2014年12月9日火曜日

オンラインショップは、何が大変なのか?③ データ登録

(U.S. FrontLine誌 2012年10月5日号 掲載分)

前回、オンラインショップや、コーポレートサイトのライ ティングという作業は、多くの人が考えているより、かな り専門的で高いスキルと経験の必要なタスクであることに 触れました。

特に、日系企業が英語のコンテンツを用意する場合、社内 のネイティブや翻訳会社を使って書かせる、という発想が どれだけ危険であるかについてもお話ししました。また、 相手の社内には、出来たコンテンツを、適切に評価できる 人がいないこ

基本のライティングを終えたら

さて、とりあえず商品やカテゴリーの説明文などが一通り 用意できたとしましょう。もしもショップ自体に集客力を 持たせたSEO効果が欲しければ、次は「SEOライティング」 という作業になります。

ただ、どういうライティングがSEO的に正解か? とい うお話は、すみませんが、トップシークレットなので、こ こでお教えするわけにはいきません。ちなみに教則本やウ ェブ上など、いろいろ情報は出ていますが、大体は内容的 に古いものです。単にキーワードを詰め込んでどうにかな る世界ではないことだけ、お伝えしておきます。

実際にどんな作業になるのかを、少しだけお話します。ま ず商品1アイテムに対して、埋めていかなければならない項 目が多数あります。それもSEOの難易度により、必要な項 目数から変わってきます。

また、各項目で色んな制約と戦略を念頭に置きつつ、文字 数も意識しながら、テキストを編集する作業になります。 慣れていなければ、それなりに時間が掛かる上、頭をかな り使います。

凝ればきりもなく、1アイテムの作業を終えるのにも、軽 く30分くらいは掛かっても不思議はありません。うちに入 社トライアルで来ていた、ライティングが得意と自負して いた人は、気付いたら1日で8アイテム(しかもほぼやり直 しが必要でした。苦笑)。

かといってここで手を抜いて、細かい制約を無視したり、 文章としての訴求力を配慮しなかったりすると、機械翻訳 のような不自然で人が読む気にならないものが出来上がる 上、SEO的にもプラスにならないような文章に、簡単に早 変わりします。

大量データの登録作業

次に商品やカテゴリーのデータを、実際にデータベースへ 登録する作業ですが、おそらく、ほとんどのパッケージソ フトでは、例えば一括で商品データをCSVファイルから取 り込んで登録するような仕組みくらいは、実装していると 思います。ただデータを取り込む際に、ちょっとした不正 な文字や字数問題などで、正しく取り込めない、なんてこ とも多々あります。

それでも何とか一度は一括で商品データを取り込んだとし ましょう。ところが、元データの整備ミス、方針転換、あ るいはしばらくしてから新たな仕入先が出来、大量の商品 を取り扱いたい、なんてことも起き得ます。そうなってく ると、ユーザーの立場からすれば、画面の一覧上で、一括 で登録や編集ができないものか、と考えると思います。

一覧画面で一括で 入力・編集したい

ところが、そういったことができるショップリソースが、 ほとんどないことに気付くはずです。そう言い切れる理由 は、システム屋の立場から言うと、ウェブベースのシステ ムでは、技術的にそういった一覧入力画面の実装は、無理 ではないにしても、開発的にまだかなりの手間が掛かるか らです。なので1レコード毎での登録や編集をさせる、単 票形式の入力画面が、主流だと思います。これはショップ に限らず、一般的なCMSにも言えることです。ただ特に大 量の商品やカテゴリーを扱う場合、これは実は結構なスト レスになります。

我が社は自社のショップも運営しており、実際、元々のウ ェブ上のショップ管理画面は、やはり単票形式での入力画 面しかありませんでした。作業効率がかなり悪かったので、 考えた末、デスクトップアプリ(PCにインストールするタ イプのソフト)として、一覧入力画面を実装した管理画面 を、別に開発しました。これは自画自賛ですが、画期的で、 それこそ一括で置換もできます。

しかしパッケージソフトでそういったものは稀であり、わ ざわざ既に単票形式とはいえ、管理画面があるのに、新た に別の一括編集用の管理画面を用意することは、業者なら 普通は考えないでしょう。そのため一般的には、データ登 録も手間の掛かる作業になりがちなのです。

2014年11月17日月曜日

オンラインショップは、何が大変なのか?③ ライティング

(U.S. FrontLine誌 2012年9月20日号 掲載分)

前回、オンラインショップの主要パッケージソフトは、機 能的によくできており、SEOにも標準対応しているとは言 っても、実のところそのまま使ったのでは、狙ったキーワ ードで上位に来ることはまずないことをお話ししました。

勿論、SEOの実践能力とシステム開発能力を本当にもつ、 稀少な業者がカスタマイズしていれば、競争力のあるショ ップにはなり得ます。しかし、その業者探しと費用という 面だけで考えても、誰でも簡単に手に入るようなリソース に競争力がないことは明白なのです。

数アイテムしか商品がないショップは別として、アイテム 数が多いほど、それらのデータ整備だけでも結構な作業に なります。我が社に依頼頂くオンラインショップの案件でも、 時間が掛かっているのが、データ整備と画像作成の工程で す。それがクライアントさん側の作業になっていると、我 が社もどうすることもできず、ということが結構あります。

データとは、商品やカテゴリーページを構成する要素にな るわけですが、例えば説明文などを作成するにも、本来は 相応のスキルが必要です。もしも英語圏のマーケットを狙 うショップを日系企業が構築する場合、皆さんが想像して いる以上に、色々な問題が生じることになります。

勿論、売上を期待しない、趣味的・楽観的なショップであ れば話は別ですが、本気のビジネスであれば、ユーザーに 対して訴求力のある説明文やキャッチコピーを作ることの 難しさをまず認識すべきです。しかもそこにネイティブ以 外の人が介在する案件は、本当に苦労します。このことは 本稿でも以前にもお話ししたのですが、それでも相変わら ず、甘ーく考えられている案件に幾度となく出くわします (溜息)。

誰が正解を判断できるのか?

まず致命的なパターンは、日本人(社内スタッフや翻訳者) が英語を書き、社内にネイティブがいないケース。これは もはや英語の質を評価できる人がまったくいないので、論 外です。社内にはネイティブがおり、英語のレビューだけ はしてもらうというのも、ある種、運任せと言えます。

なぜなら、たまたま社内にいるネイティブが“文章力があ り、マーケティングセンスのある人”でなければ適切なレ ビューなどできないからです。そもそも運良くそういう人 がいたとすれば、通常は、日本人にライティングなどさせ ていないでしょう。戻り作業の非効率さにすぐに気付くで しょうから。

また厄介なのが、社内のネイティブがレビューをするだけ にせよ、メインライターになっているにせよ、周りの日本 人は、その英語力を正当に評価ができないという点です。

ちなみに学歴もある程度は関係するとしても、大卒・院卒 だから文章力があるというのは、単なる思い込みによる希 望的憶測です(仮に日本語で日本の大卒に文章を書かせた として、何割がマーケティングを理解して、訴求力のある ライティングをできると思いますか?)。当然1つの専門分 野ですから、その道の環境下で経験を磨いていなければ、 通常は即戦力にはなり得ないのです。

どうやっても後味悪い

我が社でライティングは1つの本業なので、プロとしての スキルがあるからこそ、稚拙な文章を見過ごすこともでき ないのですが、ここでいつも頭を悩ますのが、クライアン トの社内のネイティブスタッフが、実はあまりライティン グが得意ではなかった場合です。まったく別のスキルで雇 われていたとしても、ネイティブとしての面子を潰すこと になりますし、もしも英語的な役割で雇われていた場合、 スキルがないことを露呈させてしまうことになるので、フ ィードバックをするにしても、とてつもなく気が重いプロ セスになります(この状況、イメージできます?)。

実際、相手も当然防御的になるので、結局「どちら側のネ イティブの意見が正しい?」みたいな話に行き着くころに は、この上なく気持ちの悪い関係になっています。勿論そ れこそフォーカスグループでも用意して、証明することは 簡単なのですが、この段階になると、どれだけこちらが正 しいことを伝えようとしても、しんどいですし、良かれと 思ってしたことでも後味も悪くなります。

ちなみに我が社でも求人広告を出すと、応募者がスキルセ ットに“ライティング”を挙げていることが多々あるのです が、可能性を感じるのは20人に1人くらいの確率です。スキ ルのない人が、書けることがあまりないか、あるいはこれく らい自分でもできると甘く見ているようで、それこそカバ ーレターを読んだだけでアウトというのも(担当者によれ ば)結構あるらしく、その種の求人では苦労するくらいです。

2014年10月9日木曜日

オンラインショップは、何が大変なのか?② 集客

(U.S. FrontLine誌 2012年9月5日号 掲載分)

前回、ネット上に既に多数のオンラインショップが溢れて いる中、ほとんどは差別化や集客の段階からつまずき、失 敗しているであろうことに触れました。今の時代、ショッ プは誰でも簡単に始められるようになりましたが、成功さ せるために必要なごく基本的なことも、うまくできずに皆 苦しんでいるのです。ホスティングのオプションサービス 的なショップ機能や、マーケティングまでをオールインワ ンと謳ったパッケージサービスでは、何故成功させるのが難 しいのか、簡単に理解できる矛盾点などをご紹介しました

オープンソースで得られるもの

オープンソースのパッケージソフトの場合、無料からオプ ションで数千ドルも出せば、立派なものが手に入ります。 モジュールと呼ばれるいろんな個別の機能を、柔軟に追加 できるのも魅力です。

ショップを比較的簡単に開設できるので、それこそ大手も よく利用しています。ただ前回の話とまさに被るのですが、 利用者が多い故のメリット、デメリットもやはりあります。

大きなメリットは、汎用的にできているため、それこそ企 業自身が自力で導入できなくもなく、理論上は導入コスト が比較的安く、必要な安定したシステムを手に入れられる 点です。ただそれなりの知識が必要な上、その豊富な拡張 機能ゆえの複雑さもあって、素人には依然として敷居が高 いのは事実です。また現実的には何らかのカスタマイズが 必要になるのが通常なので、結果的にそれなりの導入コス トになり得ますし、選んだ業者次第では、それなりに痛い 目に遭うことにもなります。

ただそれでも、本来たいした開発力を持たない“なんちゃ ってIT業者”でも、その導入・操作方法を覚えることで、そ れっぽいITサービスをある程度一定したレベルで顧客に提供 できるようになったという点では、非常に有益だったと思 います。

有名パッケージソフトはSEOも万全?

また今のパッケージソフトなら、大抵SEOにも標準対応 しています。といってもそのままショップを立ち上げ、狙 ったキーワードで検索結果のランキングで上位に来るのか といえば、まず来ないでしょう(笑)。それは何故か? 分 かっている人からすれば愚問なのですが、未だに分かって いない人が本当に多いので、何度でもお教えします。

SEOとは、検索エンジンが好むサイト構成にすることで、 検索結果でより高い表示順位を獲得しようとする行為です が、結局のところ、いかに他社サイトより検索エンジンか ら高い評価を得られるかを競う行為なのです。

ですから例え文字通り検索エンジンに好まれるサイト構造 を取り入れたとしても、他社も同じことをやっていれば、 競争力はゼロのままです。勿論、オープンソースをカスタ マイズして、競争力を持てるレベルにまでもって行ければ、 それでよいのですが、本当の意味での開発スキルはない (ブローカー的なビジネスをしている)業者が大半である上 に、SEOの実践能力がある本物の業者は一握りしかいない という現実があります。そして、奇跡的にそれらを満たす 業者を見つけられたとしても、まず開発費が相応に掛かる 上、それだけの価値のあるリソースを提供していることに もなり、結局は競争力のあるショップは、誰でも簡単に手 に入るようなものではないことを、まずは理解しておく必 要があるのです。

SEOを実践することを感覚的に例えると

繰り返しますが、オープンソースのパッケージソフトは、 機能としては本当によくできていますし、SEOも教科書通 りとはいえ、しっかり実装はできています。非常にアバウ トな言い方をすれば、感覚的には100点満点中、70~80点 くらいは簡単にとれると思います。これがもしも学校の試 験であれば、普通に合格点圏内ですよね? ですから主流 パッケージソフトの、「SEO標準対応」という謳い文句も嘘 ではありません。ただ他社も皆、平均80点くらいまでは簡 単にとれていることが、致命的なのです。

特に世界最高峰のアメリカの検索エンジンでのSEOレー スなら、それこそ大半のサイトは80点台の、一見すると高 得点での戦いをしているにも関わらず、実は2次、3次予選 落ちという結果に陥っている中、我々のような決勝レース に出場しているサイトは、95、96点あたりの1点の違いを 意識しながら、常に熾烈な戦いを行っているという感覚で す。ちなみに日本のレースは未だにぬるくて、平均が50~ 60点なので、85点くらいでも勝てたりします(注:数字は あくまでも感覚の話です)

2014年9月7日日曜日

オンラインショップは、何が大変なのか?①

(U.S. FrontLine誌 2012年8月20日号 掲載分)
皆さんご存知のとおり、アメリカでは、オンラインショップによるビジネスがかなり早い時期から盛んでした。この広大な土地や、比較的昔は進んでいたインターネット回線事情などが大きな要因だったと予想しています。ただその結果、膨大な数のショップがネット上に溢れているとも言えます。それでも尚、米系、日系問わず、ショップ開設またはリニューアルについてのお問い合わせを、今でも頻繁に頂きます。
なお本稿で以前に書いたように、超大手がオンラインビジネスに本格参入してきた現代となっては、資本主義の原理により、中小企業は過酷な生存競争を強いられているのですが、ほとんどのお問い合わせでは、そういった認識は感じられません。もちろん、実状を十分理解された上での余裕であれば、構わないのですが、どちらかといえば、かなりビジネスを甘ーく考えられているという印象を受けます。

何で差別化を図るつもりなのか?

結局のところ、この一言に尽きるのですが、特に誰でも扱っている(扱える)ような商材の場合、なぜ顧客はあえてそのお店で買ってくれると期待できるのか? そもそも集客はどうするつもりなのか? といった非常に初歩的な話で、既につまずいているケースが多々あります。
こういう意識が薄い方ほど、ショップの構築やデザインが一番大変な過程であると勘違いをされているのが多いのですが、誤解を恐れずに言えば、今の時代、ショップを持つこと自体は、この上なく簡単にできます。
それこそYahoo Storeのように既に仕組みが用意されているものや、ホスティング(ウェブサーバー環境を提供する)会社のオプションサービスのショップ機能を利用すれば、 月々数十ドルで始められます。オープンソースのパッケージソフトもたくさん溢れており、無料で手に入るリソースもあります。デザインもテンプレートを使って、十分それっぽいものが簡単に作成できます。

どのくらい成功できているのか?

ほとんどのオンラインショップは、失敗していると思います。なぜなら、そういった安易な手法で用意できるショップは、当然の如く、他社も同じ条件なので、差別化を図る所から、どうしても限界があるからです。
たとえば、ホスティングに付随するサービスとしてショップ機能を提供している場合、彼らはあくまでもホスティングサービスを売るための“おまけ”で用意しているに過ぎません。つまりそのショップに本気で売上が上がるかなど関心もない相手が提供しているサービスなのです。
これの発展形で、ショップ機能とマーケティングをパッケージサービスにしているものもあります。
以前にお問い合わせを頂いたケースで、少なくとも「集客は必要」という意識をお持ちの方で、(これは非常に良いことです!)必要なマーケティングも入ったオールインワンで、確か8,000ドルくらいの米系のサービスを利用したけれど、ページは確かに簡単に作成できたが、それだけで終わっている、というような内容でした。
何千ドルといった金額から、逆にそれらしい効果を期待されての利用だったと思うのですが、よくよく聞いてみると、要は数カ月分のPPC(キーワード広告)の広告費用を含み、始め方を教えてもらえる、というだけのサービスでした。もちろん、スタートラインに立つという意味では間違いではないのですが、やはり他社がどこでも当然のようにやっている時点に、自社を持って行くだけに過ぎません。PPCにしても、決して始めるのが難しいのではなく、費用対効果的にうまく活用できなくて、皆苦しむわけで、ショップと同様です。

冷静に考えれば分かる矛盾

こういったサービスを売る業者は、あたかも売上が簡単に上がるかのような触れ込みをしているのは問題ですが、完全に詐欺をしているわけでもないので、巧妙なビジネスと言えます。しかし、少し考えれば、仮にその業者のサービスが有効だったとしても、ビジネスモデルが、汎用的なパッケージサービスを不特定多数に販売するものであれば、既に矛盾があることにも気付くべきなのです。
ビジネスは他社との競争です。皆が同じように手が出せる手法で備わりうる競争力って何だと思いますか? 「多数の企業に利用されています!」という宣伝文句なら、尚更です。
汎用的なものでプラスになるのは、安定した環境が提供されることです。ただ差別化という観点からは希少性が必須なので、マーケティングの世界では逆に致命的になりやすいのです。
次回に続きます。

2014年8月18日月曜日

セキュリティの軽〜いお話

(U.S. FrontLine誌 2012年8月5日号 掲載分)
Facebookは、あくまでも各個人が、友達や知り合いとの輪を広げたり、家族や親戚との関係を繋いだりと、とにかくプライベートな交流を楽しみたい人が基本のユーザーベ ースとなっている、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)です。もちろん、それ以外の用途もたくさんあり、ビジネス目的でアカウントを開設する人もいますが、メインはあくまでもパーソナルユースといえます。
ところで、LinkedInというSNSをご存知でしょうか?主にビジネス上でのネットワーキングを目的としたビジネスユース専門のSNSで、Facebookのように色々と“遊ぶ” 要素は薄いのですが、誰がさらに誰につながっているのかが分かりやすく、ビジネスネットワークを広げるという行為を、あえて露骨に、しかも堂々とできるのが1つの特徴ともいえます。また参加したグループでの議論や質問をしたり、ニュースや専門的な最新情報を共有したりすることもできます。
ビジネスユースに特化したSNSでは、アメリカNo.1といえます。ただ今年の6月にハッキングに遭い、650万〜800万人分のパスワードが流出したと報じられました。暗号化された形だったので、すべてが解読されてしまったわけではないらしいのですが、もしLinkedInにアカウントをお持ちで、未だにパスワードを変更していなければ、すぐに変更すべきです。

パスワードは何のためのもの?

今回の騒動で、自分のパスワードがリークしたのかを調べられるサイトが登場しました。面白かったのが、あまりにもお粗末なパスワードが多いという事実でした。
パスワード管理アプリを開発するSplashData社が以前に発表した、2011年の最悪のパスワードのワースト25に挙げられていた、「password」、「123456」といったものは すべて入っていた上、「i h a t e m y j o b」(仕事が嫌い)、「fuckmylife」(俺の人生最悪)、「iwantanewjob」(新しい仕事が欲しい)や「strongpassword」(強力なパスワード)なんてのもあったようです。これだと、データを暗号化してあっても、意味がないですね(笑)。
余談ですが、私なら先に挙げたようなサイトが出てきても、完璧に信頼できる会社のものでなければ、絶対に安易に利用はしません。むしろ藪蛇にならないように、騒動に乗じたフィッシングサイトでは? と疑ってかかります。そんな回りくどい心配をするよりも先に、真っ先にパスワードを完全に変更すべきなのです。

レイジーの先にあるものは?

しかし人は実にレイジー(怠慢)な生き物のようで、色んなサイトに同じパスワードを共通して使っているユーザーも結構いるようです。皆さんは人やモノを簡単に信じてしまう、“心優しい”人なのでしょうが、その純粋さはどうか、セキュリティとは無縁のものに向けてください。
完璧なセキュリティシステムなど物理的に存在しません。また本稿で以前に、「情報漏えいの7割は社内から」とお話したように、組織が大きくなるほど、ハードやソフトウェア以外のコントロール不能な危険も多く含まれてきます。
考えてもみてください。一般にどこかのサイトでアカウント登録する際に、ユーザー名の多くはEメールを利用します。そしてそのサイトの内部の何人かは、必要性も含め、登録されたEメールとパスワード情報にアクセスできます。勿論そのサイト内でそれを使って悪事を働くとは考え難いにしても、その情報が他のサイトでも使えたら、どうでしょうか? Eメールは一貫して同じ場合が多いので、なお更パスワードをサイト毎に変えなければ、わざわざ自分の大事な鍵の番号を、見ず知らずの他人に教えているようなものだと思いませんか?

ある絶句した問い合わせ

ウェブ制作を考えているという内容だったのですが、以前にもサイトやTwitterをもっていたが、PCをハッキングされたらしく、Eメールの内容など、本人以外知りえないことが、自身のTwitterに書き込みされるというのが続き、怖くなって止めた、というお話でした。
問題を解決するため、業者にも相談して、色々とスキャンやトレースもし、キーロガー(キーボートの入力を盗むスパイウェア)などの、セキュリティ対策もしてもらったけれど、状況は改善されなかったそうです。
更に聞いてみました。「今、その問題のPCは?」「まだ使っています」「えっそのままで?」「パスワードはコピペしてるから大丈夫ですよね?」「ちなみにPCの管理者ユーザーのパスワードは?」「設定していません。毎回入力するのが面倒で」「(沈黙…)まずはOSの再インストールをするかPCを買い替えるかして、パスワード設定されてからですね…」

2014年8月4日月曜日

Getty Imagesには要注意

(U.S. FrontLine誌 2012年7月20日号 掲載分)
ウェブサイトや紙面パンフレットを制作する際には、やはりビジュアル面で、良い写真などを使うと、印象が良くなります。どれだけ訴求力のあるテキストを用意したとしても、そこに写真があれば、真っ先に写真の方に目を奪われてしまうでしょう。

1ドルから画像が買えるダウンロードサイト

かなり前になりますが、本稿にてウェブ制作をする際の予備知識として、高品質の写真を安く買える、画像ダウンロード購入サイトがあると紹介しました。www.istockphoto. com やwww.fotolia.com なんかは、その中でも有名で、安いものは1枚1ドルからでも購入できます。
面白いのが、ローカルのフリー誌で、「ああ、これiStockphotoの写真をそのまま載せただけね」という広告が結構見つかります。
なお当時は少なくとも日系のホームページ制作業者さんでは、まだそういったサービスをご存知なかったみたいで、彼らのサイトを見ても、写真も少なかったのですが、今ではさすがに、どこの業者さんでも高品質の低価格な購入画像を、ふんだんに使われているのがわかります。
ところで、古くから、同様の画像ダウンロード購入サイトとして、www.gettyimages.com というものもありました。こちらはもっと有名で歴史もあり、本当に良い写真が揃っ ています。当時から日系業者さんでもよくご存知だったと思いますが、とにかく1枚の写真の料金が高く、気軽には利用できないという現実もありました。
何よりGettyの場合、ライセンス形態が非常に複雑で、1枚の写真に結構な費用を払ったとしても使用期限が設定されています。つまり、継続使用するには、追加で費用を払 う必要があり、神経を使わなければならないため、我が社では結局敬遠していたサービスです。事実、費用対効果的には合わないことの方が多いと思います。

あるクライアントが不測の事態に遭遇

先日のことです。我が社のある新しいクライアントさんから、ちょっと困ったことがあると相談を受けたのですが、何とこのGettyから、「写真のライセンス違反で罰金を払え」という主旨のメールが、彼らの弁護士経由で入ったというのです。よくよく聞いてみると、うちへ依頼される数年前に、日系の業者さんへホームページの制作を依頼され、開設されている現在のサイトに使われている画像に、Gettyのものがあり、ライセンス違反をしている、というのです。
クライアント曰く、当時も写真購入に、その日系業者を通じてかなりの費用を支払っていたらしいので、なおさら困惑しているとのことでした。私はまず「クレームされた画像を即時に削除した上で、当時の業者さんとの契約書で、こういった著作権違反などでの条項を確認してください」と伝えた後、すぐにスタッフにもGettyについて少し詳しく調べてもらいました。
そこですぐに判明した衝撃の事実として、
① Gettyはあくまでもエンドユーザーとのライセンス契約になっている
② 似たクレームがネット上で探しても山のようにある
③ 通常、示談に持ち込むしか手がなく、支払いを免れるのは極めて困難
ということでした。元々Getty自体、大人数の弁護士を抱えたデジタルライツ(電子著作権)マネージメントが本業なのです。残念ながら、画像を削除したからといって、簡 単に逃げられる相手ではないようです。
「エンドユーザーとのライセンス契約」というのも巧妙で、使用期限超過後でも確実にコンタクトしやすいのは勿論、制作会社よりはエンドユーザーであり、しかも今回のように何も知らないクライアントさんがエンドユーザーになっているケースが多々あるだろう、という恐ろしい話です。 結局このクライアントさんは、交渉して2枚の画像に1,000ドルを支払うはめになったそうですが、元の業者ともこの件を話ししたところ、同じデザイナーで、3,000ド ルくらい支払った別件もあったらしく“お互い様”的なことを言われたそうです(?!)。
私は片側だけの主張しか聞いていないので、公平に判断する立場ではありませんが、少なくとも、Gettyのライセンスもきちんと理解しないデザイナーを使っていたのは、プロとして論外です。ましてやそのリスクや賠償をクライアントに負わせていること自体、制作者サイドとして許容し難いです。本稿は同業者さんも結構見ているらしいので、もし異論でもあればメールしてください。なければ、プロの真似事は止めてください。
なお、似たクレームに遭遇された方は、通達があってから即時に画像を削除しないと、悪意があると見なされ、さらに悪い立場になるのでご注意を。

2014年7月24日木曜日

衝撃のサービスを発見!でも何のためのもの?②

(U.S. FrontLine誌 2012年7月5日号 掲載分)
前回、FacebookやTwitterで、Likeやフォロワー(ファンや支持者たち)を獲得できていなければ、ビジネス的にはあまり価値がなく、少なくとも1万人以上の実在するファンが欲しいところではあるが、皆それを獲得するのに苦戦しているとお話しました。そして偶然見つけた、Twitterの大量のダミ ーアカウントを売買している業者の存在について触れました。
試しに、検索エンジンで「buy facebook likes」とか、「buy twitter followers」などのキーワードで検索してみてください。すると、5000 likes for $153とか、10,000 likes for $277とか、FacebookのLikeやTwitterのフォロワーをお金で販売している業者が、わんさかと出てきます!しかも普通にPPC(キーワード広告)を買って、普通のサービ スであるかのようにビジネスをしているのです(笑)。
勿論、それらが実在するユーザーアカウントで、企業が提供するサービスに興味を示してくれる人たちであれば、全然構わないと思います。それならビジネス用に誰でも欲しくなるでしょう。精度の高い、メーリングリストをお金で入手しているようなものですから。
ただ現実はまったく違うようで、“Pure fun”とか“Realfun”といった、あたかも実在する人のような表現で売りには出されていますが、実際にはダミーアカウントをせっせ と作成した、個人や業者からそれらのアカウントを安値で買い取り、転売しているだけのようです。
つまり、こういった業者から、Likeやフォロワーを購入すれば、表面上の自社のファン数やフォロワー数は確実に増やせます。しかし、中身は実在しない人のフェイクアカウ ントでしかないので、そこから口コミが発生してトラフィックが増えるとか、注文が増えるとか、本来期待しているような効果は、何も得られないでしょう。

では、何故こんなサービスが存在するのか?

例えば企業向けにFacebook管理サービスを提供している“なんちゃって業者”が、クライアントページのファン数をこの手法で無理やり増やせば、一応体裁は保てます。もしくは実践能力のない業者が、自社サービスの営業用に、架空の実績として使えるといった感じでしょうか。
あるいは客がほとんどいないレストランに、初めて入るには勇気がいるのと同じで、ファンのいないファンページよりは、サクラでいいから、既に人気があると思わせた方が、本当のファンが獲得し易いと考える企業もいるかもしれません。
ただ完全な素人なら騙されてしまうこともあると思いますが、こういったダミーアカウントは、実は結構簡単に見破ることはできますので、それを暴かれた日には、その企業も完全に信用を失うので、くれぐれもこんな浅はかなことを考えないようにしてほしいものです。

共和党の大統領立候補者フォロワー82%がフェイクだった

1年くらい前ですが、共和党の大統領候補者選びに立候補していたニュート・ギングリッチ氏が、Twitterで130万人のフォロワーを持っていると自慢していたのですが、 PeekYouというデータベースで調べたところ、その実態は、大半がダミーか無効アカウントで、購入されたフォロワーがほとんどだったと暴露されたことがありました。
ちなみにこれを暴いた会社は、一般の企業に対して、彼らのフォロワーにどんな属性があるのかという分析サービスを提供する会社で、普段なら、「男性がxx%で‥」といった結果が出て、マーケティング戦略を検討するという感じになるのですが、後で分かったのが、実にフォロワーの92%がフェイクアカウントだったという実態でした。

嘘は簡単に見破られるが‥

なおこれだけ警告しても、SEO(検索エンジンで上位表示させる手法)の時と同じく、これを読んだ日系の“なんちゃって” 業者あたりが、すぐにフェイクアカウントを購 入して、架空の実績で営業に回る姿が目に浮かびます。しかし、そういう輩に騙される人を減らすために本稿を書いていますので、皆さんくれぐれもご注意ください。相手の話が本当であるかは、結構簡単に確認できますので、何かあればお気軽にお問い合わせください。
ところで以前ちらっとお話したことのある、自社運営しているレッグウェア専門のオンラインショップのFacebookページには、今、4万人近くのファンがいますが、勿論これは全て実在する人たちですよ。念のため(笑)。商材的に難しくない上、我が社でも、以前より企業向けのFacebook管理サービスを提供しているくらいで、むしろこれくらいはできて当たり前なのです。ただ、片手間でほとんどコストを掛けず達成できているのは、同業の米系でも真似できるところは少ないと思っています。

2014年7月7日月曜日

今衝撃のサービスを発見!でも何のためのもの?①

(U.S. FrontLine誌 2012年6月20日号 掲載分)
近年、アメリカのウェブマーケティングの世界において、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が、非常に大きな影響力をもつようになってきたことについて、 本稿で何度か触れました。
特に先日IPO(新規株式公開)したばかりのFacebookは、断トツのトラフィックを誇っており、Googleと肩を並べるほどにまで成長しました。ただ媒体としてユーザーベースができていることは間違いないのですが、それをビジネスにうまく効果的に活用するのは、そう甘いものでもありません。

皆、正解がわからず苦戦

それは丁度、膨大なユーザー数を誇る検索エンジンをビジ ネスに活用するために、ユーザーがキーワードで検索した結果、できるだけ自社のウェブサイトを上位表示させることで、露出機会やトラフィックを得ようとする、SEM(検 索エンジンマーケティング)の世界と似ています。
SEO(ウェブサイト自体の構造や環境から、検索エンジン向けに最適化する)や、PPC(キーワードに連動した、クリック課金型の広告を出稿する)といったメジャーな手 法が存在することはよく知られていても、それをうまく実践できている企業は、ほんの一握りしかいません。「何でもできます」と“プロ”を装っているだけの業者なら、たくさんいますが。
Facebookでは、企業や個人がページを持つだけなら、極論、5分もあれば誰でもできます。ただそのページのファンになってくれる(Likeしてくれる)人を募れなければ、結局のところ、ビジネスとしての存在意義はほとんどありません。Twitterにしても、フォロワー(その人や企業に関心をもち、つぶやきを常にキャッチしようとする人)がいなければ、ただの独り言にしかなりません。
今なら、実際にFacebookでページを持っている企業も多いかと思いますが、ファン数にして5000人もいれば、大健闘といった感じではないでしょうか? 数千、あるいは数百人しかファンを獲得できていないのも、ざらでしょう。ただ、それでどうですか? 何か良いことは起きましたか?個人的な感覚ですが、例えるなら5000人のファンがいるページは、検索結果で50位以下に表示されているサイトのようなものです。数千人のファンなら、80〜90位くらい?、数百人なら200位以下?
まあ本当は30位以下なら、トラフィックはほとんどないので、何位であっても関係はないのですが(笑)。
私は以前、少なくとも1万人以上のファンがいなければ、ビジネスに何らかのインパクトを与えることはあまりないだろうと、本稿で書きましたが、今回、実は少し表現を改める必要が出てきました。

少なくとも1万人程度の実在する本当のファンが必要

前の表現との違いは、「実在する本当の」という部分です。ある衝撃のサービスを提供している業者たちの存在を、たまたま知ったことで、このように表現を改めた上で、注意を促さなければならないと、考えました。
ウェブマーケティングのエキスパートであるパートナーのレイアが、偶然発見して教えてくれた話なのですが、オンラインで常日頃からアンテナを張っている彼女がバングラデッシュについて書かれたニュース記事に興味を持ち、経済事情やビジネスについて調べていたそうです。
色んなサイトを見ているうちに、ある掲示板で「以前、Twitterアカウントを1個xxセントで買った。それ以上の見積もりならいらない」という、一見、よく意味が分からない書き込みを見たそうです。さらにその人は、「クライアントに5000人のフォロワーの獲得を約束した。でたらめのアカウントで全然構わないから、買いたい」と書いていたそうです。
その他にも、「自分はxxドルで以前売った」とか、「より本物に見えるアカウントあります」みたいな書き込みを見て、「ははぁーん。なるほど。スキルのない広告代理店かウェブ制作会社が、素人のクライアントをうまく引っ掛けて、できもしない約束を、こういった手口で体裁だけ取り繕っているわけね」と気づいたそうです。
彼女曰く、元々バングラデッシュについての記事は、そういった類の話ではなく、最近高い評価を受けているものがあるというもので、まさかそんな話題に遭遇するとは想像もしていなかったとか。
それにしても、普通のビジネスの様に会話が成立していることや、その格安さも実に衝撃的です。次回に続きます。

2014年6月27日金曜日

今アメリカで人気急上昇中のPinterestとは? ②

(U.S. FrontLine誌 2012年6月5日号 掲載分)
前回、アメリカのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)において、トラフィック的にFacebook、Twitterに次いで3位になった、画像共有SNSかつ、SBM(ソーシャルブックマーク)のPinterestについて、触れました。
このPinterest、2年前の開設時には無名だったのが、独立したサイトとしては(元からユーザーベースがあったサイトを除けば)、アメリカ史上、最速で月間1000万のユニークビジター数を突破するなど、驚異的な伸び率なのです。
また特徴として、ユーザー層の8割は女性であり、メインコンテンツのPin(投稿)された画像の80%は、他の人のボードでそれを見て気に入った人が、自分のボードにRepin(共有)したことで生まれたもので、TwitterのコンテンツにおけるRetweet(他人の呟きの共有)の割合比1.4%とは違い、Pinterestは、口コミにより生じたコンテンツでほとんど構成されていることを、前回お話しました。

Pinterestのビジネスモデルの謎

確かに勢いはあり、トラフィックは確実に増えているサイトなのですが、ビジネスモデルに関しては、まだ不透明です。消費者は広告と分かると、敬遠するか無視しがちになるのに、Pinterestにはたくさんの商品写真が投稿されている中、それをウィンドウショッピングでも楽しんでいるかのように、中毒的に見ることにハマッている大勢の女性がおり、そういう世界観を築けたことこそ天才的で、企業もこれをビジネスに活用しない手はないことを前回書きましたが、今のところ広告を表示させる仕組みはありません。招待制ですが、アカウントも無料で作成できます。。
では、何で収益を上げているのか? それこそYoutubeがそうであったように、毎月莫大な赤字を出し続けても、ひたすらトラフィックだけを増大させ、Googleのような大金持ち企業から、破格の金額で買収されるのを夢見て待つ、というビジネスモデルなのかもしれません(こういうの、正しくは何と呼ばれているのか私は知りませんが、玉の輿モデル?? でも売った後に、即バイバイするのであれば少し違いますよね笑)。

「If you're not paying for it,you're the product」

世の中の無料サービスについてよく言われていることですが、「もしもあなたが無料で何かを得ていれば、それはあなた自身が商品になっている」という意味で、このサイトも例外ではないようです。大きな投資または買収額を獲得するまでと、その後では、モデルが違っていても不思議はないのですが、とりあえず最初の段階として、彼らにはアフィリエイト収益があるようです。
アフィリエイトとは、たとえばオンラインショップや会員制サービスを販売している企業(アフィリエイト・プログラムの提供元で、以下提供元と記載)が、彼らの集客のために、広告を代わりに出稿してくれる、アフィリエイターと呼ばれる企業や個人を募り、ユーザーがその広告(リンク)をクリックして、その先にあるサイトへ誘導され、最終的に買い物や会員登録をすると、提供元からアフィリエイターへ、成功報酬として売上の何%かが支払われる、というものです。
アフィリエイト・プログラムのある製品へのリンクがあれば、アフィリエイターとなるためのコードを自動で追加する、Skimlinksという第三者のサービスがあり、Pinterestはこれを利用して、ユーザーが投稿した際に自動で調べ、リンクを勝手に修正しているそうです。つまり、ユーザーがPinterest上の写真をクリックして、その先のオンラインショップへ誘導され、商品を購入すると、Pinterestに成果報酬が入るわけです。ただ実際にこの仕組みで得ている収益は、まだ大したものではない、という話もあります。
なおリンクの自動修正については、公表はされていません。ユーザーが独自のアフィリエイト用コードを含めて投稿した場合、Pinterestはコードの変更をしないという話もあります(事実は未確認。将来どうなるかも不明)。
今後、Pinterestに積極的に商品画像を投稿する企業は増えるでしょう。彼らからのアフィリエイト収入や、大手ショップとの提携というシナリオは考えられます。
また今でも、価格と販売元の表示が可能な「Gift」セクションがあることや、投稿の仕方により価格の帯が表示されることから(ここの意味を筆者に確認)、Pinterest側の思惑も見え隠れしており、将来、商用コンテンツが課金制になる可能性や、他のSNSと同様、広告収入のビジネスモデルに展開する可能性も伺えます。
ちなみにPinterestのパクリサイト、Pinspireなんてのも既に登場しています。ともかく、Pinterestの注目度は高く、ビジネスに活用するチャンスも、今のところはありそうです。

2014年6月2日月曜日

今アメリカで人気急上昇中のPinterestとは? ①

(U.S. FrontLine誌 2012年5月20日号 掲載分)
Pinterestとは、写真を共有するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。今年の4月に発表されたある記事によると、アメリカで3番目にトラフィックのあるSNSになったそうです(ちなみに1位はもちろんFacebookで、2位Twitter、4位Linkedin、5位Tagged、6位Google+の順)。
Pinterestを簡単に説明すると、Web上へ任意のテーマで仮想のボードを用意し、気に入った画像や動画を、ピンでそのボード上にどんどん刺していき、見て楽しんだり、共 有したり、時には他のユーザーの画像にコメントしたりするというものです。インターフェイスがとにかくシンプルで、きれいな画像が並んでいるので、見ていて気持ちがいい、というわかりやすい魅力があります。
自分で画像を集めてボードにピンで刺す(Pin)以外に、他のユーザーのボードにある画像を、自分のボードへピンで刺したり(Repin)、他のユーザーをフォローして、その人がピンで刺したものを、随時チェックしたりもできます。感覚的には、Facebookで言う所の、Post=Pin=投稿、Share=Repin=共有と考えるとわかりやすいかもしれません。 ちなみに名前の由来は、Pin(ピン止め)+ Interest(興味)で、Pinterestということらしいです。
既存のサービスでFlickrなどの写真共有サイトと大きく違うのは、自分で撮影したものだけでなく、ネット上で気に入った画像も、ピンで刺していけることです。
同じく、Tumblr(簡易ブログ)とかぶる部分もあるのですが、Tumblrはあくまでも投稿者主体で、閲覧者は単なるブログの読者という感じになり、閲覧者側からすると、た くさんの面白い画像と簡単に出会える、とは言い難いものでした。一方のPinterestは、閲覧者側が色んな画像を閲覧する行為がとても楽にでき、見る側に比重を置いたサイトといえるかもしれません。
なお他の人との交流を楽しむというよりは、自分が見て気持ちいいものを集める、という使い方が主体になっていることから、厳密にはSNSというより、SBM(ソーシャル・ブックマーク)という色合いが強いと思います。

マーケッターから見たPinterest

まずユーザー層として、女性が8割というのが興味深い特徴です。女性をターゲティングしたいビジネスなら、一考の価値はあると思います。
今年3月におけるアクセス数は、Facebook: 70億に対して、2位Twitter: 1億8200万、3位Pinterest: 1億400万と、Facebookに比べ、2位以下はトラフィック的には、格段に 劣っているのは確かです。ただ、Pinterestのメインコンテンツは画像、スクロールしても画像に画像…と、とにかく画像で埋め尽くされています。ここが天才的だと思っているのですが、その中には商品写真もたくさんあります。
それらをウィンドウショッピングでも楽しんでいるかのように、中毒的に見ることにハマッている、大量の女性がいるわけです。これって凄くないですか?
企業にとってもこれほどおいしい媒体は、なかなか存在しません。仮に広告をバンバン出しても、消費者は広告とわかると、敬遠するか、無視しがちになります。ところがこのサイトでは、堂々と商品写真を掲載でき、消費者もそれを楽しんで見てくれるという、画期的な世界を作り上げてくれています(なお今のところ、Pinterestに広告表示の仕組みはありません)。

コンテンツの8割は口コミにより生じたもの

ここに面白い統計があります。Pinterest上のメインコンテンツであるPin(投稿)の80%は、Repin(共有)されて生まれたものであるのに対し、Twitterでは、僅か1.4%だけが、Retweetにより生じたコンテンツである、というものです。FacebookのPostの内、Shareにより生じたコンテンツの割合の統計も、以前どこかで見たのですが、すみません、忘れてしまいました。ただ記憶では相当低かった覚えがあります。
そもそもFacebookやTwitterは、個人でも企業でも、基本的に「ねぇねぇ、みんな聞いてよ!」というスタンスで、画像やコメント、リンクなどを投稿するもので、必然的にコンテンツの中心は、投稿者主体の内容になります。なので、それを受け取る側も、それをわざわざ人に伝達したくなることがそこまで多くないことは、容易に想像できます。また例えばFacebookで何かをShareするということは、容易にその人の趣味・趣向、知性・感性、思想・人間性を表してしまうことにもなるため、気軽にはできないと感じている人も、少なからずいると思います。
一方Pinterestの場合、何かの画像をRepinすることで、そこまで人間を判断される心配もなく、気楽に「あっこれ好きかも」くらいの感覚で共有できるため、他に比べて口コミにより生まれたコンテンツの割合比が高くても、不思議はないと思います。

2014年5月25日日曜日

中小企業が生き残るには㉔最後に

(U.S. FrontLine誌 2012年5月5日号 掲載分)
本テーマの後半に出てきた、「信頼性・知名度」「印象」などは、実は一言で言えば、「ブランディング」についてのお話でした。多くの読者の方も、この用語を耳にされたことがあると思います。ただ、こういう用語を得意げに使う“広告代理店”ですら、私からすると、何か上辺だけで実践ノウハウが薄っぺらい、と感じることは多々あります。
我が社へお問い合わせをいただく潜在顧客の方でも、「ブランディングって、わかりますか?」と尋ねると、5割くらいの方は「わかる」と答えられるのですが、特に日本からの方ほど、よくよく突っ込んで聞いてみると、意味は何となくわかっていても、やり方としては、単にSEO(検索結果で上位表示させる手法)をやっておけば、できているつもりになっている、といったケースによく遭遇します。

結局ブランディングって何をすることなのか?

私なりの表現で言うと、ブランドの露出を増やし、意図したイメージで浸透(洗脳)させることです。この2つのステップをきっちり成功させられなければ、ブランド力を強化することなど、到底できません。
露出の方法も、今の時代は多種多様にあり、SEO、PPC(キーワード広告)は言うまでもありませんが、SNS(Facebookに代表されるオンラインコミュニティ)とバイラル(口コミ)キャンペーンを併用していくのが、おそらく今後しばらくの主流になっていくだろう、というのが私の読みです。そして、もしもあなたがビジネスに携わる人 ならば、レベルはともかく、この「ブランディング」を避けては通れないというのが、私からのメッセージです。

このテーマを書いてきた理由

さて昨年後半より、「中小企業が生き残るには」というテーマで書き続けてきましたが、そもそもこれについて書こうと思ったのには、主に2つの理由がありました。
1つは、我が社の運営するオンラインショップや、クライアントが実際に直面している、各業界の極端な資本主義による大手の市場専有化です。我が社の場合、特にオンラインにおいては、リアルタイムで最上層での戦いを強いられることが多いのですが、単純に周りの景色が昔とは大きく変わりました。相手にしなければならない競合のほとんどが、大手で占められており、その脅威をいち早く肌で感じたからこそ、資本力では到底敵わない大手に、中小がどう対抗できるかという問題に、我が社は常に必死かつ本気で取り組んでいるのです。
もう1つは、私は結局のところ、企業の存在理由は「雇用の創出」だと考えており、それに貢献している企業は応援する価値があると感じています。微力ながら自分も役に立ちたいと思っていること、そして実は、これこそ私の生涯のテーマであり、起業した理由でもあるのです。
正直、以前なら「ダメな会社は、むしろ淘汰されてしまえば良い」、くらいに考えていました。そして今でも、我々の業界に未だ多く見られる、モラルを欠いた、確信犯的な悪徳業者の存在を肯定することはできません。
ただここ数年の高い失業率や、街のあちこちにあるLeaseサインを見ていて、これでは本当に食べていけない人が出てしまうと考えるようにもなりました。そしてそれこそ私 のお気に入りだったレストランが、何軒も潰れています。つまり“ダメな会社”にもいろいろあることに気づきました。努力・本気さ・誠実さに欠けているのなら、何の同情も感じませんが、単にビジネスが下手なだけか、あるいは、たまたま大衆受けしないだけかもしれないのです。
ですから、近所の(私からすると)誰が欲しがるのか見当も付かない、意味不明な小物をやたらと高く売るお店も、(私からすると)全然おいしくなくて、2度とないなと感じたレストランも、皆、生きていくためには、存続できているに越したことはなく、細々とでもやっていけている方が、社会としては健全だと思うようになりました。
勿論、誠実な企業ほど、より成功してほしいと願っています、しかし現実社会は、マーケティングのうまい会社が成功しているだけで、良い会社だから必ず生き残れるという保証はありません。今後さらに露骨に進むであろう、資本主義の荒波も、それを物語っています。
本テーマは随分と長くなってしまい、かつうまく整理して書けていたわけではないのでお恥ずかしいのですが、もし何か少しでも気になることがあれば、是非最初から通して読み直してみてください。そして何らかのヒントにしていただけるなら幸いです。
(過去掲載分は、こちらからhttp://www.usfl.com/ee/

2014年5月9日金曜日

中小企業が生き残るには㉓印象3

(U.S. FrontLine誌 2012年4月20日号 掲載分)
商用ウェブサイトは、おおまかに販売サイトと情報サイトに分けることができます。ここで私の言う販売サイトとは、オンライン上で商品・サービスが購入できる、オンラインショップのことです。広義ではEC(Electronic Commerceの略で電子商取引)サイトという言い方になりますが、それとおよそ同じ意味です。
そして、私の持論としては、情報サイトは、さらに情報サイトと販促サイトに分けられます。というか、分けて考えるべきだと思っています。

情報サイトと販促サイトの違い

販促とは販売促進の略で、要するにマーケティングです。違いを簡単に説明すると、情報サイトは、ユーザーから求められそうな情報や企業が公開したい情報(例えば企業情報や、サービス、製品概要など)を、単に整理し、掲載しているサイトです。
また、オンラインでは直接購入できないにしても、一覧による商品写真や詳細情報までを掲載しているようなカタログサイトも、情報サイトの範疇と言えます。
一方、販促サイトは、「より売れるようにすることを意識した」サイトです。ですから、サイト自体に集客力をもたせるSEO(自然な検索結果で上位表示させる手法)や、 PPC(クリック課金型キーワード広告)など、何らかの集客手法を適用させているサイトというのが大前提になります。
さらに、販促サイトの条件は、企業やブランドの良いイメージを印象付けるため、インパクトのあるビジュアルやテキストなどで、積極的にセールスポイントをアピールしていることです。ブランド力を強化してマーケティングしていくのが目的の、ブランディングサイトも販促サイトと言えます。
ちなみにサプリや薬品関係を検索すると、「こんな効果があった」とか、「何やらで証明された画期的な発明」のような、情報だけを掲載した風のサイトをよく目にしますが、通販サイトへのリンクがあれば、これらは間違いなく、ショップが裏で運営する販促サイトです。

カタログとブランディングサイト必要なのは?

「決済機能はいらないけれど、商品情報を掲載したサイトを構築してほしい」という依頼をよくいただくのですが、希望されているものは果たして、カタログサイトなのか?それともブランディングサイトなのか? というところで誤解があるように思います。
依頼主自身、本当はどちらが必要なのか、理解できていないこともしばしばあります。
我が社でも、新人であれば、ほぼ確実に最初は区別できていません。広告もしくはIT業界で、“プロ”と称している業者であっても、かなりの確率で、区別できていないな、と感じることがあります。。
区別できていない人が作成すると、例外なくカタログサイトになります。それがクライアントの依頼であれば、別に問題はないのですが、実際に必要なのは、ブランディングサイトであることの方が、圧倒的に多いのです。
カタログサイトの場合、少なくともまじめに作られていれば、商品情報やスペックがよく整理されたページにはなっているでしょう。ただそれはあくまでも受動的で、ユーザーが見たい情報が見つかるサイトに過ぎません。それでは不十分なのです。

最初の10秒でほとんど決まる

統計的にサイトビジターは、最初の10秒以内にベイルアウト(サイトから出て行く)する確率が非常に高く、30秒くらいまでにかなり急激なカーブを描くことが知られています。これは一般的に、ユーザーが、有益と感じるサイトがほとんどないと思っており、初めて訪れるサイトには特 に懐疑的になっているためです。
もちろん、知名度があり、豊富なファンベースを既に築けているのであれば、話は違ってきます。もともと、その商品やサービスに関心があり、情報を探しているユーザーがいるのであれば、それらのトラフィックがあり、情報を掲載しているだけでも、サイトに何らかの価値は生まれます。
一方、そういうケースではなく、ブランディングサイトに備わっているような集客力や、ブランドや商品に興味を持たせ購買意欲を掻き立てる、一連のマーケティングコンセプトが欠如したカタログサイトの場合、そもそも最初からビジターがないか、あったとしても最初の10秒間で好感をもたせ、30秒以内にもっと読みたいと思わせられなければ、ベイルアウト率が高いだけの通りすがりのサイトになってしまいます。商品画像や説明を掲載するだけで人の購買意欲を促進できると思っているなら、それは妄想だと気付くべきなのです。

2014年4月7日月曜日

中小企業が生き残るには㉒印象2

(U.S. FrontLine誌 2012年4月5日号 掲載分)
前回は、オフィスの印象が、企業の信頼性に影響するというお話をしました。ではオンラインにおいて、企業やブランド、商品の印象を決めるのは、何だと思いますか? やはりウェブサイトのデザインや商品写真、バナーといった、ビジュアル的な要素が大きいのではないでしょうか?
もちろん、キャッチコピーや説明テキストなども、最終的には影響してくると思いますが、やはりビジュアルのインパクトは、非常に重要になります。

誰の何のためのウェブか?

ブランディングサイトや企業サイト、オンラインショップ構築などのお問い合わせをいただく際に、真っ先に「サイトのビジュアルデザイン」の話をしたがる方か た が多いです。気持ちは分からなくもないのですが、私の心の中では、実はそういう相手であるほど「黄色信号」になります。
何故なら、通常はウェブマーケティングにおいて、集客・露出というステップから失敗しているケースがほとんどだからです(もちろん、集客後のステップで失敗しているケースもありますが、そういうのは私の過去の経験上では、5%もないくらいです)。
つまり、「集客・露出をどうしていくか?」という最も大事な話をせずに、「集客後のサイトのビジュアルデザイン」を真っ先に心配しているようでは、ビジネスとして論理的な分析をできている方か たなのかどうか、こちらとしては不安になるわけです。
ただうちが担当する案件であれば、通常は集客を大前提とした戦略になっているので、次のステップとして、デザインも重要になります。そして相手から色々と具体的な要望をいただくこともあります。「○○のようなテイストで」、「XXのサイトみたいな感じが」…。その時、私がよくする質問は、「そのデザインの要望は、誰のためのものですか?」。その答えが、「単に自分の好みです」という話なら、いよいよ私の中では「黄色信号」が「赤信号 」に変わります。
この場合、必ずしなければならない質問が、「この案件の目的は、マーケティングですか? それともご自分の欲しい(好きな)ウェブを手に入れることですか?」

誰の好みを尊重すべきか?

デザインに関して、私の関心事は常に1点だけ。そのデザインが、ターゲットマーケットに好まれるかどうか? それだけです。たとえ、そのデザインを私が大嫌いだとしても、マーケットに受けるなら、1つの正解なのです。ショックを受けられるかもしれませんが、私にとってはクライアントの好みも、ターゲットマーケットと関係がなければ、大した意味をもちません。
ある案件で、デザインについて、クライアントと意見がぶつかったことがあります。相手は暗い渋めのテイストが好みということを知っていたのですが、商材のコンセプト上、明るいクリアなイメージにする必要がありました。そこでいくつかのサンプルデザインを用意し、あえて相手の好みそうなものと、こちらがマーケティング的に正解と考えるものを含め、選んでもらったところ、案の定、相手は暗くて渋いデザインを選んできました(わざわざ不正解を入れたのは、相手の好みは理解していることを示すため)。
そして選ばれたものが、いかに間違っているかを説明しようとしたのですが、なかなか納得してもらえず、ターゲット層に比較的近いフォーカスグループを用意し、好みを選んでもらいました。
結果はやはりこちらの予想した通りだったのですが、それを伝えても納得してもらえず、再度相手にフォーカスグループを用意してもらい、同じテストをしたところ、さらに顕著な結果となり、ようやく理解してもらうことができました(それでも納得というよりは、黙るしかなかったという感じでしたが。苦笑)。
我々にとって、相手の好みに合わせたデザインを作成することは、実はさほど難しくありません。相手にも簡単に喜んでもらえるので、一時的には案件が成功したようにも見えます。ただ目的がマーケティングである場合、その先の結果を出すことが難しくなり、最終的には誰もハッピーになりません。
前回書いた自らの教訓もあり、うちは本気で関わっている案件ほど、時にこういうバトルも辞さないのですが、一応100戦100勝です(笑)。ちなみに日系、米系問わず、問い合わせをいただき、お話していると、「最初から話しているポイントが他社とは全然違う」と、よく言われます。
うちだけが正解だとは決して思っていませんが、真っ先に依頼主のデザインの好みを聞いて、忠実に再現しようとするような業者さんなら、やろうとしていることは、おそらくマーケティングではないと思います。

2014年3月20日木曜日

中小企業が生き残るには(21)印象1

(U.S. FrontLine誌 2012年3月20日号 掲載分)
企業やお店、あるいはブランドや商品の印象を決めるものは何だと思いますか? オフィスや店舗の場合は外観や内装、また広告や商品パッケージのデザインなどが、すぐに浮かぶのではないでしょうか?

見た目は大事

会社を立ち上げて3年目の頃だったと思います。オフィスはビーチから1ブロックで、開放感があり澄んだ空気が気持ちよく、ロケーション的にはとても贅沢をしていました。もちろん家賃も相応に高かったのですが、内装にはほとんどお金を掛けず、オフィス家具も、私が日本で勤めていた時代のオフィスの感覚を引きずっており、日本によくありがちな、頑丈さだけがとりえのようなグレーのスティールデスクに、何の変哲もないグレーのパーテーションやホワイトボードといったものでした。
言葉だけでお伝えするのが難しいのですが、イメージ的には、日本の田舎にある、地味な会計事務所みたいな感じでしょうか。とにかくできる限り、最もつまらなそうなオフィスを想像してみてください。きっとそれに近いです…
パートナーは最初から猛反対していたのですが、私が出資していたこともあり、何にいくら使うのか、私がほとんど独断で決めていたため、最初は内装などは最低限で済ませ、その分サーバーやPC、ソフト等には充分にお金を掛けるといった、ある種のエンジニアドリームを実現していました(笑)
その頃の私は、外面など飾らなくとも、内面の技術さえしっかりしていれば、いつか必ず伝わるはず、という考え方だったのですが、パートナーから、「仕事の内容は極めてクリエイティブなことをしているのに、このオフィスではそれが一切感じられないし、来社してくれた人も、おそらく同じ感覚を抱くはずだ」と指摘され、とりあえず内装にもお金を掛けることを承諾しました。
それこそ天井から壁、床までモダンでユニークな雰囲気に変え、ライトも特注したフレームにし、オフィス家具も全てグラス調に変え、レイアウトも空間を最大限に、うまく生かすようにしたのです。その結果、ほとんどの方に、「わぉ、素敵なオフィスですね!」と言っていただけるようになりました。
そして何より、来社していただいた潜在顧客の方に対して、改装前と特に変わらないコンサルテーションをしていたにも関わらず、前とは明らかに違い、「なるほど! とても勉強になります」的な、納得のリアクションが格段に増えたのでした。

人の当然の心理

正直最初は、「こちらのスキルは何ら変わっていないのに、ここまであからさまに信用のされ方が違うのは何なんだ(怒)!」と、本質を見ようとせず、表面的なもので判断している相手の資質を、むしろ疑いたくなったくらいでしたが、徐々にこれがむしろ、人の当然の感覚、心理であると理解することができました。
何故なら私自身も、日常生活でそういった価値判断を常にしてきたことに気が付いたからです。例えば、パッケージが安っぽい冷凍食品を見ると、それだけで品質まで疑ってかかったり、不動産エージェントがどんなに感じのよい人だったとしても、乗っている車が明らかに中古のボロ車だと、失礼を承知で「この人、あまり仕事ができない人なのかなぁ?」と、内心思ってしまったりする自分がいました。
誰もダサいヘアスタイルの美容師の所へは行きたくないのと同じで、何よりウェブサイトが悲惨な業者に、デザインを頼みたくはないですよね? 当時の状況としては、おそらくこの逆で、ウェブを見て、せっかく期待感をもって来社していただいたのに、オフィスが冴えず、不必要な不安を与えてしまっていたのだと思います。
そして実際には技術面にはお金は掛けていたのですが、表面的にそうは映らなかったため、マーケティングという売上を伸ばすサービスを行っている会社で、価格もそれなりにするのに、クライアント候補からすれば違和感があったのだと思います。
真実がどうあれ、相手に正しく伝わらなければ、ビジネスは成立しない。とても基本的なことですが、私が身をもって学習したことでした。以来、我が社では、事業拡張でオフィスを移転する度、内装にも本気で取り組んでいます。今のオフィスも、近所では結構評判らしいです。まぁ掃除のおばさんからの情報ですけどね(笑)。

2014年3月5日水曜日

中小企業が生き残るには⑳ 知名度3

(U.S. FrontLine誌 2012年3月5日号 掲載分)
ずっと続けてきた本テーマですが、私は、バイラル(口コミ)マーケティングが、中小企業の救世主になる可能性を強く感じているとお話してきました。ただSEO(自然な検 索結果での上位表示)と同様に、単に人の真似や教則本にあることをやってみたところで結果は知れており、巷ちまたに溢れた“なんちゃってプロ”や素人では、トラフィックに好影響を与える結果にはつながらないという共通点があります。むしろ難易度で言えばSEOを遥かに凌し のぐバイラルが、「何故、救世主に?」と疑問に思う人もいるかもしれません。

古き良き時代をもう一度

一応、誤解のないように説明すると、① 残念ながら、どんな企業でもバイラルマーケティングで救えるという訳ではない
② 今のところ、アイデア次第では、資本主義競争から少し外れたところで、戦うチャンスがある
という意味です。ぬか喜びをさせてしまったのなら、ごめんなさい。でもそれが現実です。ビジネスの内容によって、バイラルに向き不向きはどうしてもあります。そして最終的には「画期的なアイデアが浮かんだかどうか」に尽きます。ただ、「資本主義競争から少し外れたところで」が、私のポイントです。
アメリカにおいて、実はSEOも6〜7年くらい前までは、中小企業も創造力だけで巨大資本の大手と五分以上の戦いができた時代でした。ただ、検索エンジンがPPC(キーワ ード広告)による収益モデルを本格化してきてからは、そうもいかなくなってきたという背景があり、バイラルは「古き良き時代」を、まだ少しだけ感じさせてくれるのです。
本稿の第37回(2010年9月5日号、No.471)「検索エンジンのビジネスモデルとは?」に、過去から検索エンジンのスタンスがどう変わってきたのか、少しヒントを書い ています(過去のコラムは、www.usfl.com/eeで見ることができます)。
なおバイラルがなぜ難しいのかについても、触れておきます。当然のことながら、多くの人の話題にのぼり、口コミが広がり、露出・知名度が増すという状況をつくり上げること自体、至難の業です。通常はこの段階で失敗して終わることの方が多いのです。
例えばYoutube.com(人気の動画投稿サイト)を見ている人ならご存知だと思いますが、毎日、膨大な数の動画が投稿されています。1分当たりに投稿される動画は60時間 分にものぼるとか。そんな中から、人目に触れ、人気を獲得していくことが容易ではないことぐらい、誰でも感覚的に理解できることでしょう。

普通のバイラルは寿命が短い

では、幸運にも、人気のバイラルビデオを制作できたとします。バイラルの特性に「熱しやすく冷めやすい」という悲しい事実があり、瞬間的に膨大な視聴回数を獲得できたとしても、すぐに忘れられてしまう、もしくは関心が薄れてしまうことの方が、むしろ多いのです。
実際、「これだけ短時間でこんなに視聴者数を稼いだ!」と実績をアピールしている広告代理店をたまに見かけるのですが、「その先は?」と突っ込みたくなります。もちろん前述のとおり、第一段階をクリアしていること自体は評価に値するのですが、息の長いバイラルを起こすのは本当に難しく、奥が深いのです。


名前が記憶に残らない

また、これはTVのCMでも言えることですが、斬新なアイ デアで視聴者の注目を集めることができても、肝心のブランドや製品名がまったく頭に入らなかった、という経験はありませんか?
現時点で1898万回以上視聴されたあるビデオ(www.youtube.com/watch?v=4ba1BqJ4S2M)があります。キャンピングしている所へ熊が現れ、「銃で撃ちますか? 撃ちませんか?」という択が出てきて、どちらかを選んでからが本番なのですが、今、種を明かすとつまらないので、時間があれば見てみてください。
クリエーターの立場からすると、このアイデアには好感が持てますし、インパクトもあると思うのですが、ブランド名が記憶に残らないという点では惜しい、と言わざるを得ません。「面白くするだけで良いなら、我々の仕事は結構簡単だよね」と言いたくなります。「でもこの案なら、正直やりたくなるな」という心の声もあり、少しひがみも入っているかな(笑)。
昨年より着手している某クライアントの案件があります。普通に考えればバイラル的にはかなり無理がある商材なのですが、自分では結構、画期的なアイデアを考えたつもりで、無事実践できた際には、いつかここで結果を紹介したいと思います。

2014年2月28日金曜日

中小企業が生き残るには⑲ 知名度2

(U.S. FrontLine誌 2012年2月20日号 掲載分)
前回、資本力の劣る中小企業にとって、アイデアをうまく生かせば広告費を何分の1にも抑えることができる「バイラル(口コミ)マーケティング」が救世主になる可能性について、お話しました。ただし、SEO(自然な検索結果での上位表示)を遥かに凌ぐ至難の業であることにも触れました。そして、バイラルマーケティングとはどんなものかをイメージしていただくために、あるオンラインユーザーのピザ注文時での遊びをヒントに取り上げました。

昨年末話題を呼んだビデオ

ちょうど昨年のホリデーシーズンの終わりくらいのことです。ご存知の通り、アメリカにおいて、この時期のオンラインショップのセールスは凄まじく、配送業者にとっても1年で一番忙しい時期でもあります。配送業者と言えば、アメリカではUSPS、UPS、Fedexあたりが真っ先に浮かびますが、USPSも破産寸前でかなりのサービス廃止をするらしく、どの業界も大変なんだなぁと思っていた頃でした。
この時期オンラインで、かなり有名になったビデオがありました。それこそ色んなメディアでも取り上げられていたので、ご覧になられた読者の方も多いかもしれません。そのビデオとは、あるコンピューターのモニターを注文した顧客の家へ、Fedexの配達人が届ける一部始終を、たまたまその家の監視カメラが20秒程録画したものです(本当に偶然だったのか、真相は不明)。
その荷物はサイン不要のものだったらしいのですが、配達員は、家の前でドアベルを鳴らすこともなく、柵の上から、ぽいっとモニターを庭へ投げ入れて立ち去るという、ちょっとした衝撃映像でした。日中だったので、かなりクリアに映っています。もちろん、そのモニターは壊れていて、返品しなければならなかったそうです。受け取り人いわく、その時は自宅におり、玄関のドアも開いていたとか。
その人がYoutube(動画投稿サイト)へ映像をアップしたところ、5日で500万回以上の視聴がされたらしいです。話はここまでなのですが、もしもこれが、Fedexに対するネガティブキャンペーンだったとしたら、もの凄く効果的ですよね。しかも制作費はほとんどゼロに近いし(笑)。ただ実は、UPSもUSPSでも似たようビデオは存在するみたいです。もしかしたら、お互いを刺し合っているのかも。

昔話題になったバイラル

また、これは全く別のバイラルの例なのですが、かなり昔に話題となった、ダイエットコークのペットボトルに、メントス(ミント味のキャンディー)をいくつか入れると、 急激に炭酸が気化し、泡が一気に数mの高さまで(やりようによっては10m以上も)吹き上がるというものです。覚えていませんか?
2002年に、物理学教師スティーヴ・スパングラーが、News9セグメント(KUSA-テレビ)で、この爆発を実証して以来、2006年あたりをピークに、Youtubeから一気に広 まっていったのです。例えばラスベガスのべラージオホテルの前で、噴水ショーさながら、という映像もありました。噴き出す泡の高さを競うコンテストも始まり、今では、コカ・コーラ社とメントス社がスポンサーになって開催されているほどです。
ちなみに私は、たまたま見ていた刑事ドラマの中でこの実験をして遊ぶシーンが出てきて、知りました。その時、「これはもしかしたら、天才的なマーケティングアイデアなのではないか」と感心したのを覚えています。
私にとって何が斬新だったかというと、この衝撃映像もさることながら、「モノを売るという行為においては、必ずしも本来のモノの用途など関係もなく必要もない」という事実を突きつけられたことです。
もし、その頃私が若い学生だったら、確実にダイエットコークとメントスを買いに行ったことでしょう。ちなみにコークもメントスも、私が好きな味ではなく(というかむしろ苦手で)、飲食という目的なら絶対に自分から手を出すようなアイテムではないのにも関わらずです。しかもおそらく、色々遊びたいので、大量購入したことでしょう。事実、両社は売上を大きく伸ばしたそうです。

露出できる方法は様々

どちらも、一応最初から商用目的に制作されたバイラルビデオの例ではありません。またFedexにしても、コカ・コーラやメントスにしても、大手で既に名前は知られており、中小企業がこれから知名度を高めていく、という例としては不適切かもしれません。それでも、発想を膨らませれば、色々な可能性が広がると思いませんか?

2014年2月15日土曜日

中小企業が生き残るには⑱ 知名度1

(U.S. FrontLine誌 2012年2月5日号 掲載分)
一般的に、企業は、露出が多く知名度が高いほど、信頼性も高まるものです。以前なら、特に大手は、莫大な費用をかけてテレビや新聞、雑誌などに広告を出していましたが、近年は、よりリーズナブルで費用対効果の高いオンライン媒体に着目するようになりました。SEOやPPCにより検索エンジンで、自社サイトを上位表示させる、SNSや人気サイトへ広告を表示させる、あるいはインターネットTVのCMを積極的に活用するようになってきました。
それら広告活動はすべて、露出を増やし知名度を高めるか、集客を行うための行為といえます。そして、資本力があるほど有利な戦いができるのです。資本力の劣る中小企業に何か良い策はあるのか? それが、本テーマのカギですが、私はその答えの1つが、「バイラル(口コミ)マーケティング」だと考えています。

アイデアで広告費を何分の1に

バイラルマーケティングとは、バイラルネタとなるインパクトのある動画や画像、もしくはサイト自体、または何らかのストーリーや話題をつくり上げ、最初は意図的に露出させ、いずれ口コミによって広まっていくように画策するマーケティング手法です。
仮にそのバイラルネタを見た1人が、周りの3人に伝達してくれれば、1人あたりにかける広告コストを、結果として4分の1に下げられたことになります。
よく、強烈なバイラルネタさえ作れば後は自然に広まってくれるので、ほとんどお金がかからない広告手段だ、と勘違いしている人がいますが、それはほぼ間違いです。
「ほぼ」と書いたのは、どういう期間でどの程度の範囲に拡散させたいというゴール設定や、ネタの質や内容にもよるから、です。数年かけて、ということでもなければ、通常は商用目的のバイラルを起こすには、最初にある程度のシーディング(種まき)が必要で、それには一定の広告費が必要になります。
「バイラルは誰でも簡単に成功させられるか?」といえば、これまた答えはNOです。
そもそも簡単に成功できるマーケティング手法なんて、世の中にほとんど存在しないでしょう。本稿で何度もお話してきたように、誰でも簡単に始められるPPCだって、費用対効果の面で成功させるためには、かなりのノウハウが必要です。
SEOに至っては、集客力のあるキーワードで実質トップ3位以内に入らなければ、トラフィック的に成功を体感できるほどの成果は上がりません。それができる業者は、本当に一握りで、その他大勢の“なんちゃってプロ”がやっていることなどは、気休めにしかなりません。
そのSEOをも遥かに凌ぐ難易度をもつのが、バイラルです。ただ、本当のSEOを実践するには、高い分析力と強烈なクリエイティビティが不可欠という点で、実は通じるものもあり、単に人の真似をしても結果が知れているというのも似ています。
何よりも、オリジナリティとセンスが重要で、SEOを早期から極めてしまった我が社としては、教則本を読んだだけの巷に溢れた“偽SEOマスター”達には本当に辟易しており、彼らが取り繕うのがより困難なこのバイラルは、最近のお気に入りです。
感覚的には、我々アーティストが、クライアントごとにぴったり合う曲を書き分けているようなもので、下手なパクリは売れない上、逆に叩かれる、みたいな感じです。

あくまでも一つのヒントとして

ここ1年程で、ネットで流行っていることがあります。オンラインでピザを注文すると、スペシャルインストラクションという欄があり、普通なら「オニオン抜きで」とか任意のリクエストを書き込むところ、「ピザをペンタグラムに切って」とか、「箱にネコの絵を描いて」などと、ちょっとした遊び心を入れてみたユーザーがいました。お店の従業員がまじめに応え、それを受け取った人が写真をアップしたことから、ネットで広まり、今ではその「遊び」をいろんなところで行うオンラインユーザーが密かに増えているのです。これは一応、ユーザーによる自然発生的なもので、商用的なバイラルではないらしいのですが(真相は不明)。
もし、ユーザーに成りすましたサクラが「無理難題を店員に投げかけてもそれに応えてくれる面白い店があるよ」と広めていく、というアイデアを考え、実践したのだとすれば、それこそバイラルマーケティングです。要するにノールールで、アイデア次第ではどこまでも可能性があり、コストもかなり抑えられるわけです。
余談ですが、この流行のおかげで、実は我が社が運営するオンラインショップでも、「箱にサメやゾウを描いて」のようなリクエストがたまに入るみたいです。うちのスタッフもまた絵心があるのが多い上、そういうノリが好きなので、リクエストが入ると結構うまくマメに描いてあげていたらしく…。私はたまたまこの間、この事実を知ったのですが、経営者的にはちょっぴり複雑でした(笑)。

2014年1月31日金曜日

中小企業が生き残るには⑰ 信頼性2

(U.S. FrontLine誌 2012年1月20日号 掲載分)
前回、消費者の心理として、露出の多い企業に対して、信頼性の高いイメージを抱くようになることをお話しました。また潜在顧客の獲得は、B2B、B2Cといったチャネルに関わらず、依然としてSEOとPPCに依るところが大きいこと、そしてSEOとPPCの世界では資本主義的競争の激化から、大手に比べ資本力が明らかに劣る中小にとっては、何らかの策が必要になってきていることを、お話しました。
そして私は以前、本テーマのカギは、「大手ができないこと、やりたがらないことを率先してやること」であることもお話しました。

SEOでいきなり年商2億円増

我が社は、常にアメリカの最先端のマーケティングをリアルタイムで実践しており、米系競合の猛者に揉まれています。それより数年遅れている日本市場では、自分たちからすれば当たり前のことをやっているだけでも、簡単に先駆者的な地位を築けることも多々あります。
当社のクライアントに、ウェブマーケティングによるブランディングから、業務システム全般までをサポートさせていただいている、ある日本のメーカーがいます。付き合いはもう8、9年くらいになります。日本でSEOが認知され始めたばかりの頃、その会社のウェブサイトを、業界に関連する主要キーワードのほとんどで、検索結果の1〜3位くらいに必ず表示されるようにしたのが、最初のお仕事でした。
もちろん、その効果は覿面(てきめん)で、業界自体はずっと下降線を辿る中、その会社は、いきなり年商2億円増となったのです。過去数年と比べ、その年も特に新しいことは何もしておらず、唯一、我が社へ依頼したSEOだけが例年と違う動きだったことから、SEOの効果測定としては、非常に分かり易かったケースでした。
もちろん、今でもSEOは維持していますが、逆にこれ以上の結果は求められないレベルでもあるので、検索エンジンを利用したマーケティングにおいては、完全に頭打ちといえます。
また、その会社は、元々は卸業が主だったのですが、ブランディングという武器を手に入れたこともあってか、製造業へシフトしていきました。着実に業績を伸ばし、業界内で一人勝ちし、妬まれるほど目立つ存在になり、今や完全に全国区のプレーヤーとなったのは間違いありません。業 績は極めて良好なので「生き残る」というニュアンスではありませんが、規模としてはまだ大手ではなく、競合には巨大資本の大手もいるため、次のステージに上がるためには、やはり別の策が必要になってきています。

ブログであってブログじゃない

ちょうど世の中でもブログが流行り始めた頃でした。社長の天才的な嗅覚とセンスで、ヒット商品をいくつも開発し、マーケティングも我が社のサポートで順調だったのですが、競合も色々と動き始めており、警戒を強めたそこの社長から、「何か今やっておくべきことはないですか?」と相談され、私は即座に「ブログです」と答えました。
ただ、この時私が意図した“ブログ”は、世の中的なブログではありません。実はこの会社のマーケティングをお手伝いさせていただきながら、私はずっと「競合である大手がやりたがらないことは何か?」を模索していました。
そして思いついたのが、「メーカーとエンドユーザーの直接対話の場」でした。もちろん、Eメールや電話であれば、どんなメーカーでもそれなりに対応していると思います。ただそれを敢えて公開し、一個人の細かい問い合わせや要求にも、真摯に応対する誠実なメーカーであるというイメ ージ作りをするのが、私の真の狙いでした。エンドユーザーの声に本気で耳を傾け、それを製品開発にも反映させ、共に良いブランドを創り上げながら、顧客のロイヤリティー意識を築いていくのです。
しかもブログという仕組みを利用することで、ユーザーが勝手に活躍してくれるという利点を生かし、従業員数も限られる中、最小限の労力で最大限の効果を得ることを目論んだわけです。
自画自賛になりますが、結果は大成功でした。「信頼のおけるメーカー」というイメージは、ネットで評判を検索した限りでは浸透していると思います。ただ所詮は掲示板の変形みたいなものなので、ユーザーの投稿がかなり増えた今、有益な情報もかなり含んでいるのに、情報としては整理されておらず、このやり方もそろそろ限界かなーと思っています。また次の手を考えねば(笑)。

2014年1月16日木曜日

中小企業が生き残るには⑯ 信頼性

(U.S. FrontLine誌 2012年1月5日号 掲載分)
新年明けまして、おめでとうございます。今年は大統領選挙もあります。経済は、社会は、今後どうなっていくのか、不安もさることながら、目が離せない1年になりそうです。
さて昨年後半より続けている本テーマですが、主に製造業と小売業の立場から、自社の顧客を知ること、本当の敵を知ること、現在のポジションを知ることの重要性を示し、それらが「価格」「評判」「品質・性能」「信頼性・知名度」「印象」といった要素と密接に関係してくることをお話してきました。前回、「品質・性能」のところまで触れました。

信頼性を高めるには何をすべきか?

企業が信頼性を高める上で、オンライン上でやっておくべきことを考えた場合、極めて浅い次元としては、(少なくともプロが作成した様に見える)企業のウェブサイトを、独自のドメイン(世界中探しても重複しないインターネット上での住所のようなもの)にて公開し、Eメールアドレスも独自ドメインのものを利用することが挙げられます。
今でもたまに見かけるのが、せっかく独自ドメインを取得して、ウェブサイトを公開しているのに、何故かEメールは、インターネットプロバイダーや検索エンジンが提供するフリーアカウントを利用しているケースです。
最近は、ウェブサイトを公開するために利用するホスティングサービスに、ほぼ間違いなく、無料でEメールアカウントを利用できるサービスが含まれているので、それを利用しない手はありません。個人ならともかく、企業として無料のEメールアカウントを利用しているのは、「うちは数 人以下でやっている、零細の個人ビジネスです」と宣言しているようなものです。たとえ事実と違っていたとしても、そう見られてしまいます。
ウェブサイトも市販のテンプレートを利用すれば、プロフェッショナルなビジュアルのものを格安で作成できる時代です。コスト削減のために、素人に会社の顔となるウェブサイトを作成させるなどという発想は、致命的なミスです。
また、デザインを含めたビジュアル面だけでなく、さまざまなOS(コンピュータの基本ソフト)とブラウザ(ウェブサイトを、実際にコンピュータ上で閲覧するためのソフト)による組み合わせで、見え方が全然違ってくることがあります。ある組み合わせで見たら、レイアウトが完全に崩れていたというのも、よくある話です。ある程度の主要なOS(Windows XP、VISTA、7、Mac OS X、iOS)とブラウザ(Internet Explorer 8? 11、Google Chrome、Firefox、Safari)での組み合わせとして、意味のないものも中にはありますが、ざっと数えて18? 20通りくらいのテストは必要でしょう。
そして画像やページへのリンク切れがないことは勿論、誤字脱字がないこと、日系企業の英語サイトならばコンテンツがネイティブによるライティングであることも、非常に重要になってきます。
繰り返しますが、これらは一番初歩的な部分で、レースのスタートラインに立つために、参加申込書に記入した程度の話です。

露出があって、初めてレース

ビジネスはその存在を知られることが第一歩です。存在を知られるためには、露出を増やすことです。逆に言うと、消費者の心理として、露出の多い企業は信頼性の高い企業であるというイメージにつながります。
要はオンライン上においては、検索エンジンやSNS(オンラインコミュニティ)での露出機会を増すことを考えるというお話なのですが、方法論としては大きく分けて、SEOやPPCといった検索エンジンでの上位表示を目指すか、FacebookなどのSNS上で広告を露出させ、さまざまなユーザーに話題にしてもらい口コミで伝達してもらえるようにすることです。
これらのことは本稿で何度も私が訴え続けてきたことです。また本テーマの途中でも「SEOはやっていて当たり前、カビの生えた話」とお話しました。ただ、あるマーケティング会社が、2011年に500人のマーケッターに対して行った調査で、一番大きく潜在顧客の獲得に影響したのは、B2BでSEO(57.4%)、PPC(24.8%)、SNS(17.9%)、B2CでSEO(41.0%)、PPC(34.2%)、SNS(24.8%)というものがありました。我が社の経験からしても、感覚的割合比は、およそこんな感じだと思っています。
要するにSEO + PPCというのがいまだ王道であることには違いありません。ただ大手のオンラインマーケティングの積極参入で、資本主義的競争になってきており、中小には敷居がどんどん高くなる一方だともお話しました。つまり、中小のための何らかの策が必要なのです。次回に続きます。