ソーシャルメディアとキャリア ② [Social Media & Your Career Part 2]

(U.S. FrontLine誌 2015年7月5日号 掲載分)

前回は、ソーシャルメディア上での発言が元で、採用 されたのに働く前にクビになった人たちのケースについて、 触れました。今回は働き出してからのケースを取り上げよ うと思っていたのですが、先週金曜にテキサス州のあるプ ールパーティで起きた事件が、まさにタイムリーだったの で、そちらについてお話ししたいと思います。

悲しさと強い憤りを感じた動画

色んなニュースで取り上げられているので、ご覧になっ た方も多いかと思いますが、その場に居合わせた人が撮影し た動画を見たとき、私はかなりショックを受けた上、一体何 が起きているのか信じられず、何度も見返してしまいました。

その動画の内容は、およそこんな感じでした。住宅街 のストリートに何人かのティーンがおり、1人の白人警官 と普通に話していたところ、別の常軌を逸した白人警官が、 次々と黒人の男の子のティーンだけに怒声を浴びせながら 地面に座らせたり、うつぶせにさせたり、後ろ手で手錠を かけていくのです。

そして今度は、周りにいた黒人の女の子のティーンたち へ、「ここから立ち去れ」と何度も怒鳴り散らし、最終的に は立ち去ったのですが、去り際の口答えが気に入らなかっ たらしく、1人の女の子につかみかかり、地面に顔を付け ろと怒鳴り、押さえ付けながら拘束したのです。

それを見ていた周りのおそらく友達らが、彼女を助けよ うと集まってきたところ、この警官は銃を取り出し、子供 らを威嚇したのです。ちなみにこのティーンたちは、ただ プールパーティに来ていて、女の子たちはビキニ、男の子 も短パンで、もちろん丸腰で武器など一切なく、無抵抗な 子供たちでした。この警官のまるでテロリストでも相手に しているかのような行動は、とても不可解でした。



また特定の犯罪者を探しているというより、とにかく手当 たり次第に目に付いた黒人を拘束しているようにしか見え ないのも、とても違和感がありました。彼らは銃を向けられ るまでは、普通に逃げるわけでも、争うわけでもなく、ただ その場に居ただけのように見えたので、一体どんな罪や容疑 でこんな扱いを受けているのだろう? と思っていました。 さらに私を混乱させたのが、周りにいる白人には一切 干渉しない一方で、何か罪を犯しているとも到底思えない、 ただ公共のストリートにいるだけの黒人ティーンにのみ、 「ここから立ち去れ」と怒声を浴びせ続けていたことです。

私は記事を読む前に動画を見たため、何層にも渡って 不可解な出来事でした。ある記事によると、ことの発端は、 コンドやタウンハウスなどにあるHOAが管理する共用プー ルを利用したプライベートパーティを、そこに住む黒人家 族が開き、招待された黒人を含む友達が参加していたとこ ろ、近所の白人が、“付近に住んでいない、立ち入りを許可 されていない黒人たちが来ている”と、警察へ通報したとの ことです。このニュースはその後、当事者以外の色々なと ころでも、大きな波紋を呼びました。

発言の自由には当然責任も伴う

マイアミにある高校の校長が、ネット経由で新聞へ、“He did nothing wrong, He was afraid for his life. I commend him for his actions.”(この警官は何も間違っていない。彼は 命の危険を感じていた。彼はよくやった。)と投稿したのが元 で、解雇されました。後のインタビューで本人は、「匿名で投 稿するつもりだった」と発言していました。そういう問題で もなく、理不尽な目に遭った子供たちを凶悪な犯罪者扱い?

またある小学4 年を受け持つ先生は、Facebook上 で、こんな醜い人種差別的発言をして、解雇されています。 “Segregated on one side of town so they can hurt each other and leave the innocent people alone. Maybe the 50s and 60s were really on to something.”(黒人たちを隔 離すればいい。彼らはお互いに殺し合い、罪のない(白人)は 関わらなくて済む。1950~1960年代にそうしていたのは 正しかった)。こんな“先生”の下にいた子に深く同情します。

また黒人の女の子と白人女性が喧嘩していて、別の白人 女性が黒人の子の頭を叩いている動画もあるのですが、こ の白人女性たちは、人種差別的な醜い言動や、顔をひっぱ たくなど、黒人の子らを攻撃し騒ぎを煽っていたというの が、インタビューなどから知れ渡っており、ネット上でこ れらが誰かを突き止める動きも起きました。

例えば1人はBank Of America(BOA)関連していると分 かると、BOAのツイッターページに、「人種的中傷と暴力で 子供を攻撃しているTracey Carver-Allbrittonは、そちらの 従業員ですか?」と投稿され、BOAも返答していました(実 際にはそのベンダーの従業員だったようです)。この女性も 現在雇用主から、停職処分を下されました。

発言の自由は、もちろん誰にでもありますが、ソーシャ ルメディアの時代では、内容により相応の責任もとらされ ることを覚悟しておくべきでしょう。

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