オンラインショップは、何が大変なのか?③ ライティング

(U.S. FrontLine誌 2012年9月20日号 掲載分)

前回、オンラインショップの主要パッケージソフトは、機 能的によくできており、SEOにも標準対応しているとは言 っても、実のところそのまま使ったのでは、狙ったキーワ ードで上位に来ることはまずないことをお話ししました。

勿論、SEOの実践能力とシステム開発能力を本当にもつ、 稀少な業者がカスタマイズしていれば、競争力のあるショ ップにはなり得ます。しかし、その業者探しと費用という 面だけで考えても、誰でも簡単に手に入るようなリソース に競争力がないことは明白なのです。

数アイテムしか商品がないショップは別として、アイテム 数が多いほど、それらのデータ整備だけでも結構な作業に なります。我が社に依頼頂くオンラインショップの案件でも、 時間が掛かっているのが、データ整備と画像作成の工程で す。それがクライアントさん側の作業になっていると、我 が社もどうすることもできず、ということが結構あります。

データとは、商品やカテゴリーページを構成する要素にな るわけですが、例えば説明文などを作成するにも、本来は 相応のスキルが必要です。もしも英語圏のマーケットを狙 うショップを日系企業が構築する場合、皆さんが想像して いる以上に、色々な問題が生じることになります。

勿論、売上を期待しない、趣味的・楽観的なショップであ れば話は別ですが、本気のビジネスであれば、ユーザーに 対して訴求力のある説明文やキャッチコピーを作ることの 難しさをまず認識すべきです。しかもそこにネイティブ以 外の人が介在する案件は、本当に苦労します。このことは 本稿でも以前にもお話ししたのですが、それでも相変わら ず、甘ーく考えられている案件に幾度となく出くわします (溜息)。

誰が正解を判断できるのか?

まず致命的なパターンは、日本人(社内スタッフや翻訳者) が英語を書き、社内にネイティブがいないケース。これは もはや英語の質を評価できる人がまったくいないので、論 外です。社内にはネイティブがおり、英語のレビューだけ はしてもらうというのも、ある種、運任せと言えます。

なぜなら、たまたま社内にいるネイティブが“文章力があ り、マーケティングセンスのある人”でなければ適切なレ ビューなどできないからです。そもそも運良くそういう人 がいたとすれば、通常は、日本人にライティングなどさせ ていないでしょう。戻り作業の非効率さにすぐに気付くで しょうから。

また厄介なのが、社内のネイティブがレビューをするだけ にせよ、メインライターになっているにせよ、周りの日本 人は、その英語力を正当に評価ができないという点です。

ちなみに学歴もある程度は関係するとしても、大卒・院卒 だから文章力があるというのは、単なる思い込みによる希 望的憶測です(仮に日本語で日本の大卒に文章を書かせた として、何割がマーケティングを理解して、訴求力のある ライティングをできると思いますか?)。当然1つの専門分 野ですから、その道の環境下で経験を磨いていなければ、 通常は即戦力にはなり得ないのです。

どうやっても後味悪い

我が社でライティングは1つの本業なので、プロとしての スキルがあるからこそ、稚拙な文章を見過ごすこともでき ないのですが、ここでいつも頭を悩ますのが、クライアン トの社内のネイティブスタッフが、実はあまりライティン グが得意ではなかった場合です。まったく別のスキルで雇 われていたとしても、ネイティブとしての面子を潰すこと になりますし、もしも英語的な役割で雇われていた場合、 スキルがないことを露呈させてしまうことになるので、フ ィードバックをするにしても、とてつもなく気が重いプロ セスになります(この状況、イメージできます?)。

実際、相手も当然防御的になるので、結局「どちら側のネ イティブの意見が正しい?」みたいな話に行き着くころに は、この上なく気持ちの悪い関係になっています。勿論そ れこそフォーカスグループでも用意して、証明することは 簡単なのですが、この段階になると、どれだけこちらが正 しいことを伝えようとしても、しんどいですし、良かれと 思ってしたことでも後味も悪くなります。

ちなみに我が社でも求人広告を出すと、応募者がスキルセ ットに“ライティング”を挙げていることが多々あるのです が、可能性を感じるのは20人に1人くらいの確率です。スキ ルのない人が、書けることがあまりないか、あるいはこれく らい自分でもできると甘く見ているようで、それこそカバ ーレターを読んだだけでアウトというのも(担当者によれ ば)結構あるらしく、その種の求人では苦労するくらいです。

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