オンラインショップは、何が大変なのか?② 集客

(U.S. FrontLine誌 2012年9月5日号 掲載分)

前回、ネット上に既に多数のオンラインショップが溢れて いる中、ほとんどは差別化や集客の段階からつまずき、失 敗しているであろうことに触れました。今の時代、ショッ プは誰でも簡単に始められるようになりましたが、成功さ せるために必要なごく基本的なことも、うまくできずに皆 苦しんでいるのです。ホスティングのオプションサービス 的なショップ機能や、マーケティングまでをオールインワ ンと謳ったパッケージサービスでは、何故成功させるのが難 しいのか、簡単に理解できる矛盾点などをご紹介しました

オープンソースで得られるもの

オープンソースのパッケージソフトの場合、無料からオプ ションで数千ドルも出せば、立派なものが手に入ります。 モジュールと呼ばれるいろんな個別の機能を、柔軟に追加 できるのも魅力です。

ショップを比較的簡単に開設できるので、それこそ大手も よく利用しています。ただ前回の話とまさに被るのですが、 利用者が多い故のメリット、デメリットもやはりあります。

大きなメリットは、汎用的にできているため、それこそ企 業自身が自力で導入できなくもなく、理論上は導入コスト が比較的安く、必要な安定したシステムを手に入れられる 点です。ただそれなりの知識が必要な上、その豊富な拡張 機能ゆえの複雑さもあって、素人には依然として敷居が高 いのは事実です。また現実的には何らかのカスタマイズが 必要になるのが通常なので、結果的にそれなりの導入コス トになり得ますし、選んだ業者次第では、それなりに痛い 目に遭うことにもなります。

ただそれでも、本来たいした開発力を持たない“なんちゃ ってIT業者”でも、その導入・操作方法を覚えることで、そ れっぽいITサービスをある程度一定したレベルで顧客に提供 できるようになったという点では、非常に有益だったと思 います。

有名パッケージソフトはSEOも万全?

また今のパッケージソフトなら、大抵SEOにも標準対応 しています。といってもそのままショップを立ち上げ、狙 ったキーワードで検索結果のランキングで上位に来るのか といえば、まず来ないでしょう(笑)。それは何故か? 分 かっている人からすれば愚問なのですが、未だに分かって いない人が本当に多いので、何度でもお教えします。

SEOとは、検索エンジンが好むサイト構成にすることで、 検索結果でより高い表示順位を獲得しようとする行為です が、結局のところ、いかに他社サイトより検索エンジンか ら高い評価を得られるかを競う行為なのです。

ですから例え文字通り検索エンジンに好まれるサイト構造 を取り入れたとしても、他社も同じことをやっていれば、 競争力はゼロのままです。勿論、オープンソースをカスタ マイズして、競争力を持てるレベルにまでもって行ければ、 それでよいのですが、本当の意味での開発スキルはない (ブローカー的なビジネスをしている)業者が大半である上 に、SEOの実践能力がある本物の業者は一握りしかいない という現実があります。そして、奇跡的にそれらを満たす 業者を見つけられたとしても、まず開発費が相応に掛かる 上、それだけの価値のあるリソースを提供していることに もなり、結局は競争力のあるショップは、誰でも簡単に手 に入るようなものではないことを、まずは理解しておく必 要があるのです。

SEOを実践することを感覚的に例えると

繰り返しますが、オープンソースのパッケージソフトは、 機能としては本当によくできていますし、SEOも教科書通 りとはいえ、しっかり実装はできています。非常にアバウ トな言い方をすれば、感覚的には100点満点中、70~80点 くらいは簡単にとれると思います。これがもしも学校の試 験であれば、普通に合格点圏内ですよね? ですから主流 パッケージソフトの、「SEO標準対応」という謳い文句も嘘 ではありません。ただ他社も皆、平均80点くらいまでは簡 単にとれていることが、致命的なのです。

特に世界最高峰のアメリカの検索エンジンでのSEOレー スなら、それこそ大半のサイトは80点台の、一見すると高 得点での戦いをしているにも関わらず、実は2次、3次予選 落ちという結果に陥っている中、我々のような決勝レース に出場しているサイトは、95、96点あたりの1点の違いを 意識しながら、常に熾烈な戦いを行っているという感覚で す。ちなみに日本のレースは未だにぬるくて、平均が50~ 60点なので、85点くらいでも勝てたりします(注:数字は あくまでも感覚の話です)

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