これは節約できる予算か? PPC編②



(U.S. FrontLine誌 2010年9月20日号 掲載分)
PPCとは、検索エンジンで使われるキーワードに連動さ せて、テキスト広告を表示させる集客法です。前回は、 PPCが活用しやすい効果的な手法であること、そして、検 索エンジンのビジネスモデルについて触れました。今回は、 「いざ、PPCを始めてみよう」という方へのアドバイスです。

PPC管理業者は不要か?

PPCを始めるには、まずテキスト広告が必要になります。 これには色々な制約がありますが、特に文字数制限には悩 まされます。かなり短いので、簡潔にまとめないと制限内 に収まらないのですが、下手をするとインパクトのない広 告になりかねません。PPCの場合、クリックされなければ 広告費は発生しないとはいえ、ビジネスを行う以上、必要 なトラフィックを獲得していかねば何も始まりません。

ここでは、経験とクリエイティブなセンスが要求されます。 さらに、もし広告の出稿先が英語の検索エンジンであれば、 広告ライターは、広告センスのある英語のネイティブであ ることが絶対条件といえます。この点を考えても、もし日 系企業が英語のPPCを行うのであれば、我が社のようなネ イティブのエキスパートを擁する業者へ委託されることを 強くお勧めします(7月20日号掲載の第34回も参照)。

テキスト広告ができたら、Google AdWordsなどPPC広 告サービスを利用して、出稿します。どのサービスでも、 その管理画面は非常によく出来ているので、自社でも充分 管理できると思います。ただし、実際やってみると分かる と思いますが、PPCを効果的に活用するには、ただ出稿す るだけでなく、それなりのノウハウが必要で、そのために 高額なセミナーも行われているくらいです。

アウトソースしても大怪我に

PPCを最大限に活用するためには、広告が連動して表示 されるキーワード選びを適切に行い、ユーザーがその広告 に関心をもってくれるための工夫(クリック数の向上)と、 検索エンジン側が行う広告品質の評価向上に努めなければ なりません。

PPCではまた、広告がクリックされたら幾らまで支払う かを、広告主同士の入札で競り合うことになります。乱暴 に説明すれば、より高い値を付けた広告主がより良い掲載 順位を得るのです。ただ実際には、入札額が一番高いもの がトップに表示されるとは限らず、検索エンジン側の評価 基準に応じて、より質が高いと認められた広告が良い位置 に掲載されます。また、その広告の質に対する評価によっ て最低入札額が変動することもあり、広告媒体側から広告 の質をシビアに問われるマーケティング手法といえます。

たまに、社内(素人)でPPCを試して成果がなく、「PPC は効果がない」と言われることがありますが、プロが取り 組んでも苦戦することのある奥の深いマーケティング手法 ですから、あまりなめてもらっては困ります。事実、「PPC を自社で試したが、うまく活用できない」として我が社に 助けを求めてこられるケースが結構あります。社内でエキ スパートを養成してじっくり本気で取り組めば、PPCの有 効利用は不可能でないと思います。ただ、それに掛ける労 力や時間と費用対効果を考えると、アウトソースという選 択肢が現実味を帯びてきます。

ある米系企業が、日本語の広告が必要となり、某日系業者 にPPC管理を任せて毎月6000ドルの広告費を投じていたけ れど、売り上げは数千ドルにも満たないとして、我が社へ 問い合わせてきたことがありました。日本語なので、その 業者のやっていることの妥当性も、自分たちでは判断でき ないという状況でした。さっそく確認してみると、その企 業のサービスとは直接関係がない上に、極めて大量のユー ザーが検索に用いるキーワードと連動させて、無駄に広告 が表示されていました。クリック数(広告費)は簡単に増 えていくけれど、コンバージョン(売上げ)には全くつな がっていなかったのです。また広告内容自体にも力を入れ ておらず、顧客のビジネスを本気でサポートする姿勢は感 じられませんでした。

「PPC管理業者は不要か?」と問われれば、PPCの活用に は運営ノウハウ、分析力とクリエイティビティー、経験が 必要になるため、総合的な費用対効果として必要になるケ ースが多々あります。しかし上述のように、それももちろ ん、業者の質次第というのが、私の答えです。

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