2014年2月28日金曜日

中小企業が生き残るには⑲ 知名度2

(U.S. FrontLine誌 2012年2月20日号 掲載分)
前回、資本力の劣る中小企業にとって、アイデアをうまく生かせば広告費を何分の1にも抑えることができる「バイラル(口コミ)マーケティング」が救世主になる可能性について、お話しました。ただし、SEO(自然な検索結果での上位表示)を遥かに凌ぐ至難の業であることにも触れました。そして、バイラルマーケティングとはどんなものかをイメージしていただくために、あるオンラインユーザーのピザ注文時での遊びをヒントに取り上げました。

昨年末話題を呼んだビデオ

ちょうど昨年のホリデーシーズンの終わりくらいのことです。ご存知の通り、アメリカにおいて、この時期のオンラインショップのセールスは凄まじく、配送業者にとっても1年で一番忙しい時期でもあります。配送業者と言えば、アメリカではUSPS、UPS、Fedexあたりが真っ先に浮かびますが、USPSも破産寸前でかなりのサービス廃止をするらしく、どの業界も大変なんだなぁと思っていた頃でした。
この時期オンラインで、かなり有名になったビデオがありました。それこそ色んなメディアでも取り上げられていたので、ご覧になられた読者の方も多いかもしれません。そのビデオとは、あるコンピューターのモニターを注文した顧客の家へ、Fedexの配達人が届ける一部始終を、たまたまその家の監視カメラが20秒程録画したものです(本当に偶然だったのか、真相は不明)。
その荷物はサイン不要のものだったらしいのですが、配達員は、家の前でドアベルを鳴らすこともなく、柵の上から、ぽいっとモニターを庭へ投げ入れて立ち去るという、ちょっとした衝撃映像でした。日中だったので、かなりクリアに映っています。もちろん、そのモニターは壊れていて、返品しなければならなかったそうです。受け取り人いわく、その時は自宅におり、玄関のドアも開いていたとか。
その人がYoutube(動画投稿サイト)へ映像をアップしたところ、5日で500万回以上の視聴がされたらしいです。話はここまでなのですが、もしもこれが、Fedexに対するネガティブキャンペーンだったとしたら、もの凄く効果的ですよね。しかも制作費はほとんどゼロに近いし(笑)。ただ実は、UPSもUSPSでも似たようビデオは存在するみたいです。もしかしたら、お互いを刺し合っているのかも。

昔話題になったバイラル

また、これは全く別のバイラルの例なのですが、かなり昔に話題となった、ダイエットコークのペットボトルに、メントス(ミント味のキャンディー)をいくつか入れると、 急激に炭酸が気化し、泡が一気に数mの高さまで(やりようによっては10m以上も)吹き上がるというものです。覚えていませんか?
2002年に、物理学教師スティーヴ・スパングラーが、News9セグメント(KUSA-テレビ)で、この爆発を実証して以来、2006年あたりをピークに、Youtubeから一気に広 まっていったのです。例えばラスベガスのべラージオホテルの前で、噴水ショーさながら、という映像もありました。噴き出す泡の高さを競うコンテストも始まり、今では、コカ・コーラ社とメントス社がスポンサーになって開催されているほどです。
ちなみに私は、たまたま見ていた刑事ドラマの中でこの実験をして遊ぶシーンが出てきて、知りました。その時、「これはもしかしたら、天才的なマーケティングアイデアなのではないか」と感心したのを覚えています。
私にとって何が斬新だったかというと、この衝撃映像もさることながら、「モノを売るという行為においては、必ずしも本来のモノの用途など関係もなく必要もない」という事実を突きつけられたことです。
もし、その頃私が若い学生だったら、確実にダイエットコークとメントスを買いに行ったことでしょう。ちなみにコークもメントスも、私が好きな味ではなく(というかむしろ苦手で)、飲食という目的なら絶対に自分から手を出すようなアイテムではないのにも関わらずです。しかもおそらく、色々遊びたいので、大量購入したことでしょう。事実、両社は売上を大きく伸ばしたそうです。

露出できる方法は様々

どちらも、一応最初から商用目的に制作されたバイラルビデオの例ではありません。またFedexにしても、コカ・コーラやメントスにしても、大手で既に名前は知られており、中小企業がこれから知名度を高めていく、という例としては不適切かもしれません。それでも、発想を膨らませれば、色々な可能性が広がると思いませんか?

2014年2月15日土曜日

中小企業が生き残るには⑱ 知名度1

(U.S. FrontLine誌 2012年2月5日号 掲載分)
一般的に、企業は、露出が多く知名度が高いほど、信頼性も高まるものです。以前なら、特に大手は、莫大な費用をかけてテレビや新聞、雑誌などに広告を出していましたが、近年は、よりリーズナブルで費用対効果の高いオンライン媒体に着目するようになりました。SEOやPPCにより検索エンジンで、自社サイトを上位表示させる、SNSや人気サイトへ広告を表示させる、あるいはインターネットTVのCMを積極的に活用するようになってきました。
それら広告活動はすべて、露出を増やし知名度を高めるか、集客を行うための行為といえます。そして、資本力があるほど有利な戦いができるのです。資本力の劣る中小企業に何か良い策はあるのか? それが、本テーマのカギですが、私はその答えの1つが、「バイラル(口コミ)マーケティング」だと考えています。

アイデアで広告費を何分の1に

バイラルマーケティングとは、バイラルネタとなるインパクトのある動画や画像、もしくはサイト自体、または何らかのストーリーや話題をつくり上げ、最初は意図的に露出させ、いずれ口コミによって広まっていくように画策するマーケティング手法です。
仮にそのバイラルネタを見た1人が、周りの3人に伝達してくれれば、1人あたりにかける広告コストを、結果として4分の1に下げられたことになります。
よく、強烈なバイラルネタさえ作れば後は自然に広まってくれるので、ほとんどお金がかからない広告手段だ、と勘違いしている人がいますが、それはほぼ間違いです。
「ほぼ」と書いたのは、どういう期間でどの程度の範囲に拡散させたいというゴール設定や、ネタの質や内容にもよるから、です。数年かけて、ということでもなければ、通常は商用目的のバイラルを起こすには、最初にある程度のシーディング(種まき)が必要で、それには一定の広告費が必要になります。
「バイラルは誰でも簡単に成功させられるか?」といえば、これまた答えはNOです。
そもそも簡単に成功できるマーケティング手法なんて、世の中にほとんど存在しないでしょう。本稿で何度もお話してきたように、誰でも簡単に始められるPPCだって、費用対効果の面で成功させるためには、かなりのノウハウが必要です。
SEOに至っては、集客力のあるキーワードで実質トップ3位以内に入らなければ、トラフィック的に成功を体感できるほどの成果は上がりません。それができる業者は、本当に一握りで、その他大勢の“なんちゃってプロ”がやっていることなどは、気休めにしかなりません。
そのSEOをも遥かに凌ぐ難易度をもつのが、バイラルです。ただ、本当のSEOを実践するには、高い分析力と強烈なクリエイティビティが不可欠という点で、実は通じるものもあり、単に人の真似をしても結果が知れているというのも似ています。
何よりも、オリジナリティとセンスが重要で、SEOを早期から極めてしまった我が社としては、教則本を読んだだけの巷に溢れた“偽SEOマスター”達には本当に辟易しており、彼らが取り繕うのがより困難なこのバイラルは、最近のお気に入りです。
感覚的には、我々アーティストが、クライアントごとにぴったり合う曲を書き分けているようなもので、下手なパクリは売れない上、逆に叩かれる、みたいな感じです。

あくまでも一つのヒントとして

ここ1年程で、ネットで流行っていることがあります。オンラインでピザを注文すると、スペシャルインストラクションという欄があり、普通なら「オニオン抜きで」とか任意のリクエストを書き込むところ、「ピザをペンタグラムに切って」とか、「箱にネコの絵を描いて」などと、ちょっとした遊び心を入れてみたユーザーがいました。お店の従業員がまじめに応え、それを受け取った人が写真をアップしたことから、ネットで広まり、今ではその「遊び」をいろんなところで行うオンラインユーザーが密かに増えているのです。これは一応、ユーザーによる自然発生的なもので、商用的なバイラルではないらしいのですが(真相は不明)。
もし、ユーザーに成りすましたサクラが「無理難題を店員に投げかけてもそれに応えてくれる面白い店があるよ」と広めていく、というアイデアを考え、実践したのだとすれば、それこそバイラルマーケティングです。要するにノールールで、アイデア次第ではどこまでも可能性があり、コストもかなり抑えられるわけです。
余談ですが、この流行のおかげで、実は我が社が運営するオンラインショップでも、「箱にサメやゾウを描いて」のようなリクエストがたまに入るみたいです。うちのスタッフもまた絵心があるのが多い上、そういうノリが好きなので、リクエストが入ると結構うまくマメに描いてあげていたらしく…。私はたまたまこの間、この事実を知ったのですが、経営者的にはちょっぴり複雑でした(笑)。