2015年11月22日日曜日

Facebookでエンゲージメント率を高める② Engagement!

(U.S. FrontLine誌 2013年8月5日号 掲載分)

前回、SNS(オンラインコミュニティ)の1種であるFacebookにおいて、ビジネス系ページでファン(Like)を募っていくハードルと、ファン獲得後もそれらをビジネスに活用する際のハードルについてお話ししました。

SNS上でユーザーの反応の度合いを示す「エンゲージメント」という指標があり、Facebookでいえば、1つの投稿に対して、(Likeされた数 + コメント数)÷ファン数で計算される「エンゲージメント率」を高めていけないと、結局のところファンがいても大して生かす道はありません。

ミュージシャンや有名人などのページのファンは、常に彼らからの投稿を待ち望んでおり、むしろ何かを宣伝されたがっているくらいで、エンゲージメント率は極めて高く、正にビジネス系ページが目指すべき所といえます。

ただ特に大企業ほど、できるだけ無難で大衆受けすることを考慮する傾向にあり、担当者もリスクを取りたがりません。結果、特徴・個性のないページになりがちで、Facebookに代表されるSNS全般で、多くの企業が今ひとつうまく活用できない、大きな要因の1つになっていると思われます。

自社のカラー・スタンスを明確にする

Grey Pouponという、古くからあるマスタードのブランドが、Facebook上などで、一時的に話題をさらっていました。アメリカで6月はゲイ・プライドの月とされ、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの人々が、自己の性的指向や性自認に誇りを持つべきという考えから、毎年各地でパレードや催しものが行われます。

企業もこれらの運動を積極的に支持するところもあり、例えばGoogleはこの期間で、ゲイ・コミュニティの象徴であるレインボー色の画像を表示するなどして祝っていました。

Grey Pouponは今年、自社のFacebookページ上でゲイ・プライドの月を祝う投稿をしたのですが、それに対して賛同・反対するユーザー間で論争が起きました。その投稿に対して数時間内にLikeは約2万人、シェアは約3万7千人、コメント数は約1万9千になり、いわゆるFacebook 上での口コミが発生しました。

Grey Pouponといえば、アメリカ人なら誰もが知っているCMがあります。運転手付のロールス・ロイスに乗った金持ちの紳士が、車中で食事をしていて、信号待ちでたまたま横に並んだ車の後部座席の紳士から、窓越しに「Grey Pouponありますか?」と尋ねられ、「もちろん!」と気前 良くこのマスタードを手渡しする、というものです。

これを少しアレンジした、男性が窓越しで手を握った画像と、「6月は(ゲイ)プライドの月だけど、むしろ1年中祝うことをお勧めします。なぜなら、プライドと良い趣味の味覚は、季節に限定されないので」というテキストを投稿したのでした。

反対派は同性愛に批判的なコメントをいろいろ書き込んだ上、「顧客層を失うことになるぞ」と騒いでいるわけですが、企業側はまった動じることなく、クールにスタンスを示していました。

死にかけたブランドの再生

Grey Pouponは歴史こそありますが、近年は死にかけたブランドと言われているそうです。しかし今回の騒動でいろんなメディアにも取り上げられ、若い人にも再度知られるきっかけとなりました。

昨年はオレオクッキーが、同様のことをして話題になっていました。調べたところ、実はどちらも親会社は同じだったので、元々そういう社風なのかもしれません。

もちろん、この意思表明で失ったファン・客層もいたはずですが、それより得たファン・効果の方がはるかに大きかったのではないでしょうか?

中小企業だからできること

先のマスタードの会社は決して中小ではないのですが、大手が苦手とすること、できないことにあえて注目して、比較的自由度のある中小ならではの差別化を考えていくことは、FacebookなどSNSにおいて、ファンの心をとらえ、高いエンゲージメント率を得るのに、非常に有効な手段となり得ます。

ちなみに我が社で運営しているレッグウェア専門のオンラインショップのFacebookページのファンが、5万人以上(現在は10万人以上)になったと本稿で前にお話ししましたが、過去にやはり同性愛者に関した話題で、明確に擁護するスタンスを示す投稿をしたことがあったそうです。

もちろん反対派からのネガティブな書き込みもあり、若干Likeは減ったそうですが、それ以上に増えたLikeの方が多かったようで、そもそも差別主義の顧客を失うのは、悔いにはならないですし、エンゲージメント率も高くなったそうです。

タイムリーな話題で、つい先日、連邦最高裁で「結婚防衛法」と呼ばれる、結婚は男女間のものと規定する条項を違憲とする判決が下されました。これにより同姓婚でも同等の権利が得られることになるそうで、不景気ながら世の中、良い方向には向かっているなと思いました。

[もっと詳しくソーシャルメディアマーケティングについて知りたい方はこちらも参照ください: ソーシャルメディアマーケティングが必要な理由]

2015年11月19日木曜日

Facebookでエンゲージメント率を高める① Engagement!

(U.S. FrontLine誌 2013年7月20日号 掲載分)

Facebookは一種のオンラインコミュニティ(SNS)であり、そこには商用・個人含めて色々なページが存在しているわけですが、各ページをLikeしているユーザーは、それぞれのファンと呼ばれます。

実際にページを開設してみれば誰しも経験すると思うのですが、企業やブランドといったビジネス系のページでファン(Like)数を増やしていくのはなかなか大変です。

超有名企業で、それをLikeすることがそのままその人のアイデンティティを表しているかのようなもの、例えばスターバックス・コーヒーやApple社とか、あるいは好きな小説や漫画、テレビ番組、音楽といった趣味・娯楽系のページなら、ユーザーが自らページを探し出して、勝手にLikeしてく れる可能性もありますが、一般のビジネス系では、残念ながらそんな都合の良いことはなかなか起きてはくれません。

Likeを多く獲得できているビジネス系のページは、単に大企業でファンが多いからそうなっているなどと誤解されているかもしれませんが、大半は広告やプロモーションなど、何らかのお金や労力の伴った企業側担当者の努力があり、やっと得られる成果なのです。

このファン獲得の段階でも十分ハードルは高いので、うまく行かず苦悩しているケースも多々あると思いますが、覚悟を決めてある程度のお金と労力を費やせば、時間は掛かるかもしれませんが、絶対に乗り越えられないものではないと思います。

多数のファンがいても、うまく生かせない

ただそうした努力で獲得したファンベースがあっても、ビジネスにうまく生かせるか(つまり何らかの売上に変換できるか)、といえば、これまた別の話で、再び苦悩している企業もかなりあると思います。これが2つ目のハードルです。ビジネス系ページのファンは、前述のとおり、半ば強引に ファンに仕立て上げたような人たちです。

通常はその企業への関心度も低く、当たり障りのないようなトピックを投稿しても、当然Likeやシェアなどの反応は薄く、宣伝や広告なら、なおさら寒い状況になります。むしろそれが続くとユーザーからうざいと思われ、次回から投稿を非表示にされるか、最悪はLikeを取り消される可能性す らあります。

一方ミュージシャンや有名人などのページには、忠誠心のあるファンが集っており、例え第三者的にはどうでもいいと感じる投稿でも、ファンたちはそれらを熱望しており、むしろ何かを宣伝されたがっているくらいの状況といえます。マーケティングをしていきたい企業側からすれば、それこそが探し求めていた理想のSNSといえます。

エンゲージメント率が低ければ、意味がない

ソーシャルメディア上で、ユーザーの愛着・関心・反応の度合いを示す指標として「エンゲージメント」という用語があり、「エンゲージメント率」は、反応数÷ユーザー数で計算されます。

Facebookでいえば、1つの投稿に対して、(Likeされた数+コメント数)÷ファン数です。(シェア数も加味するケースもありますが、Likeした上でシェアする人も多いからなのか、一般的にシェアは含まずに計算する方が多いようです)。

例えば1万人のファンがいるページで何かを投稿して、350人がLikeをし、50人がコメントを書けば、エンゲージメント率は4%ということです。

ソーシャルメディアマーケティングにおいて、もちろんファン数は絶対に必要ですが、このエンゲージメント率を高めていけないと、結局のところ、ただの一方通行の宣伝にしかならないわけです。

ビジネス系が目指すべき所は、先のミュージシャンや有名人などのページのように、ファンたちが今か今かと次の投稿を心から待ち望んでくれているような、エンゲージメント率の高いページということです。

エンゲージメント率を高めるには?

ファンの関心を引ける、面白い・インパクト・話題性のある投稿を頻繁にするのが、もちろんエンゲージメント率を高める1つの確実な方法ですが、これはかなりしんどい作業です。

企業側もファンに飽きられないよう、社内でSMS管理者を用意して、随時何かを投稿させるようにしているところも増えてはきました。

ただ特に日系企業など、ネット事情をあまり理解していない担当者が管理していると、ネタが尽きてどこかで出回っていた古いネタをそのまま流用しているだけで、ユーザーはカビの生えた周知の話題を見せられ続け、完全に退いてしまっているのに、企業側はおそらくそのことに気づいてもいない、という寒い光景もたまに見かけます。

手を抜けることは限られています。ではどうすれば良いのか? という話なのですが、次回、シンプルながら使える1つの手法をご紹介します。

[もっと詳しくソーシャルメディアマーケティングについて知りたい方はこちらも参照ください: ソーシャルメディアマーケティングが必要な理由]

2015年11月15日日曜日

採用のコツ⑥ 無償トライアル2 Hiring the Right Person, Part 6

(U.S. FrontLine誌 2013年5月5日号 掲載分)



前回、当社の場合は面接で好感触だった応募者に、無償ながら実際の業務に近い内容を数時間程度、トライアルとして、オフィスに来てもらい実際に行ってもらう制度があることについて、ご紹介しました。

この制度は、採用前のある種のお見合いみたいなもので、実務のイメージや仕事場の雰囲気なども事前に確認できるので、応募者にもわりと評判が良いものです。

またトライアルでは、簡単なトラップをいくつか仕掛けておくことで、応募者の潜在的な可能性、危険性、性格、PCの基本的なスキルなど、かなりしっかりと確認できるので、もしもこのような試みを実践されていない企業があれば、採用担当の方にも、自信を持ってお勧めしたいくらいです。

なおうちで発生する雇用のほとんどは、アメリカ人の採用になっているのですが、例えば同じように日系企業がアメリカ人を採用する際には、言語的な問題もあると思うので、特にこのトライアルのように、事前に一定の基準で評価できる制度は、有益ではないかと思っています。


さて、前回はオンラインショップ関連のポジションでの話をご紹介しましたが、今回はインターネットマーケッター関連での話です。ちなみにこの表現だとかなり広い範囲の職種をまだ指していることになるのですが、読者の方で想像しやすいところでは、自然な検索結果でウェブサイトを上位表示させる、SEO技術者であるとか、検索エンジンでキーワードに連動させた広告(PPC)の管理や最適化を行う人、というところでしょうか?

ちなみにFacebookなどSNSの管理者もこの類に入りますし、オンライン広告、もしくはバイラル(口コミ)マーケティング用に、何らかの画像、動画、テキストなどを作成する、コンテンツクリエーターも、ある種この中に入ります。実際に求人をすると、これら職種の完成形(シニアレベル)の人の応募はあまり多くなく、他のキャリアを築いて来た人が、新たにこのフィールドに興味を持ち、転職を希望しているパターンが結構あるように思います。中には元弁護士とか、過去にエミー賞をとったことのある元TVプロデューサーとか、ほんとうにさまざまですが、まだどういう世界なのかよく分からないけれど、漠然と興味を持たれている印象も多く見受けられます。

無償トライアルでは、クリエイティブライティング、PPCの基礎テスト、SEOライティング、SNSの応対シュミレーション(ブランドマネージメント)など、その時の求人状況や相手をみて、内容を選んで実施しています。

ちなみに各PCは、リモートで完全にモニタリングできるようにしており、必要に応じて応募者の行動を誰かが確認しているのですが、聞いた話で、こんなエピソードがありました。

ある応募者の話

その人は、前職がGoogleのクオリティーレイターという仕事の下請け会社に勤めていたということでした。

Googleの検索結果における各サイトの表示順位は、アルゴリズムと呼ばれる、彼らの非公開のルールでサイトを機械的に評価し、順位付けをしているわけですが、この「クオリティーレイター」は、人間が、実際に上位に来ているサイトを、ガイドラインに沿って手動で評価し、検索結果の品質評価をする仕事のことで、Googleが2005年より実施している試みです。

実際には、何人ものクオリティーレイターが決められたレポートを提出し、そこからいろいろな審査・承認のプロセスを経ていくようですが、結局、Googleもコンピュータだけでは追いつかず、人間の手を借りて、検索結果を構成しているということです。

経歴としては、インターネットマーケッターのポジションへの応募者の中では、わりと妥当な路線だったということもあり、多少期待はしたのですが、結果として、クリエイティブライティングのセンスがまったくないという、パートナーからの評価でした。


そしてその上で、わずか数時間のトライアル中に、当の本人は友達に向かって、「採用されるの、ちょろいよ」みたいな主旨のメールを(モニタリングされていると知らず)送っていたらしいのです。

ちなみに面接時から「簡単にできる」的な発言を簡単にしてしまうような応募者には、特に注意が必要で、大半は仕事を単に1つのタスクとしてしか見ていない人が多いのですが、まさにそんな感じでした。何より、自分の出来の評価・分析がまともにできていないのでは、その先が大変でしょう。さて、本シリーズはこれで以上ですが、仕事で採用する側、される側ともに、何らかの足しになれていたら幸いです。

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2015年11月14日土曜日

採用のコツ⑤ 無償トライアル1 Hiring the Right Person, Part 5

(U.S. FrontLine誌 2014年4月20日号 掲載分)

前回は、どういう根拠で自身がとるべき給与を考えているのかを、応募者に質問することで、その人の仕事に対する自覚やスタンスが確認できることや、収益と経費をできるだけクリアにすることで、本人の純利益への貢献度を明確に認識できるようにするという考え方を、私が日本にいた時代に勤めた会社内で確立したことについて紹介しました。さらに、日本の会社時代に真の成果報酬制度を設けさせ、社長より給与をとり、稼いだお金で私自身が起業できたことについても触れました。



採用(結婚)前の“お見合い”

我が社では面接の感触で、可能性を感じた方には、もれなく無償トライアルをオファーすることにしています。内容や長さは、募集している職種により変わってきますが、おおむね2~3時間で、無給ですが、オフィスで本番に近い仕事を実体験してもらうという制度です。

具体的には、例えばショップのカスタマーサービスや出荷担当のポジションであれば、仮想の顧客からの問い合わせに対して、どのように電話やEメールで応対するのか?とか、仮の注文に対して、商品をピッキングするところを実際にやってもらうのです。

勿論、いきなり本番の仕事はさせられないので、実際には予めこちらで用意した疑似体験的シミュレーションになるのですが、その人が潜在的に秘めた可能性や危険性、性格までも、かなり見事にキャッチできるので、この制度をもし採用されていない企業があれば、自信をもってお勧めしたいです。

また、この無償トライアルは、応募者の方からしても、かなりリアルに近い仕事のイメージを持てるため、本人にとってもフィットしそうな仕事・職場であるのかを容易に実感できることから、多くの方から良い制度だと褒めていただいています。

トラップも仕掛けておく

この関連の仕事には、私はあまり関与しておらず、多くはパートナーから聞いた話ですが、うちの場合は特に、正直さとディテールケアができるかに重点を置いており、それが如実に現れるようなトラップをいくつも仕掛けているそうです。また応募者にもあえて、うちが特にこの2点を重視していることも念入りに何度も伝えてから、行っているそうですが、合格点を取れるのは、10人に1人という感じのようです。

電話応対では、事前に読んでもらったショップのポリシーを、どれくらい注意深く見ていたかとか、あまり知識のないことを聞かれた際の対処の仕方とか、軽い人間性の部分まで垣間見ることができるそうです。

Eメールは、基本的な綴りや文法力から、PCの基本操作、ビジネスマナーの習得度まで、シンプルながらかなり明確に浮き彫りになるようで、文法レベルなどの問題は、それまでに受けた教育や環境が大きく影響しているので、一から直していくようなトレーニングは、中小企業では現実的に不可能に近く、事前に応募者の基礎力を把握することは重要といえます。

30分で6つの返信メールを書いてもらうのですが、できる人ほど、始める前に「どの位の時間内でやればいいのか」を聞いてくるそうです。

大半の何も聞かずに始める人たちには、残り15分の時点で伝えるそうです。全部をまともには終えられないと悟った人が、残りを雑に終えたり、1つのレスに最後まで固執したりと、やはり性格が出るそうです。

本当のポイントはプレッシャーの中での、時間を切らした本人の自己責任のとり方を観察しており、例えば確認作業のために、追加の時間を恐縮しながら交渉してくる人なら、実はOKだったりします。またワードのスペルチェック機能をきちんと使うかなど、初歩的ながら、過去の職場での習慣なども把握できます。

商品のピッキング作業も、甘く見る人が多い反面、100点を取れる人は少ないようです。ただあるクライアントさんが、オンラインショップにおいて、出荷作業が一番重要だと仰っていたのですが、私にこの表現はかなり刺さり、的を射た話だとも思っています。

勿論、注文が入るためには、色んなマーケティングをし、露出・集客に労力とお金を費やさなければ何も始まらないと、本稿で何度も触れましたが、そうした努力でせっかく得た注文も、最後にミス出荷をしてしまうと、一瞬で利益が吹っ飛んでしまう上、顧客不満足をも募ってしまい、すべて水の泡となるからです。

またトライアル時にはミスが発覚した際、それを指摘することで、応募者がフィードバックをうまく受けられる人かを見極めるというテーマも隠れています。ちなみに学歴の高い人ほど、逆ギレしてくることがたまにあります。

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2015年11月2日月曜日

採用のコツ④ 適正給与 Hiring the Right Person, Part 4

(U.S. FrontLine誌 2014年4月5日号 掲載分)

前回は、ある応募者を例に、問題の認識・分析能力や、会社における自分の存在価値とゴールを追求する姿勢についてお話ししました。今回も、面接時での話です。

給与は、実は応募者の言い値でもOK

応募者も採用する側も、給与やベネフィットは大きな関心ごとのはずです。私が面接する際には、「給与はいくらでもいいですよ、いくらほしいですか?」と尋ねることがよくあります。これはトリックでも何でもなく、実はまじめに本音として聞いています。

ただ勿論、補足すると(その人のパフォーマンスにより、人件費を差し引いても、会社に利益が十分にもたらされるのであれば)給与はいくらでもいいです、という意味です。

この質問も、応募者の自覚や労働スタンスを確認する上で、結構有効だと思っていて、勿論皆さん、希望の給与というのはあるものです。経営側も、できることなら、人も羨むような高給をみんなに支給して喜んでもらいたいし、感謝されたいというのが本音です。ただ現実として、それでは収支的に見合わないことが多く、何らかの制限があることの方が多いと思うのです。

例えば応募者が「給与は××くらいほしい」と意思表明してくれれば、次はその金額を算出した根拠を尋ねます。

回答として、業界的な相場だからとか、前職と比較してとか、自分に必要な生活水準からとか、根拠は様々だったりしますが、この質問をしている真の意味は、「あなたは、今、自分がいくらの価値があると考え、会社に対して金銭的にどんな貢献ができると考えているのか?」を聞いているのです。

給与は、どこから来ているのか?

前回の話とも被るのですが、なぜ会社がその人に給与を支払っているのかを、厳しく自問自答できている人ほど、ゴールも明確にもっているし、適正給与をこちらから説明しなくとも、理解されているものです。

仮に希望と開きがあっても、何ができれば、その開きを埋められるのかを真剣に考え、本気で努力しようとする人なら、企業は欲しがるでしょう。少なくとも、自分がどういう結果をもたらしていれば、雇用関係が良好に成立するのかを正しく認識できていれば、世の中的によく聞く、従業員から会社への疑念もかなりクリアに晴れるのではないかと思っています。

このように面接時に「自分がいくらの価値を生めるのか」を尋ねると、たまに応募者の方から、「今まで、こんな考え方をしたことがなかった。新しい視点を得たようだ」と感謝されることがあるので、ITとは直接関係しませんが、こんな考え方もあると、一応ご紹介してみました。

超透明パフォーマンス評価

私は、本来給与とはどういう業種で何年の経験を積んだからいくら、と単純に決まるような話ではなく、目安にはなったとしても、結局はその人によって生み出される利益により決まるべきものだと思っています(これはクライアントに対する対価でも同様だと考えており、本稿でも何度かそういう主旨の話をしてきたつもりです)。

勿論、事務職のような仕事での利益計算は、難しいものがありますが、特にうちの業種のようなITや広告業界などクリエーター系の職種では、常に何かを創造している仕事なので、収支はかなり明確に計算できます。

実際に我が社の場合、案件全体の金額と、担当者毎のタスクが、その内のいくら相当の仕事になるのか、また会社の経費的なこともかなり具体的に提示しているので、各タスクを担当する人が、どれくらいの時間を費やすかで、自身の人件費分を単純に差し引けば、貢献した純利益が、鮮 明に認識できるようにしています。

このアプローチは、勿論パフォーマンスが良い人には好評ですが、悪い人には、ただ後ろめたさを感じるつらい職場になります。しかし、私は技術職であれば、それでいいと思っています。本人が一念発起してスキルアップしてくれることを期待しているのですが、仮にもっと気楽な職場を求めたければ、他をあたってもらった方が、お互いのためだからです。

ちなみにこの考え方は、私が昔日本でIT会社に勤めていた頃に確立したものです。中小企業でしか成立しない話だとは思いますが、経費をクリアにしてもらい、自分が納めた案件の純利益の10%を年俸以外にボーナスとしてよこせと交渉し、実際に社長より給与をとるまでになり、資金を貯めて今の会社を起業できたのです。

そして今は、自分のような人が現れるのを、心待ちにしています。実は昨年雇った一人が、実力で給与を勝ち取る自信と精神をもち、自分と同じ匂いを感じるので、密かにわくわくしています。

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