2013年2月20日水曜日

勝ち組の今流マーケティング口コミ編①



(U.S. FrontLine誌 2011年2月5日号 掲載分)
前回、アメリカ進出を試みていたある日本のメーカーが、 “なんちゃって広告代理店”に大金を支払うも、成果がなく 途方にくれていたのを、我が社が救ったケースについてお 話ししました。救済の要因は大きく分けて2つで、1つは間 違った思い込みで設定されたターゲットと基本戦略の修正、 もう1つは、バイラル(口コミ)マーケティングを大成功 させたことです。

実はその悪徳業者もバイラルビデオの提案はしていたよう です。ただその業者が行ってきた、“なんちゃってSEO”や “1ヶ月で14人のファンしか獲得できないSNSマーケティン グ”を見ただけでも、広告代理店としての実践能力は極め て疑わしかったわけですが、バイラルに至っては、口コミ が何故起こるのか?という基本中の基本すら理解していな いことは提案内容から明白でした。

完璧なテレビCMでも無意味

大そうな予算を掛けてビデオを作る計画だったようです が、その内容は特に面白くもなければ、人がそれを見て誰 かに伝達したくなる要素も全く見当たりません。百歩譲っ てみても、せいぜいテレビCM的な内容にしかなり得ないも のでした。

そもそもバイラルマーケティングとは、バイラルネタ(サ イト・ビデオ・画像など)を見た人が、自分のまわりに 「これ(面白い・すごいから)見て」と勝手に伝達してくれ ることで、口コミを発生させるものです。皆さんのここ1ヶ 月の生活を思い出してみて欲しいのですが、思わず自分が 見たテレビCMを誰か他の人にも見るように勧めた経験がど れくらいあったでしょうか?

CMとは、あくまでも広告主が消費者に向けて放つ宣伝で しかありません。ですから期待できるのは、良いシナリオ でも、見た人がその宣伝内容に興味やポジティブな感情を 持ってもらえる程度の効果です。つまりテレビCMとバイラ ルビデオとでは、本来期待すべき成果も全く違う、別次元 のものなのですが、“なんちゃって広告代理店”ほど、この 違いを理解できていないように思います。

またこの業者は商品の特徴・用途を完全に無視して、人が その商品を欲しがる理由さえも損なうようなアイデアを提 出していましたが、このメーカーは業者のトークに乗せら れたのか、或いはよく内容を理解せずに契約してしまった ようです。

勿論「面白くない」というのは主観的な話なので、その内 容で本当に失敗するかどうかを私が決め付けるべきではな いのですが、それ以前に、まだこの業者がバイラルマーケ ティングを全く理解していないとはっきり分かることがあ りました。

バイラルでよくある誤解

それは仮にどんなに面白いバイラルネタでも、その存在を 積極的に人の目に触れさせなければ、爆発的かつ短期で広 まることはないという事実に対する不理解です。勿論口コ ミを起こすためのものなので、理論上は1人から始まっても ねずみ算式に広まっていくことを期待するわけですが、数 年掛けて広めてよいのならともかく、短期間で口コミを爆 発的に起こさせるには、最初の段階からある程度の人数の 目に露出させる必要があるのです。通常はバイラルネタの 制作と、露出させる手段を併せて行ってバイラルマーケテ ィングが成立します。

アメリカ進出1年である程度の結果を求めていたメーカー としては、現実問題として、数ヶ月でバイラルを成功させ る必要がありました。しかしこの業者は、制作に対する提 案には熱心だったものの、制作したものを露出させる戦略 も予算も全く考えていませんでした。素人が喜びそうな凝 ったウェブデザインをただ見せて、顧客の満足を一時的に 得る、“なんちゃってウェブ業者”の手口と何ら変わりませ ん。

勿論、それ以前にターゲットの選定からズレていたので、 そのまま進んでも焼け石に水状態でした。

後で現地の担当者から聞いた話では、最初はこの“なんち ゃって広告代理店”ですら、ターゲットの選定に関する間 違いを指摘しようとしていたそうです。アメリカを理解し ていないメーカーの社長が、聞く耳をもたないので業者も 途中から投げたのかもしれません。その後は業者も完全に Yesマンと化したそうで、言われたとおりの間違った戦略で、 間違った動きをとり、無価値なモノを作り、相応の散々な 結果になっていました。

2013年2月4日月曜日

成功例から学ぶ失敗の方程式



(U.S. FrontLine誌 2011年1月20日号 掲載分)
この連載では、“なんちゃって”IT業者や広告代理店があ まりにも多く存在することに対して、被害に遭った会社の 事例のほか、相手の嘘を見破るための予備知識を、何度と なく紹介してきました。我が社へ問い合わせてくる企業に は、過去の何らかのプロジェクトでこうした業者に依頼を して大失敗し、本来あるはずの予算を失ったうえで助けを 求めてくるところも多くあります。相手に同情し、厳しい 現状から救ってあげたいと思う一方で、「最初からしっかり 判断していれば、こんな失敗はせず、まともなスタートが 切れただろう」というフラストレーションを感じることも 多々ありました。

最近、悪徳業者に遭遇しただけでなく、依頼した側にも大 きな問題があったケースを経験したので、紹介します。

勘や思い込みでは成功しない

悪徳業者に仕事を依頼してしまったのは、日本で売れてい る商品をアメリカで販売展開しようとしていたあるメーカ ー。商品は確かにアメリカで売れる可能性の高いものでし たが、最初に想定していたターゲット市場と戦略を大きく 間違えていました。

せたレポートの「直販ショップをオープンして○カ月後か ら××くらいの売り上げが上がる」といった主旨の内容を 事業プランの核にしていましたが、このレポートの「なぜ その金額の売り上げが獲得できるのか?」という根拠はお 粗末なものでした。例えば、ショップであれば、何人の集 客をどのように行うという話が前提になければ、いくらの 売り上げを獲得できるという根拠にはなり得ず、市場規模 がいくらであっても、単に「いくらの売り上げが欲しい」 という希望を述べているに過ぎません。

実際にアメリカでの販売開始後、売り上げがほとんどなく、 不安になったそのメーカーが、我が社へ駆け込んできたの です。なぜ最初にその業者を選んだのかと尋ねると、「ウェ ブ検索して上位に出てきた」とのこと。しかし、その時点 で検索しても、その業者のウェブサイトは出てきませんで した。その業者のサイトを教えてもらってソースを確認す ると、検索エンジンスパムという、禁止されている手法を 使い、何とか強引に検索表示順位を上げようと試みていた ことがすぐに分かりました。

ただし、それも初歩的なスパム手法だったため、その程度 の技術では今の検索エンジンでは上位表示できないので、 お金を払えば誰でも検索エンジンに広告を上位表示できる PPCを使っていただけだと思います。いずれにせよ、自然 な検索結果で上位表示させるSEOの技術など全くないこと は明らかだったのですが、そのメーカーはSEOのサービス 費用をその業者に支払っていました。当然ですが、そうし た業者が開設したショップでは、ビジターがほとんど来な いので、売り上げも皆無です。

また、このメーカーはSNSマーケティングの費用も支払 っていたのですが、facebookにページ開設後、1カ月で獲 得できたファンはたった14人。その業者が行った内容を確 認してみると、全くでたらめなことをやっていたのは一目 瞭然でした。

そのメーカーを救えた要因は2つ

ちなみに、我が社がそのメーカーのマーケティング全般を 請け負ってから最初の1カ月で、facebookで3000人弱のフ ァンを獲得したほか、売り上げも理想的に上がり、ブラン ディングも意図通りの大成功を収め、その商品を取り扱い たいという代理店希望も多数獲得できました。結果的にそ のメーカーを救ったわけですが、その要因は大きく分けて2 つありました。

アメリカの実情を理解しようともせず、「日本ではこう売 れた」的な思い込みだけで突っ走ろうとするメーカーをよ く見るのですが、この会社も正にその類でした。ターゲッ トの選定と売り方の基本戦略から間違っていたので、その ような選択の根拠を問い詰めると、最終的には「成功した 会社も結局は理論ではなく勘でやっている」と主張する始 末(汗)。年商数億円規模のビジネスなら、確かにオーナー 社長のセンスだけで持っている会社も多々あると思います。 しかし、まずそのセンスさえ疑わしい上、「業界×位を目指 す」と豪語していた相手だけに、いっそお断りしようかと も思ったのですが、悪徳業者に騙されて気の毒という一定 の同情があったので、とりあえず間違っていることを説得 し、適切なターゲット選定と戦略に軌道修正したのです。

そしてもう1つは、バイラル(口コミ)マーケティングを 大成功させました。これについては、次回に続きます。