2011年3月20日日曜日

知らないってのは恐ろしい③ –ある日、メールが全く届かなくなる編-

Eメールマーケティングをご存知ですか? 要は、ダイレクトメール(DM)のようなチラシを、郵便ではなくEメールで送信するマーケティング手法のことです。米国では、よくE-FlyerやEmail Blastなどと呼ばれています。できるだけ安上がりのマーケティングをご希望であれば、既にこのEメールマーケティングを検討もしくは試行されているところもあるかもしれません。今の時代、Eメール環境はたいていの企業に備わっていますし、極めて低コストな手法だと思われているかもしれません。うまく活用すれば、それなりの成果が得られるのも事実です。

「Eメールマーケティングをしたいので、ウェブからの問い合わせメールを集めて、送信先リスト(メーリングリスト)を作りたい」という依頼を頂くことがあります。ウェブ側でそうしたデータベースを作る仕組みは簡単にできますし、仮に仕組みがなくても、実はOutlook(Microsoft社製メールソフト)自体に自動的に作成してくれる機能があります。つまり、多くの企業で使われているOutlookさえあれば、ノンコストでそうしたデータベースが作れるわけです。そして、このデータベースを元にメーリングリストを作成し、BCC(非表示での複製送信)欄に入れて送れば、一瞬でDMが送信できます。メールの開封率を上げるために、送信先の氏名などを件名に入れたいのであれば、簡易的なカスタムシステムを開発すれば済みます。そういうソフトも存在します。いずれにせよ、技術的には難しいことではありません。


スパムメールだと認識される恐怖


原則としては、こうした大量送信メールは、オプトイン(受信者が受信を承諾すること)された送信先でなければ、送ってはいけないはずです。しかし現実には、未承諾であっても勝手にメールを送りつけてくる、いわゆるスパム(迷惑)メールが氾濫しています。そしてこのスパムメールを撲滅しようと、ISP(インターネットサービスプロバイダ)やホスティング各社は、規制をどんどん強化しています。

その結果、規制に沿った設定になっていないメールサーバー(送信元)を介して送信された場合、その時点でスパムとして認識されることがあります。困ったことに、アメリカの基準が必ずしも日本と同じではないため、しばしば日本からのメールがスパム扱いされてしまいます(日本側のメールサーバーの設定の甘さが原因だったりもするのですが)。

また、メールを受け取ったユーザーが「このメールはスパムだ」とISPへ報告することもできます。その報告に基づいてメールがスパムだと認定された場合、その送信元がスパムの元凶だと見なされます。この仕組みを悪用しようとする輩(やから)が現れ、見込み客に成りすまして競合他社のメーリングリストに入りこみ、送信されてきたメールに対してスパム報告をしたら、どうなると思いますか?

スパムメールの元凶と見なされた送信元のIPアドレス(インターネットに接続する各コンピュータに割り当てられた独自の認識番号)はブラックリストに載り、その情報は全世界的に共有されます。いったんブラックリストに載ってしまうと、たとえそれが誤りであっても、かなり厄介です。その送信元から送られてくるメールは全てスパムと見なされ、ブロックされてしまうのです。もしもその送信元が、貴方の社内のサーバーだったとしたら、どうですか? かな〜り恐ろしいですよね? 通常の業務メールが相手に一切届かないという事態になるのですから。


「もしもの時」を考えないで、本当にプロですか?


ですから本来であれば、大量送信を行うメールサーバーは、通常のメール用とは別に用意します。送信代行の業者が存在するのもそのためです。通常のメール用のサーバーで大量送信をしていたら、もしもの時に、ビジネスに致命的な支障を来すからです。繰り返しますが、メールの大量送信は技術的には極めて簡単です。ただし、簡単だけれども、あえて実行しない方が良い理由もあるわけです。

Eメールマーケティングサービスを謳っている日系業者をたまに見かけると、送信元が、自社もしくは顧客のサーバーだったりします。つくづく、知らないってのは恐ろしい……と感じさせられます。もしもの時には、そのツケを顧客に回すのでしょうから、目も当てられません。