2015年3月31日火曜日

ネット絡みの軽い話題を2つほど

(U.S. FrontLine誌 2013年1月5日号 掲載分)

新年明けましておめでとうございます。新年一発目と言う ことで、まずは明るい話題を1つ。

不況と言われても、皆買い物してます

実は本稿を書いているのは、2012年の12月頭なのです が、不況と言われつつも、今のところホリデーシーズンの アメリカ国内のリテールビジネスの売上は好調のようで、 11/1~12/2まで、Eコマースでは前年比で14%増の213億 3500万ドルの売上があったそうです。

特に感謝祭の翌日のブラックフライデーと呼ばれる金曜日 は、多くの実店舗が大々的なセールを行うので、消費者も こぞって買い物に出かけ、お店もかなりの黒字になること で昔から有名ですが、2012年の売上は、前年比28%増の 10億4000万ドルでした。

また近年、その週明けの月曜日をサイバーマンデーと呼び、 オンラインショップの売上が特に伸びる日と言われてきた のですが、2012年は前年比17%増の14億6000万ドルと、 こちらも記録を更新しました。

我が社が運営するオンラインショップも、おかげさまでサ イバーマンデーは特にすごかったのですが、例年以上に、 大手もこのサイバーマンデーに合わせて、オンラインでの セールがあることを強調していたのが印象的でした。

「サイバーマンデー」は、2005年より使われ始めた用語 ですが、なぜこのような現象が起きるのか、強引に理屈を つけるなら、例えば感謝祭の週末にモールなどで商品を実 際に下見した消費者たちが、月曜にオンラインで少しでも 安い店を探して購入しようとする現象といった感じでしょ うか。

ただ実のところは、ブラックフライデー的な日をネット上 にも設けたくて、

無理やりサイバーマンデーならオンラインがお得、のよう な文化を創り上げてきたように思います。丁度バレンタイ ンデーにはチョコ、のような話ですが、今ではすっかり定 着してきており、マーケティングの威力を改めて感じました。

ある人気サイトの顛末

続いて別の話題を1つ。相変わらず栄枯盛衰が著しいネッ トの世界ですが、2012年での衝撃の話題に、Digg.comの 買収がありました。Diggとは、2004年に開設されたソーシ ャルニュースサイトで、ユーザーがニュース記事を投稿し、 それを読んだ他のユーザーが、その記事に対して投票した り、シェアしたり、コメントできるもので、当時はまだ目 新しく、今で言うところのFacebookのLikeやShareのよう な仕組みに近いものを、大々的に広め、大成功を収めたの です。

より多くの投票数を得たニュースがトップページに掲載さ れるのですが、膨大なユーザーに閲覧されるので、記事内 のリンク先のサイトは、あまりのトラフィックに耐え切れ ず、サーバーをダウンさせてしまうといった現象が頻繁に 起きるほどでした。

ある記事によると、創始者のケビン・ローズ氏は、時給 10ドルのプログラマーを使って彼のアイデアであるサイト を開発し、毎月ホスティング料99ドルと、ドメイン登録料 1,200ドルを払っただけでスタートしたそうです。

2005年2月に、パリス・ヒルトンさんの携帯がハッキング され、携帯内の画像や電話番号がネット上で出回ったので すが、Diggにそのリンクがいち早く投稿され、物すごいト ラフィックを引き起こしたそうで、その時ローズ氏は、先 取りニュースがもたらす威力を目の当たりにしたそうです。 そこから目覚しい成功を遂げ、2006年にはローズ氏がビ ジネスウィークの表紙を飾り、Googleから2億ドル前後で 買収を持ち掛けられたと報じられた程だったのですが、最 終的に2012年7月に、何とたった50万ドルで売却すること になったのです。

と言うのも、2010年3月よりユーザーを急激に失い始め、 かつての勢いと比較すれば、今は見る影を失ってしまった からでした。落ちぶれた原因は、FacebookやTwitterの大成 功によりユーザーを奪われたとか、直接の競合であった Reddit.comやStumbleupon.comが台頭してきたなどを想 像されるかもしれませんが、いえいえ、実は非常に単純な ことで自滅しただけです。

SNSユーザー心理を軽視した代償

ユーザーを劇的に失うきっかけは、簡単な仕様変更でした。 高評価を得たユーザーのリストセクションを削除し、ユー ザーのアバター(自分を表すキャラクター画像)を削除し、 投稿に貢献していたトップユーザーたちを排除するなど、 ユーザー配慮に欠けた動きを一方的に行ったのです。その 後もDislikeボタンを削除して、ユーザーの意思表明の手段 を奪い、企業やSEOスパマーからの投稿が簡単になり、歓 迎されていない記事も溢れ、コミュニティ性と参加するモ チベーションを失わせた結果、見事に衰退していったとい うわけです。

2015年3月10日火曜日

誇れる仕事をしてますか? ②

(U.S. FrontLine誌 2012年12月20日号 掲載分)

前回、我が社がクライアントへ提供するホスティング環境 について、某日系IT業者さんとクライアントと三者で話す機 会があり、げんなりした経験についてお話ししました。

業者さんの指摘が現実離れしており、どんな話でもネガテ ィブに話されるので、最初はうちを粗悪な環境を提供する 悪徳業者とでも思われているから感じが悪いのかと、提供 される環境が、通常なら手に入らない、贅沢な環境である ことを具体的に説明しようとしました。しかし、そういう 話は一切聞こうとしないので、本気で環境の良し悪しを見 極めようとしているわけではなかったようですが、その後、 決定的なやりとりがあったのです。

久々に日系業者のレベルに絶句

業者さんから「データベース容量の制限は?」と質問され たので、私が「1GBです」と答えると、「いずれ容量オーバ ーになるので、その後は?」と聞かれました。「経験上、こ の規模のショップで簡単に超えることはないですよ」と答 えると、「(相手)超えるに決まっている!」「(私)ウェブロ グの容量と間違えられていませんか?」「(相手)間違えてい ない。そんなもの簡単に超える!」(しばらく絶句してから) 「(私)このショップのアイテム数をご存知ですか?」「(相手) まだ聞いていないから知らない」

もちろんショップのリソースも100通りでもあるので、 私の経験だけがすべてだと断言するつもりはないのですが、 仮にデータ容量が簡単に何GB以上にもなるようなショップ ならば、そうならないショップも簡単に構築できている以 上、余程非効率なデータの持ち方をしているとは言えます。 この時点で、この業者の方が、あまりITの知識・技術がな いか、ショップ運用経験がないか、こじ付けで粗探しをし ているかの、いずれかであることは分かりました。

少しだけ技術的な話をすると、もちろん、無限の器など存 在しないので、どんなものでもデータを貯め続ければ、い つかは容量制限を越える可能性はあります。ただショップ の場合、増え続けていくタイプのデータとしては、主に顧 客や注文情報ですが、かなりのマーケティング予算を掛け て集客でもしなければ、通常それらがデータ容量を圧迫す るほどにはなりません。むしろデータ容量的に嵩みやすい のが、商品やカテゴリー情報になります。

ですから、将来的なデータ容量を想定する上では、何アイ テムを取り扱うのか? とか、トラフィックや顧客や注文 数がどれくらいになりそうなショップなのか? というの は、非常に重要な要素になるので、少なくともプロであれ ば、真っ先に確認すべき内容なのです。

我が社のクライアントでも、数万アイテムを扱うショップ や、数十万レコードを貯めておく必要のあるサイトでは、 データベース容量が数GB以上になることもあります。ただ そういうサイトでは、そのための容量も想定した上で、そ れに見合った料金で提供しているので、特に問題もないわ けです。ちなみにこのクライアントの場合、多めに想定し てもせいぜい500アイテムという規模で、トラフィックも 非常に限られたものになることが、簡単に想定できるもの でした。

可能性はゼロではないが‥

ホスティングのレンタルは、オフィススペースのレンタル のようなものです。事業を拡張していけば、いずれはより 広いスペースが必要になるかもしれません。ただレンタル する際には、今現在どういう規模で、将来どう展開する、 という想定ありきで物件を探すはずです。先の例では、従 業員数5人くらいの会社が、10,000Sqfくらいのオフィス を借りた上で、将来スペースが足りなくなる時の可能性を 話しているようなものです。

可能性がゼロではないにしても、今それを心配したところ できりもなく、何か対策が変わるというわけでもない。 あくまでも想定の範疇ですので、“絶対”ではないにして も、想定ありきで話を進めなければ、費用対効果も踏まえ た現実的な話になるはずもなく、さらにこの業者さんは、 レンタル料金自体も知らずに話していたことも分かり、何 でもいいから不安材料を募っていたと確信しました。正直、 知識・技術・経験レベルの方も大いに疑問でしたが。

さすがに最後は私も一言、釘を刺さずにはいられませんで した。「あなたはプロとして、ITの素人であるクライアント をサポートするためにいるはずでしょう? こんな現実感 も解決策もないような話だけで、クライアントは一体何を 得ているのでしょうか?」。

何ともやりきれない気持ちになりました。