2013年9月28日土曜日

中小企業が生き残るには⑨ 基本

(U.S. FrontLine誌 2011年9月20日号 掲載分)
前回、あるクライアントの業界が、大手数社の台頭で業界 全体の構造が全く別物に変えられてしまったという話をし ました。全国で2万軒はあった町の小売店が、1割くらい にまで淘汰され、500社くらいあった卸業者も、今では2 社という恐ろしい現実です。そして業種は違えど、オンラ インという市場でも同じような淘汰が進行しているように 感じていることもお話ししました。

この流れは、資本主義社会である以上、どうすることもで きないのかもしれません。また中小企業が大手に資本力で 敵うはずもありません。ではどうすればよいのか?このシ リーズの最初に書いたように、少なくとも私には、絶対的 な解決法は見つけられませんが、おそらくこういう方向性 ではないかと感じているものはあります。

勿論、本来なら業種により解決法も違ってきますが、主に 製造業と小売業の視点から見ていこうと思います。それ以 外の業種でも共通していることや、応用できることもかな りありますので、随時、ご自身の状況に合わせて、適切に 読み替えて頂ければと思います。

例えば飲食店であれば、製造業であり、同時に小売業でも あると言えます。サービス業であれば、売り物が「商品」 から「人」に代わっただけで、小売業としてとらえられる と思います。ただ話の核心に行く前に、少し基本のおさら い的なことをさせてください。

自社の顧客を知る

人がどこかの会社の商品・サービスを購入・利用しようと するとき、何を基準に選んでいるのかを考えてみると、「価 格」「評判」「品質・性能」「信頼性・知名度」「印象」といっ た要素がすぐに浮かびます。ただこれらの要素の中で、消 費者の購買意思決定に影響する優先順位というのは、商材 により変わってきます。つまり顧客層の特性をできるだけ 正確に押さえておくことが重要だと言えます。

また、誰が顧客層になり得るかというのも、これらの要素 により、相対的に決まってくることが多くなります。ただ、 製造業であれば、顧客層を主体的に意識した商品開発も必 要になってくると思います(それに対する異論を唱える著 書もあったのですが、あくまでも経験による私見ととらえ てください)

自社の本当の敵を知る

自社の競合が誰になるかは、同じ顧客層(市場)をターゲ ットとしている相手すべてが該当する可能性があると言え ますが、もう一つの要素として、自社のゴール設定も影響 してきます。要するに売り上げ目標が高ければ高いほど、 通常、広い市場を目指さなければならず、その分競合の数 もレベルも当然変わってきます。

自社のポジションを知る

目指す市場において、自社の競争力・優位性がどれくらい あるのか?という話なのですが、それを推し量るのに、や はり先に挙げた「価格」、「評判」、「品質・性能」、「信頼性・ 知名度」、「印象」においての競争力が総合的に関係してきま す。どれも大手企業であれば、中小に比べ、優位性を発揮 しやすい要素であることは間違いありません。

中小企業からすれば、その現状を認識した上で、大手に対 抗できる要素を少しずつ見出し、捻出していくしかないで しょう。予算的な余裕がないほど、アイデアでカバーせざ るを得ないのですが、逆に、大手では実行が難しいことを 見つけ、いかにやってのけるか、という勝負になると思っ ています。

さて、おそらく本屋さんで並んでいるどこにでもあるビジ ネス書に書いてありそうな、概念的な話はこの程度にして、 これらの基本を念頭において頂いた上で、ACE Inc.らしく、 オンラインにおける実状・戦略をできるだけ具体的に絡め ながら、本テーマの本題にいよいよ迫っていきたいと思い ます(まだもったいつけるのかと罵声を浴びせられそうで すが、いよいよ次回からです! 笑)

ところで、私事で誠に恐縮なのですが、事業拡張のため、 8月31日に本社及び倉庫を移転しました。新たに展開して いきたい事業が2つあること、また、以前のオフィスより かなり広いスペースに自社オンラインショップ用の倉庫を一体 化することでオペレーションの効率化を図ることが目的でし た。10年いたビーチエリアを離れるのは若干の寂しさもあ ったのですが、我が社が次のステージへ行くためにと、決 断しました。移転作業にまつわるトラブルのエピソードなど も、いつか息抜きついでにお話ししようかと思っています。

2013年9月3日火曜日

中小企業が生き残るには⑧ 大手

(U.S. FrontLine誌 2011年9月5日号 掲載分)
前回、オンラインビジネスの救世主だったPPC(クリッ ク課金型キーワード連動広告)や、今の時代に成約率の高 い広告媒体について、少しお話ししました。そして現在の オンライン市場は、超大手数社が占有し始めていると結び ましたが、この状況こそが本稿の「中小企業が生き残るに は」シリーズを書こうと思ったきっかけでした。

さてこのテーマを掘り下げていく上で、どうしても触れて おきたい、ある業界の話があります。それは、ここアメリ カで、先駆的な商品展開で成功を収めるも、業界自体の構 造変革により、厳しい状況下に追いやられる中で、今も健 闘を続けている、我が社の製造業の某クライアントからお 聞きした話です。

ある業界の怖い話

その業界はアメリカで、現在、市場規模が約2,500億ド ル前後と言われるくらい、巨大な市場を誇っています。た だ25年から30年ほど前に、大手の台頭によって、業界の構 図が信じられないくらい、まったくの別物に塗り変えられ てしまったそうです。

その時期に、大手ディスカウントストア数社が、中間業者 をバイパスして製造業者から一括で仕入れることで、商品 の極端な価格破壊を起こし、それまでは全国で2万軒はあ った町の小売店が、1割くらいにまで淘汰されてしまった そうです。

私がアメリカに来た頃には、既にこの構造変革後でしたの で気が付きませんでしたが、確かに言われてみれば、この 業種の小売店は、大手ストア以外、町で見かけることはま ずありません。また500社くらいあった卸業者も、今では 2社しか生き残っていないそうです。要するに数社の大手 ストアに、市場を完全に牛耳られてしまったわけです。

クライアントは製造業なので、この大手ストアに商品を納 入できれば、別に問題ないのでは?と思われた方もおられ るでしょう。事実、納入している商品はありますし、そう いった商品を増やしていければ逆に理想的ではあるのです が、現実はシビアで、決してクリーンな世界でもありません。

この業界に限らず、大手ストアはこのように流通ルートを 制圧していきます。その上で、例え消費者から高評価を得 ているブランドがあっても、その類似商品を、自らコスト の安い中国あたりで製造し、プライベートブランド(PB) として、少し安価に設定して販売してくるのです。

例えば薬局なら、CVS Pharmacy、Walgreens Pharmacy、 Rite Aidなどで、風邪薬、頭痛薬、ドロップから、シャンプ ー、リンス、洗顔フォーム、電動歯ブラシ、電子体温計、 ペーパータオル、ティッシュペーパーに至るまで、必ずPB 品を目にするはずです。それこそまるで人気ブランドのパ クリのような商品ばかりですよね。

また私が住むエリアの食品ストアなら、Ralphs、 Albertsons、Vonsあたりが強いのですが、それぞれジャム やバター、調味料、缶詰、牛乳など、人気ブランド品の横 に、少し値段を安くしたPB品を必ず並べています。

要するに大手ストアは、売れ筋の商品ジャンルにおいては、 抜け目なくPB品を製造し、販売してくるのです。ですから 製造業者からすれば、良い商品を製造していただけでは、 類似商品を出されて終わり、という世界なのです。

他人事とは思えない

さて、私はこのクライアントの話を聞いたとき、実は背筋 が凍る思いでした。業種は違えど、我が社が運営している 2つのオンラインショップが戦っているオンラインという 市場の今の状況と、どこかかぶる感じがしたからです。

本稿の第52回で、靴のオンライン販売で有名なZapposと いう企業(年商は10億ドル)が、Amazonに買収されてし まったことで、私的にかなりショックを受けたことをお話 ししたのも、正にこういった展開を彷彿させたからです。 現在、Amazon.comのページ下には、傘下のショップのリ ンクが表示されているのですが、本の市場を占めたAmazon が、次々と色んなジャンルの市場を狙っていく様を見てい るようではないですか。今確認したら、またリンクが増え ていたので、余計ブルーになりました。

今はまだ、我が社も何とか戦う土俵には上がれていますが、 確かに5年前と比べると、検索エンジン上での周りの競合 各社の顔ぶれががらりと変わっていることに気付きます。 Amazon、Walmart、Target…。昔いた競合相手の中小企業 たちは一体どこへ??うぉーこわっ! 続きます。