2013年11月25日月曜日

中小企業が生き残るには⑬ 評判2

(U.S. FrontLine誌 2011年11月20日号 掲載分)
前回は、ビジネス的に軽視できなくなったレビューサイト について触れ、投稿されている評価内容も、サクラや競合 による嫌がらせの可能性も大いにあり、決してクリーンと は言い切れない世界であるということをお話ししました。

勿論、消費者にとって、商品やお店に関する他者からの評 判を事前に把握できることは、すばらしいことだと思いま す。商品やサービスを提供する側も、その品質を少しでも 向上させるため、切磋琢磨するのであれば、それもまた良 しです。本来なら、レビューという仕組みは、誰にとって も有益ですばらしいものになるはずです。

ただ基本の思想がどんなに素晴らしいものであっても、そ こにビジネスが介在する限り、そこまでクリーンな世界で もなくなってきます。所詮はレビューサイト側もレビュー される側もビジネスとしてやっているわけですから、お互 いの思惑というものがあるのです。

ある種ヤクザな商売

お店やレストランなどの代表的なレビューサイトとして有 名なYelp.comですが、実は企業から何度か訴えられていま す。訴訟内容としては、Yelpから広告購入の要請を受け、 それを断ったら、もともと載っていた良い内容のレビュー の多くがいきりなり消えてしまい、その企業の評価格付け も下がったとか、Yelpの社員が広告料の名目で毎月の支払 いを企業に要求し、それと引き換えに悪いレビューの削除 や書き換えを行うと打診してきたなど、ある種の強請 ゆすりとも言える行為が報告されています。

3年くらい前になりますが、Yelpについて書いたキャスリ ーン・リチャーズ氏(サンフランシスコ・ベイエリアの新 聞East Bay Expressの編集者)の記事によると、Yelpは 2004年にビジネスを始めた当初、多くのレビューを社員に 書かせており、CEOのストッペルマン氏自身も、当時800 件以上のレビューを書いていたとか。

また、元社員が、「当初はスモールビジネスを助ける、誇 りの持てる仕事と感じていたけれど、ビジネスが拡大する に従い、そうではなくなった」とか「Yelpの広告購入を断 った店には、Yelpが人を雇って悪いレビューを書き込ませ た」という暴露をしたこともありました。

確かにYelpの社員も一応、消費者でもあるわけで、それこ そ「本人が試し、そう感じた」と主張しさえすれば、Yelp に都合のよいレビューを書くこともできてしまいますよね。 実際、裁判ではそういう弁明がなされていました。真相は その人のみぞ知る、なのですが、今年の4月、Yelpに対して 起こされた集団訴訟が、証拠不十分で却下されたようです。

私は事の真相については何も分かりませんし、ここで言及 するつもりはありません。ただ、かなり以前、某アンチウ ィルスソフトのメーカーが、自らウィルスを製造してバラ まいているという話を本稿で取り上げましたが、Yelpのケ ースも似たような話ではないかと感じています。

途中で止めることもできない…

また、某レビューサイトでは、直近6カ月間のレビューし かカウントされません。これが怖いのは、例えば最初は高 い評価を得て、評価格付けに喜んでいても、時間と共にレ ビューが古くなり、たまたま最近高い評価のレビューが入 らなかったというだけで、結果として総合の評価格付けが ぐんと下がってしまう可能性があるということです。

例えば、二人のユーザーが、最高評価の5つ星と、4つ星 をくれたとします。総合評価は平均なので、その時点では 4.5星となり、かなり良いわけですが、半年間にレビューが 一つも入らなければ、いきなり星がゼロの評価になるとい うことです。

実際、サービス内容や商品によって、たくさんの人が集中 してレビューを書いてくれることもあれば、滅多に書いて もらえないこともあります。そもそもレビューを書くこと 自体、本来は面倒な行為なので、よほど感動したか、不満 を持たない限り、一般の人はなかなかレビューを積極的に 書くことはないでしょう。

また、この某サイトでは、企業が「有料アカウント」とし て登録すると、レビューの投稿者と対話することができる のですが、そのサービス料をいきなりぐんと上げてきて、 キャンセルしようものなら、悪いレビューがどこからとも なく書き込まれるという話も出ています。レビューを書い た人が明らかに本当の顧客ではないと分かっており、日付 や注文番号などを調べて問い詰めたくても、対処するには、 結局有料サービスを支払うしかない、とビジネスオーナー が嘆いているのを見ると、本当にぞっとします。

2013年11月1日金曜日

中小企業が生き残るには⑫ 評判1

(U.S. FrontLine誌 2011年11月5日号 掲載分)
商品やお店の評判(レビュー)をウェブサイト上に載せる のが一般的になってから、随分経ちます。ユーザーレビュ ーの専門サイトも、今ではすっかり定着しました。レスト ランならYelp.com、ホテルならTripadvisor.comなどがレ ビューサイトとして有名です。本誌の読者で、普段利用さ れている人もかなりいるのではないでしょうか。

まず1つ言えることは、ビジネスを営む側は、今後しばら く、このレビューという存在と付き合っていくしかありま せん。レビューの数が少ない、もしくは悪いレビューが多 いビジネスは、見込み客からは確実に敬遠されることにな ります。レビューがビジネスシーンに与えるインパクトが、 年々強まってきているのです。

ビジネス的に軽視 できなくなったレビュー

勿論大手はそれを察知しており、オンラインのブランドマ ネージメント(ブランドを企業にとって好ましい状態に総 合的に管理する)業務に、早くから着手しているところも かなりあります。ただ大手ほどの予算がない中小は、まだ まだ認識も甘く、野放し状態のところも多いと思います。

ほんの一例ですが、イタリアンレストランを営む、当社の ある米系クライアントに、うちのスタッフが電話するため、 たまたま番号をウェブで検索したそうです。G o o g l e Places(お店などの基本情報を地図と一緒に表示してくれ るGoogle社のサービス)が真っ先に表示されるので、電話 番号も一瞬で分かって便利だったところまでは良かったの ですが、基本情報と一緒に表示される、お店のレビューが 数件あったので、何気に見てみると、評判を示す星の数が1 つ星である書き込みが1件あったらしいのです。

「おやっ?」と気になりレビューを読んでみると、色々と ボロクソに書かれており、その中に「ヤク中みたいで、や たらとピアスをした、無駄話の多いレジの女性店員」とい う記述が出てくるのですが、実際にそういった店員をその 店では雇っておらず、近くの別のお店と完全に間違えて書 かれていることがすぐに分かったそうです(たまたまどち らの店のこともよく知っていたからですが)。

「これ、あの(別の)店のことだよね」という主旨の書き 込みを入れて、すぐにフォローをしておいたらしいのです が、それまでにこのレビューを見た何人の人がこのお店を 敬遠したかと想像すると、ぞっとしませんか?

ちなみに最近確認したら、そのボロクソレビューは削除さ れていました。ただ、新たに人種差別的な書き込みがあっ たそうで、弊社のスタッフが通報しておいたらしいのです が、競合の嫌がらせなのか、たまたま頭のおかしな輩なの かは分かりませんが、こういうことが普通に起きていると いうことです。

決してクリーンとも 言えない世界

レビューされる側は、少しでも評判を上げようと、好意的 なレビューをサクラに作成させたり、他社を貶めるために、 悪いレビューを書き込んだりする人もいます。レビューサ イトにも色々あって、そういったサクラをある程度アルゴ リズムで弾く機能を持ったサイトもあれば、全くの無法地 帯と化しているサイトも多々あります。

本来は中立であるべきレビューサイトなのですが、信用性 はまちまちなのが実状です。先に挙げたYelpなどは、サク ラを弾く機能をかなり持っている方ですが、それでも万全 ではありません。

サクラを簡単に見破ることができればいいのですが、なか なかそうもいきません。

次回お話する予定の、レビューサイト側のグレーさも関係 してきます。とはいえ、本テーマの主旨から外れますが、 少しだけ見破るための指標を紹介します。

Yelpなどは、レビューを書いている人が、他に何回くら いレビューしたことがあるかを表示してくれます。レビュ ー回数が数回しかない人(特に1、2回)の書き込みは要注 意です。お店側がサクラを募っている可能性があります。

特に過去1、2回しかレビューをしていない人の書き込み が、やたらと多く出てくるお店のレビューは、お店のサク ラか、良いレビューをすると何か特典がもらえるというよ うな、レビューサイトによってはきつい罰則対象になるこ とをやっている可能性を疑いましょう。アカウント登録の 日時やその他にどんなレビューを書いたかなども追ってい くと、胡散臭い書き込みは結構見えてきますよ。次回に続 きます。