2013年5月3日金曜日

中小企業の行く末その①



(U.S. FrontLine誌 2011年4月5日号 掲載分)
言うまでもなく、オンラインビジネス市場は成長を続けて います。不況と言われる近年においても、オフライン市場 と比べれば圧倒的な安定感があります。ただし、オンライ ン市場の中でも確実に構造変革が起きており、資本主義の 原理の下、巨大資本の大手が市場を占めようという動きが、 近年恐ろしいほどのスピードで加速しているように感じて います。

Zapposという企業

オンラインショップの代表格といえば、やはり Amazon.comですが、彼らが靴のオンライン販売で有名な Zappos.comを2年ほど前に買収した時点で、こうした時代 の流れを強く感じずにはいられませんでした。

Zapposは、自らを「靴を売ることになった顧客サービス 企業」と称するほどの手厚いカスタマーサービスとユニー クな経営手腕で、非上場企業ながら、10年で年商10億ドル にまで急成長を遂げたオンラインショップです(ちなみに 2000年の年商は160万ドル程度)。同社のトニー・シェー 最高経営責任者(CEO)は、自らツイッター(個々のユー ザーが「ツイート」と呼称されるつぶやきを投稿し、それ を一般ユーザーが閲覧できるサービス)を積極的に活用し、 社員にも活用を勧めるほど、ソーシャル・ネットワークを 先駆的かつ最大限に活用してきたことでも有名なカリスマ 経営者。彼のツイッターを今確認したところ、フォロワー (彼のつぶやきを心待ちにしているファン)数が180万人を 越えているほどです。

アマゾンによる買収に関しては、シェー氏曰く「さらなる 急成長を目指すため」ということで、単に大手に中小が食 われたという話ではないのですが(売上げ的にも、完全に 大手になっていましたし)、私の中でZapposは、非上場企 業における小売ビジネスの中で希望の星であり、お手本の ような存在でした。ですから、私は「あそこまで強烈な成 功と力を手にした企業ですら、結局は大手に吸収されてし まうのか」と大きなショックを受けると共に、この先のオ ンラインビジネスの行く末において、不安を感じずにはい られませんでした。

業界スタンダードは 大手が規定してしまう

大手オンラインショップは膨大なユーザーベースを抱えて います。そのユーザーたちからすれば、大手ショップでの 買い物の体験値が蓄積されていくほど、結果的に、それが 今のオンラインショップ業界でのスタンダードとして、認 識されていくことになります。これは成り行きとして仕方 ないのですが、中小企業にとっては、かなり厳しい状況に 追いやられることになります。

例えば「カスタマーサービス」。たとえ土日祝日であって も、毎日24時間体制で対応してくれるのが大手です。また、 送料も以前なら「注文金額が××ドル以上なら無料」とい うのが暗黙のスタンダードだったように思いますが、最近 大手では「全品、注文金額に関係なく送料無料」というの は特に珍しくなくなりました。「アマゾン・プライム」とい う有料会員サービスに至っては、加入さえしていれば、い つでも「翌日必着」の発送が無料オプションになります。 その他、ストリーミングによるビデオ視聴もできるように なるなど、かなりお得なユーザー特典目白押しのサービス 体制を整えています。

一方、中小企業にとっては、同じサービスをまともに実現 するには、かなり無理があります。実際、我が社は2つの オンラインショップを運営していますが、週末に私が出社 して仕事をしていると(涙)、頻繁にカスタマーサービスへ の電話が鳴ります。もちろんウェブサイトには営業時間を 記載していますが、お構いなしのようです。私はそのよう な電話には一切出ませんので、必然的に対応は週明けとな ります。スタッフが月曜日に顧客へフォローの電話を入れ る頃には、「何ですぐに連絡がないんだ!」「なぜ発送にこん なに時間がかかるんだ!」と怒られることも、しばしばあ るようです。

中小企業が生き残るためには、とにかくオンライン業界の 現実をまず認識していただく必要があると思っています。 次回に続きます。

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