2014年1月31日金曜日

中小企業が生き残るには⑰ 信頼性2

(U.S. FrontLine誌 2012年1月20日号 掲載分)
前回、消費者の心理として、露出の多い企業に対して、信頼性の高いイメージを抱くようになることをお話しました。また潜在顧客の獲得は、B2B、B2Cといったチャネルに関わらず、依然としてSEOとPPCに依るところが大きいこと、そしてSEOとPPCの世界では資本主義的競争の激化から、大手に比べ資本力が明らかに劣る中小にとっては、何らかの策が必要になってきていることを、お話しました。
そして私は以前、本テーマのカギは、「大手ができないこと、やりたがらないことを率先してやること」であることもお話しました。

SEOでいきなり年商2億円増

我が社は、常にアメリカの最先端のマーケティングをリアルタイムで実践しており、米系競合の猛者に揉まれています。それより数年遅れている日本市場では、自分たちからすれば当たり前のことをやっているだけでも、簡単に先駆者的な地位を築けることも多々あります。
当社のクライアントに、ウェブマーケティングによるブランディングから、業務システム全般までをサポートさせていただいている、ある日本のメーカーがいます。付き合いはもう8、9年くらいになります。日本でSEOが認知され始めたばかりの頃、その会社のウェブサイトを、業界に関連する主要キーワードのほとんどで、検索結果の1〜3位くらいに必ず表示されるようにしたのが、最初のお仕事でした。
もちろん、その効果は覿面(てきめん)で、業界自体はずっと下降線を辿る中、その会社は、いきなり年商2億円増となったのです。過去数年と比べ、その年も特に新しいことは何もしておらず、唯一、我が社へ依頼したSEOだけが例年と違う動きだったことから、SEOの効果測定としては、非常に分かり易かったケースでした。
もちろん、今でもSEOは維持していますが、逆にこれ以上の結果は求められないレベルでもあるので、検索エンジンを利用したマーケティングにおいては、完全に頭打ちといえます。
また、その会社は、元々は卸業が主だったのですが、ブランディングという武器を手に入れたこともあってか、製造業へシフトしていきました。着実に業績を伸ばし、業界内で一人勝ちし、妬まれるほど目立つ存在になり、今や完全に全国区のプレーヤーとなったのは間違いありません。業 績は極めて良好なので「生き残る」というニュアンスではありませんが、規模としてはまだ大手ではなく、競合には巨大資本の大手もいるため、次のステージに上がるためには、やはり別の策が必要になってきています。

ブログであってブログじゃない

ちょうど世の中でもブログが流行り始めた頃でした。社長の天才的な嗅覚とセンスで、ヒット商品をいくつも開発し、マーケティングも我が社のサポートで順調だったのですが、競合も色々と動き始めており、警戒を強めたそこの社長から、「何か今やっておくべきことはないですか?」と相談され、私は即座に「ブログです」と答えました。
ただ、この時私が意図した“ブログ”は、世の中的なブログではありません。実はこの会社のマーケティングをお手伝いさせていただきながら、私はずっと「競合である大手がやりたがらないことは何か?」を模索していました。
そして思いついたのが、「メーカーとエンドユーザーの直接対話の場」でした。もちろん、Eメールや電話であれば、どんなメーカーでもそれなりに対応していると思います。ただそれを敢えて公開し、一個人の細かい問い合わせや要求にも、真摯に応対する誠実なメーカーであるというイメ ージ作りをするのが、私の真の狙いでした。エンドユーザーの声に本気で耳を傾け、それを製品開発にも反映させ、共に良いブランドを創り上げながら、顧客のロイヤリティー意識を築いていくのです。
しかもブログという仕組みを利用することで、ユーザーが勝手に活躍してくれるという利点を生かし、従業員数も限られる中、最小限の労力で最大限の効果を得ることを目論んだわけです。
自画自賛になりますが、結果は大成功でした。「信頼のおけるメーカー」というイメージは、ネットで評判を検索した限りでは浸透していると思います。ただ所詮は掲示板の変形みたいなものなので、ユーザーの投稿がかなり増えた今、有益な情報もかなり含んでいるのに、情報としては整理されておらず、このやり方もそろそろ限界かなーと思っています。また次の手を考えねば(笑)。

2014年1月16日木曜日

中小企業が生き残るには⑯ 信頼性

(U.S. FrontLine誌 2012年1月5日号 掲載分)
新年明けまして、おめでとうございます。今年は大統領選挙もあります。経済は、社会は、今後どうなっていくのか、不安もさることながら、目が離せない1年になりそうです。
さて昨年後半より続けている本テーマですが、主に製造業と小売業の立場から、自社の顧客を知ること、本当の敵を知ること、現在のポジションを知ることの重要性を示し、それらが「価格」「評判」「品質・性能」「信頼性・知名度」「印象」といった要素と密接に関係してくることをお話してきました。前回、「品質・性能」のところまで触れました。

信頼性を高めるには何をすべきか?

企業が信頼性を高める上で、オンライン上でやっておくべきことを考えた場合、極めて浅い次元としては、(少なくともプロが作成した様に見える)企業のウェブサイトを、独自のドメイン(世界中探しても重複しないインターネット上での住所のようなもの)にて公開し、Eメールアドレスも独自ドメインのものを利用することが挙げられます。
今でもたまに見かけるのが、せっかく独自ドメインを取得して、ウェブサイトを公開しているのに、何故かEメールは、インターネットプロバイダーや検索エンジンが提供するフリーアカウントを利用しているケースです。
最近は、ウェブサイトを公開するために利用するホスティングサービスに、ほぼ間違いなく、無料でEメールアカウントを利用できるサービスが含まれているので、それを利用しない手はありません。個人ならともかく、企業として無料のEメールアカウントを利用しているのは、「うちは数 人以下でやっている、零細の個人ビジネスです」と宣言しているようなものです。たとえ事実と違っていたとしても、そう見られてしまいます。
ウェブサイトも市販のテンプレートを利用すれば、プロフェッショナルなビジュアルのものを格安で作成できる時代です。コスト削減のために、素人に会社の顔となるウェブサイトを作成させるなどという発想は、致命的なミスです。
また、デザインを含めたビジュアル面だけでなく、さまざまなOS(コンピュータの基本ソフト)とブラウザ(ウェブサイトを、実際にコンピュータ上で閲覧するためのソフト)による組み合わせで、見え方が全然違ってくることがあります。ある組み合わせで見たら、レイアウトが完全に崩れていたというのも、よくある話です。ある程度の主要なOS(Windows XP、VISTA、7、Mac OS X、iOS)とブラウザ(Internet Explorer 8? 11、Google Chrome、Firefox、Safari)での組み合わせとして、意味のないものも中にはありますが、ざっと数えて18? 20通りくらいのテストは必要でしょう。
そして画像やページへのリンク切れがないことは勿論、誤字脱字がないこと、日系企業の英語サイトならばコンテンツがネイティブによるライティングであることも、非常に重要になってきます。
繰り返しますが、これらは一番初歩的な部分で、レースのスタートラインに立つために、参加申込書に記入した程度の話です。

露出があって、初めてレース

ビジネスはその存在を知られることが第一歩です。存在を知られるためには、露出を増やすことです。逆に言うと、消費者の心理として、露出の多い企業は信頼性の高い企業であるというイメージにつながります。
要はオンライン上においては、検索エンジンやSNS(オンラインコミュニティ)での露出機会を増すことを考えるというお話なのですが、方法論としては大きく分けて、SEOやPPCといった検索エンジンでの上位表示を目指すか、FacebookなどのSNS上で広告を露出させ、さまざまなユーザーに話題にしてもらい口コミで伝達してもらえるようにすることです。
これらのことは本稿で何度も私が訴え続けてきたことです。また本テーマの途中でも「SEOはやっていて当たり前、カビの生えた話」とお話しました。ただ、あるマーケティング会社が、2011年に500人のマーケッターに対して行った調査で、一番大きく潜在顧客の獲得に影響したのは、B2BでSEO(57.4%)、PPC(24.8%)、SNS(17.9%)、B2CでSEO(41.0%)、PPC(34.2%)、SNS(24.8%)というものがありました。我が社の経験からしても、感覚的割合比は、およそこんな感じだと思っています。
要するにSEO + PPCというのがいまだ王道であることには違いありません。ただ大手のオンラインマーケティングの積極参入で、資本主義的競争になってきており、中小には敷居がどんどん高くなる一方だともお話しました。つまり、中小のための何らかの策が必要なのです。次回に続きます。