2016年12月14日水曜日

スポンサード・コンテンツの影響力

(U.S. FrontLine誌 2016年12月号 掲載分)

前々回、現代の情報源となるメディアが発する4種の“情報”:「(本来の)情報」、「プロパガンダ」、「誤報」、「偽情報」について触れました。今年の最後に、我々がメディア(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ放送、ソーシャルメディア)を消費する際の、もう一つの大事な情報形態について、マーケッターの立場からすると複雑ながら、面白い(時には恐ろしい)状況をご紹介したいと思います。

マーケティングとプロパガンダの違い

ご存知の方も多いと思いますが、実は近いところがあります。以前触れましたが、プロパガンダは大げさに都合の良いことだけを、人々の感情や恐怖に訴えかけ、宗教や政治的概念を売り込むことです。広告・マーケティングは、似たような手法を利用し、(人々の悩みや不安、ミーハー心などを操作し、)消費物を売り込むことです。要するに売り手の思惑で売り込むことが、立派に共通しており、しかも企業のプロパガンダともくると、自社に有利な情報を流しつつ、場合により直接の利害関係を明らかにはしません。

以下の例は、厳密にはプロパガンダというより、偽情報に区分されると思いますが、最近とんでもない事実が公になりました:

この50年間、砂糖などの甘いお菓子が持つ健康リスクは、もっぱら脂肪の持つ危険性であると誤認されてきましたが、実は製糖業界が研究者をお金で買収し、調査結果をねじ曲げて、科学論文を発表していたらしいのです。そしてこの誤解により、流行した「低脂肪で糖分の多い食事」は、現在の肥満社会を形成したと言われています。

こういうことが現実に起きているからこそ、メディア・リテラシーはとても重要なわけですが、近年はネイティブ広告を含む、スポンサード・コンテンツの登場で、人が情報源を安全に消化する上でのハードルも、実は更に上がっているのです。

収入減だったメディアの救世主

近年、伝統的広告の収入低下を「スポンサード・コンテンツ」により、補っていくことを図り、かなり成功しているメディアが多いのですが、これは簡単に言えば、情報記事、ビデオ、写真集、ポッドキャストなど、自然なコンテンツを装った有料広告です。

以前なら、新聞や雑誌などに広告を載せようと思ったら、モデルさんと写真家とコピーライターを雇い、広告を作り、媒体の専用広告欄に載せていたと思います。しかし現代の広告ブロックソフトや、人々の広告を無視できる感覚の発達もあり、伝統広告は、そのリーチと影響力が激減し、しかも成果測定も困難であり、広告主にとっての価値が年々下がってきました。しばらく広告スペースを売る側(媒体)と買う側(広告主)も苦しんだあげく、媒体の中に自然に挿入されたコンテンツは、消費者をより説得しやすく、面白い情報として紹介することができる事に気付いたのです。

事実、アメリカにおいては、NewYork Timesを始め、ほとんどの大手新聞や雑誌は、「スポンサード・コンテンツ」を収益の大事な一部と認定しています。

コンテンツ・マーケティングとネイティブ広告

コンテンツ・マーケティングは、消費する側にとって、情報性、教育性など、面白みの高いコンテンツを作り出し、それを活用するマーケティングの手法です。従来のCMや有名人を使った押し売りのキャンペーンではなく、受け手側が何かを得たと感じさせる、有益なコンテンツ、例えばありふれた、非常においしい新しい調理法の特集から、ワンポイントメイクを極める秘訣の画期的なビデオまで、お役立ち情報の中に、企業の商品が密かに取り上げられたり、企業対消費者ではなく、エンドユーザーからの推薦として紹介するといった具合です。「Infotainment」とか「Edutainment」といった、楽しい造語は、現代企業の商品やサービス紹介戦略にますます入ってきています。

コンテンツ・マーケティングは、ブランドの認知度を高めながら、ユーザーとの信頼関係や忠誠心を作り上げるには、有効かつ必要なものになってきており、潜在顧客層にとって有益なコンテンツを作ったら、今度は人目に触れさせる必要があります。

ここでネイティブ広告の出番なのですが、ネイティブ広告とは、その有益なコンテンツを各媒体の体裁に合った形で、違和感なく挿入し、消費者に抵抗感なしで有益情報として消化させる広告の事です。例えば検索エンジンでのキーワード連動広告、Facebookのスポンサード・ポスト、ポータルサイトのレコメンド記事なども全てこれに該当します。

そしてFacebookやBuzzfeedはもちろん、NewYorkTimesですら、社説より、この「スポンサード・コンテンツ」として載せた方が、遥かに影響力を持つとまで言っています。