IT業界にモラルはないのか?

PCやソフトを購入したいという個人からの問い合わせを受けることがあるのですが、我が社は法人ビジネスがメインであり、コンピュータ関連商品の販売は法人クライアント向けに二次的に行っているだけで、決して本業ではありません。ただ一部の日系業者の実態を知ってしまったため、どうしても言いたいことがあるのです。


PCやソフトを購入する方法


PCやソフトを購入する方法として、①実店舗で購入、②オンラインで購入、③業者に依頼、という3つの選択肢があると思います。皆さんはどの方法で購入していますか?


①の実店舗は一番手軽ですが、品揃えを考えると、どうしてもパーソナルユースの製品がメインという印象があります。企業で使用する目的で購入する場合には、品揃えが充実していないのです。


その点、②のオンラインであれば、欲しいものが入手出来ないことはまずありませんし、他社との価格比較も容易です。仮に英語が多少不得意であっても注文は簡単ですし、一定以上の知識があれば、これが一番お勧めの方法です。


③の業者に依頼するメリットとしては、特に大量注文の場合、良いディールが得られたり、専門家のアドバイスが受けられることだと思います。ただし業者もビジネスですので、請求額にはマージンを含めています。どれぐらいのマージンが含まれているのか、価格の妥当性を考慮すべきです。


ぼったくりの日系


例えば日系業者の中には、通常販売価格の約2倍でウィルス対策ソフトをクライアントに販売しているところがありました(別に日本語のソフトというわけではありません)。そのクライアントは、ソフトのライセンスを毎年更新する際、その業者を通じて行っていたらしく、私はたまたまその見積もりを目にする機会があったのです。しかし、業者と日本語で話せるというだけのことに、そこまで支払うほどの価値があるのか疑問です。


またそのケースでは、アップデート・インストール費用というものまで請求されていました。ちなみにそのソフトは、シマンテック社の「ノートン」というウィルス対策ソフトの法人用でした。皆さんの会社でも導入されているところが多いと思います。法人用ソフトの特徴として、サーバーで集中管理ができるため、各PCへ個別にCDからインストールするという原始的な作業は必要ありません。当然、作業時間も短縮されます。ですので、もしその業者が、わざわざ個別に各PCを回って一台一台インストールしているようなら、法人用ソフトを有効に使いこなしていないか、あるいは単に時間稼ぎをしているのだということになります(通常、業者は作業時間に応じて請求するので)。


そしてライセンス更新とアップデートは全く違う作業なのです。ライセンスの更新だけなら、オンラインで手続きをすれば終わりです。何もクライアントまで出向く必要はありません。アップデートも、マイナーチェンジ程度なら、必ずしも毎年行う必要はありません。サーバーにインストールされている管理ソフトが多少古くても、運用上特に支障を来さなければ、そのソフトのアップデートは必須ではないのです(これは、「ウィルス定義」のことではないので、くれぐれもお間違えのないように)。


ただ例外もあります。「ノートン」の昨年までのバージョン(Endpoint Protection 11.xx)には、放って置くとサーバーファイルが肥大化してしまうため、不要なファイルを適時、手動で削除することが必要なものがありました。同社に問い合わせたところ、解決策は、各PCを含めてソフトの再インストールを行い、新バージョンにアップデートすることだそうです。つまり明らかに欠陥商品だったわけですが、この不景気の中、余計な再インストール費用をクライアントに負担させたくもないし、かといってシマンテック社以外のソフトが特に優れているわけでもなく選択肢が他にないため、何ともやり切れない気持ちになりました。これなど、まだ意味のあるアップデートのうちなのだと思いますが、それでも必須というわけではないのです。


自分の身は自分で守ろう


ただこんなことは一般の方には知られていないので、ライセンスの更新が必要なソフトを導入している場合、アップデート・インストール費用まで業者から当然のように請求されていないか、一度、確認した方が良いと思います。知らないうちに「ぼったくり」の被害に遭っているかもしれません。これは「ノートン」に限らず、ソフト全般に言えることだと思います。

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