バイラルにおける雑感 ②

(U.S. FrontLine誌 2013年12月20日号 掲載分、一部加筆・編集あり)

バイラル(口コミ)マーケティングが、今後の中小企業の生き残りの鍵になるだろうと、本稿でお話ししてきました。前回はペット用ウィグ&コスチュームの自社ブランドを立ち上げ、ほとんどコストを掛けずに、実際にバイラル展開 を図り、Facebookユーザーを通じて世界中に伝播していく経験をしたことについてお話ししました。今回は、もう一歩先の展開について紹介します。

バイラルマーケティングは、バイラルネタ(画像、動画、サイト、ストーリーなど)を作成し、それをシーディング(種まき)と呼ばれる何らかの方法で拡散させる必要があり、一般的には広告を活用するとお話ししました。もちろん、お金があれば、シーディングにいろんな選択肢が生まれてくるわけですが、それこそ大手並の予算でもなければ、例えばテレビ番組で取り上げてもらうおうなんて、普通なら考えませんよね?ところが、知恵とアイデアと努力とやり方次第では、無料でだって、メディアにも露出できるのです。

そんな夢みたいな話が本当にあるのかと疑われる方のために、我が社で実践した実例の一部をお話しします。

メディアもトラフィックが必要

最近では、新聞、雑誌、テレビ局など各メディアが、オンラインでもニュースや番組の配信を積極的に行うようになりました。単純に視聴者が、日ごろ、よりオンラインで視聴する傾向が増えていったからです。

メディアは基本的に広告収入をベースとしているので、視聴者数を持続的に獲得していることは彼らの死活問題です。そこで人々が関心を持ちそうなネタを常に探しており、バイラルネタなどは、正にもってこいなのです。 しかも昔は記者が、自分の足で裏をとり自分で書く、みたいな時代もあったと思うのですが、今はにわか記者か、下手をすれば素人が書いたことでも、裏もとらず、使ってしまうくらいに、ネタに飢えています。

そして、一般にはあまり知られていなくとも、ネット通ならわかる、フレッシュなバイラルネタが集まるような場所がいくつもあり、普段、記者たちもそういう場所からネタを集めています(記事は鮮度が命なので、一般に多く出回ったネタは、彼らには逆に価値がなくなります)。つまり、何とかして、そういう所へ露出できれば、記者たちの目に留まる可能性も高くなるわけです。

メディアに拾ってもらえれば
勝手に拡散される

実際に我が社で立ち上げた新ブランドは、できるだけお金を掛けないで何ができるか? を追求するプロジェクトでもあったので、記者たちの目に留まるような場所へ露出を試み、見事無料で掲載された後は、さまざまなメディア から掲載のオファーが届きました。

最初はイギリスの新聞で掲載され、1900以上も記事がシェアされたので、サイトへのトラフィックも増し、その後、世界中の媒体からも立て続けに掲載のオファーをもらい、ドイツのテレビ番組の制作会社からもオファーが入りました。

次第にアメリカ国内のメディアからも掲載オファーが入るようになり、NYのDAILY NEWSという新聞をはじめ、全国誌の雑誌IN TOUCHには紙面でも掲載されるなど、こちらで把握しているだけでも、新聞や雑誌など20誌以上は掲載されました。

ただ記者も事実確認がルースになっており、ろくに確認もせず、勝手に掲載してしまうので、中には情報が少し事実と違っていることに後から気付くこともあります。何だか伝言ゲームみたいな感じになります(笑)

また新聞・雑誌に載ると、今度はテレビからのオファーも入るようになります。テレビの方が少し情報に遅れてキャッチアップしているからです。The Chewというアメリカの全国放送(ABC)の料理番組内で、料理とは関係なく面白い商品を紹介するコーナーがあるらしく、商材が紹介されました。先日はローカルのテレビからの出演オファーがちょうどきたところです。

バイラルに1年はかかると覚悟すべし

メディアが自由に掲載できるように、写真と基本情報を提供しただけで、これらに費やした宣伝費はゼロです。そのほか、テレビ関係で商材を送りましたが、コストは交渉に携わる人件費くらいです。

どうですか? これで全国放送のテレビにまで取り上げられるのですから、悪くないでしょう? 中小企業でも実践できるマーケティングの一例です。売上は前年比で7倍になりました。ただし、ブランドを立ち上げてから、最初にメジャーな新聞に掲載されるまでに約8カ月、テレビで紹介されるまでにのべ1年くらいはかかりました。

バイラルマーケティングについて

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