2016年8月31日水曜日

ポケモンGO

(U.S. FrontLine誌 2016年09月号掲載分)

今巷で大人気の、ポケモンGOというスマートフォン(以下スマホ)用ゲーム、私は正直それ程興味はなかったのですが、パートナーがかなりハマっており、色々聞かされたり、付き合わされたりした中で、素直に感動した事や興味深いと感じた事を、書かせてください。

前身はGoogle内のスタートアップで、昨年独立したNiantic社が開発していたIngressという、スマホ用のオンラインの位置情報のARゲームで、新しい地域を冒険し、運動にもなり、他のユーザーとも繋がりを持つというコンセプトに、現実世界とポケモン(ポケットモンスターの略で、漫画のキャラクター )との共存体験を実現する構想として、Googleや任天堂も出資しました。

既にご存知の方も多いとは思いますが、一応ゲームの概要を説明すると、プレイヤーは、ポケモントレーナーとして、現実世界でポケモンを探して歩きまわり、ポケボールと呼ばれるカプセルを投げてポケモンを捕獲し、最終的に約150種類ものポケモン図鑑を完成させるというゲームです。

ポケボールは、マップ上に現れるポケストップと呼ばれる特定の場所で、様々な道具と共に手に入ります。ポケストップは、世界中の名所やスポット以外にも、Ingressでユーザーから集められたデータも活用され、例えば近所でもマニアックなアートスポット等もあり、行ってみると、「ヘェ〜こんな所あったんだ」的なプチ感動をする事もあるとか。

図鑑を完成させるために、ポケモントレーナーとしてのレベルを上げる必要があり、たくさんのポケモンを捕まえたり、予め3つのチームに分かれたトレーナー同士が、特定の場所にあるポケジムで、敵チームとポケモンを戦わせ、鍛えるなどします。

このゲームは意図されたコンセプト通り、ユーザーをとにかく歩かせて、運動不足を解消させます。因みにパートナーは、始めてから約3週間で、112km歩いており、私もそこそこ付き合わされました(汗)。世の中の肥満問題の解決策として、誰かが考えたのなら、本当に見事で、引き籠りがちだった人が、外に出る様になったというニュースも多々見ました。

現実のコミュニティを作る

老若男女、人種問わず、それこそ障害者までもが、共通の話題で盛り上がれるのは、実に素晴らしく、今の大統領選の某候補が、恐怖や憎悪、偏見を煽り、国民を分断させるような動きをひたすらとっている様な世の中において、このゲームのコンセプトは、実に平和的で、健全かつ気持ちのいい世界感だなと思いました。

パートナーがポケジムでバトルをする際に、10歳位の見知らぬ坊やと味方チームになったそうです。周りにいたティーン達が敵チームと分かり、明らかにがっかりされたらしいのですが(笑)、いざ戦いが始まると、パートナーのポケモンは強かったらしく、ティーン達から「うわっレベル22だ、誰だ強ぇ、勝てね〜」と思わず動揺が聞こえ、この味方の坊やが急に誇らしげになり、ハイタッチして来たとか。

会社の近くで、同じくポケモン探しをしていた自閉症の子供に、熱く話しかけられたり、見知らぬユーザー同士でも、年齢差も40歳以上ありそうでも、ごく自然にこのゲームネタで、軽い会話が生まれている光景も何度も見ましたが、これって凄いなと思いました。

マーケティングにも有効だが

ポケストップには、当然ユーザーが集まりますし、お金でも買えるルアーを付ける事で、より多くのポケモンが集まるため、色んなビジネスが客寄せにも使えます。日本では既にマクドナルドと提携している事がバレていますが、ビジネスによっては、新たな集客ツールとしても十分に活用できそうだと、当初から思っていました。

ただ先日、仕様変更があり、パートナーが激怒していたのですが、今迄あったポケストップやポケジムの多くが、急に消されたのです。またポケモン捕獲の失敗率も、あからさまに上がりました。恐らくこの大反響に乗じて、収益モデルの本格化が一気に進み、有料サービスの強化が、提供者側からはかられているのでしょう。

ゲーム自体は 無料なので、ゲームを優位に遊べる有料アイテムの購入(In-app-purchases)が主な収益源なのですが、不具合もあり、返金を要求しようにもその手段がないなど、本来ならゲーム市場から撤廃させられてもおかしくない程、未整備の一面もあり、そこへ来て、ファン心理を踏みにじる仕様変更なので、今後が気になります。

以下、パートナー談です。「時代なのか大人になったからなのか、見知らぬ人は、警戒するのが当たり前になったが、子供の頃は、周りは皆ポテンシャルの友で、分け隔てなく、どこか繋がりも感じていた。この夏の1カ月位、まるで昔の夏祭りのように、子供から大人までもが、夜遅くまで夢中になって、しかも安全に遊べた感覚が、本当に懐かしかった。ありがとう。仕様変更前のゲーム」(その後、ポケモン捕獲の失敗率は、改善された様です。)

2016年8月9日火曜日

日米のWebサイトの違い

(U.S. FrontLine誌 2016年08月号 掲載分)

前回は、日本から欧米市場へ進出される企業の英語サイトでよく見られた、いくつかの共通点について触れました。一言で言えば、相手に対する尊重の無さの問題でした。

誤字や大文字・小文字の不統一、スペース規則無視など超基本事項をはじめ、ロジック的にうまく整理されておらず、短いセンテンス1つ理解するにも、かなりの努力と労力を必要とするなど、英語のネイティブからすれば、そこに掛けられた努力やケアの乏しさが透けて見える為、本気で英語圏の顧客を欲しがっているとは思えず、雑に扱われている感覚になるという話でした。またそうした雑な英語サイトは、近年、コンテンツの質を特に重んじるようになった主要検索エンジンからは、罰則を受ける可能性もあります。

今回は、そうした初歩的英語の問題は脱しているけれども、販促にはほとんど繋げられていない英語サイトの傾向について、お話しします。

取説とマーケティングの違い

技術的にもユニークで、世の中の役に立ちそうでいて、需要もありそうな、とてもポテンシャルのある商材を扱う日本企業から、以前、既存の英語のサイトのリニューアルについて、問い合わせがありました。

そんな素晴らしい商材だったのですが、サイト上では価値や興味、インパクトが全く伝わって来ないので、まるで取り扱い説明書を読まされている感覚になる、というのが、当社のネイティブのマーケッターたちの評価でした。

英語的に意味は取れるものの、人の興味を募ろうとか、競合と比べて、こちらを是非使ってみたいと思わせる、何らかの説得され得る理由を一切提供してくれないので、好意的に何かはあるはずだと、むしろ説得されたがって読んでいたのに、結局何も見つけられず、逆にイラっときたそうです。


日米の商習慣的な違い

商習慣的な違いも、もしかしたら災いしているのかもしれません。日本では基本、謙虚さはポジティブに評価され、他社批判など御法度ですが、アメリカは、真逆で、他社批判ありきみたいな所があり、大手は名指しも時にはしますし、相手会社を比喩で貶すことは多々あります。

例えばクールな Macという人物が、ダサくておやじ風のPC君を、色んなテーマでこき下ろすApple社のキャンペーンなどは有名です。

またブランドをとりまく環境も大きく違っています。日本では担当者が、人との繋がりを地道に築いて信頼を構築する、昔ながらのスタイルがまだ割と残っていると思います。

今でこそ終身雇用は崩れてきたそうですが、それでもひとつの会社へ長く勤める人も多く、従業員の会社に対するロイヤリティは強い傾向があり、すばらしいとよく感心させられるのは、自社の製品に誇りを持ち、例え膨大な品種があっても、実に広く深い知識を持つエキスパート的な担当の方々が、何人もいることです。

そうした人たちが、対外的に商品やサービスとは別の次元で、ブランドを形成しているとも言えます。

一方アメリカでは、数年で転職は当たり前の世界ですので、担当者はコロコロ変わり、各担当の会社へのロイヤリティも低く、従業員を雇っても、商品やサービスについて、十分な知識を持ち、愛着が沸く前に、もう居なくなっている、みたいなケースがほとんどかもしれません。

それこそ、顧客としてごく当然な質問をしているつもりでも、まともに返されず、分からない、ウェブにはもしかしたら載っているかも、といった残念な対応に出会う経験を、ほとんどのアメリカ在住の方なら、されているのではないでしょうか?

米系企業において、ブランドを形成しているのは、ほとんどの場合、人の要素はなく、商品や会社と言えます。

Webサイトがベストな営業マン?

つまり人もブランドを代表する日本と、会社のみがブランドを代表するアメリカ、みたいな違いがあり、その会社をWebサイトが代表するので、ベストの営業マンを安定して唯一確保する方法があるとすれば、企業のブランディングサイトを構築することになります。

米系企業の場合、例えどんなスモールビジネスであっても、企業ブランディングは意識されており、Webが効果的なジャンルの企業ほど、十分な情報提供に加え、潜在顧客層に刺さる訴求力をもった企業のブランディングサイトが、マーケティングを行っていく上で、非常に重要な位置づけという認識であり、日本とはその意味と存在意義に、大きく温度差があるように感じます。

日本の場合、良くても情報が充実したサイトという印象ですが、アメリカの場合、必要な情報の提供もさることながら、良くできたサイト程、テレビCMでも見ているかのような、インパクトや訴求力を感じさせます。

日本とアメリカの文化・価値観の違いなど、こちらでも説明していますので、併せてご参照ください。英語ウェブサイト制作について >>>