文をシステムに入力する際は、「何の商品を幾らの価格で何個」という情報を入力します。「何の商品」かを入力する場合、あらかじめ登録された商品情報から該当する商品を呼び出して指定します。ですから、納品された販売管理システムには、商品情報を照会する機能がありました。ところが、この機能がとてつもなく遅いのです。商品を一つ選択するのに5~10分も要すのでした。プルダウン(ドロップダウン)式だったのですが、クリックした後、しばらくじっと待つ必要がありました。毎日大量に注
文を入力するわけですから、これでは使い物になりません。
動作が遅い理由は、登録されている商品数が数万件にも及ぶためでした。一般的にプルダウン式の場合、リストに表示させる全情報を、ユーザーがクリックする前にデータベースから取得しておきます。ですので、リストに数万件も表示させようとすれば、時間がかかるのは当然です。そして、そもそも数万件の中から、人間が視認して一件選ぶこと自体、非現実的です。
ではこれは誰の責任でしょう? システムの開発を始める前に、どれぐらいの商品数を取り扱うものなのか当然理解しておく必要があります。このケースでは、エンドユーザーとやり取りをしていたシステムの設計者は、それを理解していました。しかし、実際に開発を行う別の業者には伝えられていなかったのです。しかしプロならば「どういう状況でどう使用されるシステムなのか」正しいイメージをつかんでから開発に入るべきです。ちなみにこのシステム、1500万円の開発案件でした。そんな規模の仕事なのに、こんな程度のデキだったのです。
しかし驚いてはいけません。実はこれは、同じシステムの2回目の開発だったのです。1回目の開発でも失敗し、再度クライアントに予算をとってもらって行った仕事だったのでした……。