2015年5月27日水曜日

Facebookにおける考察③ ここも資本主義だが

(U.S. FrontLine誌 2013年1月5日号 掲載分)

前回、巧妙にできている有料のプロモートポストの仕組み や、ユーザーやページからの投稿が、必ずしもNews Feed ページへ全部表示されているわけではなく、エッジランク と呼ばれる、Facebook独自のアルゴリズムにより、各人へ 表示させる内容が決定されており、例えばページからの投 稿は、3〜7.5%程度(2011年)しか見られていないとい う事実に触れました。

複雑な気持ちにさせるエッジランク

エッジランクの存在が広く知られた際には、ネット上では 結構な騒ぎになり、この仕組みが導入されたことで、トラ フィックが以前より激減したと嘆くサイトオーナーたちが 大勢いました。しかし、これについて冷静に分析した記事 によると、元々Facebookは、最初から投稿を100%見せて いたわけでも何でもないのです(Facebookは自ら、平均 16%と言っています)。そしてエッジランクにより、スパム 投稿をかなりフィルタすることに成功し、News Feed上の 表示内容の質が向上したおかげで、ユーザーからのスパム 報告も軽減できた上、ページからの投稿をより見てもらえ るようになったそうです。

とはいえ、私も全ての投稿が表示されていないことを初め て知った時には、やはりショックでした。

以前本稿で少し触れましたが、近年のオンラインマーケテ ィングの王道となっている検索エンジンにおけるPPC(キ ーワード広告)は、あまりに広告主が増え、広告単価が恐 ろしく高騰してしまい、完全に資本主義の様相を呈してき ました。大手だけにチャンスがある、テレビCMのような世 界と化してしまい、資本力の劣る中小企業にとっては、と ても厳しい状況となっています。

そこへ突如現れたFacebookは、ユーザー数的にも検索エ ンジンにまったくひけをとらないばかりか、知恵とアイデ アと努力次第で、ページのファンを大量に増やしていける ので、無料でマーケティングに活用できる夢の媒体になる のではと期待していた分、ショックが大きかったのです。

業界1位のファン数を獲得したのに‥

実際、我が社が運営するソックス専門のオンラインショッ プのFacebookのページも、今ではおかげさまで、業界1位 の47,000人以上ものファンがいます。2009年11月に開始 したのですが、開設当時から歴史・知名度ともに断トツだ った某競合がおり、当然Facebookのファン数もずば抜けて いたのですが、約2.5年掛けて、彼らのファン数を抜くこと ができたのです。

しかも広告費をほとんど掛けず、アイデアとわずかな労力 だけで成し得た結果でしたので、資本主義とは別次元で、 ウェブマーケティング屋らしく、ノウハウとスキルで戦い ができることに興奮を覚えつつ大量のファンへ向けて、効 果的な宣伝を無料でがんがん投稿して、売上増につなげて いこうと息巻いていました。

ところが現実には有料のプロモートポストを使わない限 り、ファンの数%へしか配信されないと分かり、やはり世 の中うまい話はそうはないものだと落胆し、中小企業の救 世主になってくれそうだと、勝手に抱いていた期待感から、 正直、裏切られた気にもなりました。

それでもファンを募る意味はある

結局ページでファンを募っても、それを活用するのにお金 が掛かるという意味では、PPCと変わらないのではない か? Facebook自体、あまり有用性がないのでは? と思 われた方もいるかもしれませんが、冷静に考えると、実は そうではありません。それでもPPCよりは、今のところリ ーズナブルなマーケティングが行えます。そして、資本力 だけの勝負とは違って、腕次第でより効果的な活用ができ 得る要素をまだ持っているのです。

どういう事かといえば、まず1人を集客するための広告単 価が比較的安い上、Facebook自体が、口コミを発生させや すい媒体になっており、うまい投稿ができれば、実際に口 コミ効果で、本来の予算で到達できるはずの人数の、何倍 もの数の人へのリーチができる可能性も秘めているのです。 もちろん、皆が興味を持ち、人に伝達したくなるくらいの うまい投稿を行うには、並大抵のアイデアでは通用しませ んので、やはりごく一握りのスキルをもつ勝ち組のみに有 効な話ではありますが、それはマーケティングの世界の常 識でもあり、プロの存在価値もそこにあるわけで、常に腕 を磨くのみです!

また冷静に考えれば、ユーザーも企業からの大量の販促投 稿を常に見せられれば辟易するでしょうし、Facebookのビ ジネススタンスも理解はできます。ただパートナーが、母 親からの投稿ですら非表示になっていたと怒っていました が、流石にそれはダメでしょう(笑)。

2015年5月5日火曜日

Facebookにおける考察② 遂に本性を現す?

(U.S. FrontLine誌 2013年2月20日号 掲載分)

前回、Facebookの基本的な仕組みをおさらいした上で、 あるユーザー(Aさん)のNews Feed(情報を受け取るペー ジ)上に、既に半年前に亡くなったはずの友人(Bさん)が Discove(r カード会社)のページをLikeして(ファンになって) います、という表示を見た上に、そもそもBさんはDiscover が嫌いだった、という奇妙な現象について、お話ししました。

Facebookでは、自分のTimeline(ブログのような情報発 信ページ)に書き込まれた情報は、自分がFriendになってい る相手のNews Feed上に表示され、自分がFriendになって いる相手のTimelineに書き込まれた情報や、自分がLikeして いるページから発信された情報は、自分のNews Feed上に 表示されます。

Timelineには、自身が投稿した内容やほかの人が「Share (共有)」してきた情報以外に、自身がどこかのページをLike すると、「○○のページをLikeした」という情報も書き込まれ るので、例えばBさんが、DiscoverのページをLikeしたら、 BさんのFriendであるAさんのNews Feed上に、「Bさんが、 DiscoverのページをLikeしました」のように表示されるわ けです。

奇妙なのは、まずDiscoverを嫌いなBさんが、なぜページ をLikeしていたのか? これは携帯アプリや広告によって は、人が単に広告をクリックしただけで、意図せず何らか のページをLikeしたことにされるよう仕組んでいるものがあ るため、起き得ることです。

そして所有者が亡くなっても通知をしなければ、アカウン トは半永久的に動作します。ただそれでも、既に亡くなっ たBさんが、時間軸的にその後ページをLikeしたかのような 表示になる説明にはなりません。

巧妙なプロモートポスト

企業側ページには、有料で販促目的の情報を発信できる、 プロモートポストという機能があります。

また配信先に、自身の「ページをLikeしてくれたユーザー のFriend」にも配信できるオプションが用意されており、彼 らに配信する際には、受取人のNews Feed上に、ページか ら発信された情報以外に、必ず「○○さんがこのページを Likeしています」という表示も併記されます。

これはその投稿内容が、あたかも友人からお勧めされてい るかのような錯覚を起こさせ、できるだけ受信者の反応を 得られるよう考えられた仕組みでしょう。

先の例で、AさんのNews Feed上に、亡くなったはずの友 人BさんがDiscoverページをLikeしています、と表示された のは、Discoverページがプロモートポストにより、「ページ をLikeしてくれているユーザーのFriend」にも配信を行い、 たまたまAさんのFriendでDiscoverページをLikeしていたの がBさんしかいなければ、簡単に起き得るわけです(ちなみ にこれが前回の謎解きの答えです)。

マーケッターからすれば良くできたこのプロモートポスト 機能は、配信者が最大予算を決め、それに応じて配信され るのですが、実際に課金されるのは、予算内で配信(リー チ)できた人数分になります。つまり予算を最大限に消化 させたいFacebookとしては、できるだけ多くの人に配信し ようとするわけで、世界各国のユーザーに配信され、その 投稿に対して、知らない国の言語でコメントをもらう、な んてことも起き得ますのでご注意を(配信先の国を絞るこ とで一応回避できます)。

すべての情報が表示されるわけではない!

Facebookでは、ユーザーやページからの投稿が、Friend やLikeしている人たちのNews Feed上に表示される仕組み だと書きましたが、実際にはすべての情報が必ず表示され るわけではありません。

エッジランクと呼ばれる、Facebook独自のアルゴリズム により、各人のNews Feedへ表示させる内容が決定されて おり、例えばページからの投稿の場合、配信対象であるフ ァンの数にもよるのですが、3〜7.5%程度(2011年)し か投稿を見られていないという統計もあります。

ちなみにこのエッジランクの存在が広く知られた際には、 この仕組みが導入されたことで、トラフィックが以前より 激減したなど、ネット上では結構な騒ぎになりました。結 局ファン全員に投稿を見てもらえるようにするには、有料 のプロモートポストを使わなければならず、そのための予 算も中小企業で払える額ではない、みたいな話です。

ある人が、5万人のファンをもつページで、仮に1日10〜16 回の投稿を行い、それを100%見てもらえるよう、プロモート ポストを活用した場合、年間で必要な予算は、$200(1回の投 稿費用)×10(1日10回投稿した場合)×7(1週間)×4(1ヶ 月)×12(1年)= 67.2万ドルになると騒いでいました。

数字はともかくとしても、Facebookをマーケティングに 活用しようと考える企業にとって、ショッキングな話では あると思います。次回に続きます