知らないってのは恐ろしい② –本物は一握りしかいない編

前回、ウェブマーケティングを本当に実践できるIT業者は、全米でも一握りしかいないことに触れました。そして日系業者の作る“英語サイト”の痛さにも言及しました。もしも新規にローカルの米市場開拓を目指すのなら、米系競合他社とやり合えるだけの英語力が必要最低条件になりますが、その時点で既にほとんどの日系IT業者は落第だと思います。日系コミュニティー内では充分な競争力を発揮しても、非日系マーケットに対しては無力に等しい業者は少なくありません。


本当にできるなら、なぜ自分でしない?


これは以前、我が社のレイアが連載「やさしく解説 ウェブマーケティング」で書いていたポイントですが、もし本当にマーケティングを実践できる業者であれば、自らのビジネスでまずその能力を活用しているはずです。例えばウェブ制作業者なら、自社のサイトを使って客を集めていてもよさそうなものです。ところが実際は、電話や飛び込み営業、雑誌広告といった昔ながらのマーケティング手法で集客している業者がほとんどです。それ自体が悪いわけではないのですが、自社の集客にサイトを活用できないウェブ制作業者が顧客のサイトを作っても、いったいどう貢献出来るのかという疑問が浮かびます。皆さんが業者の力量を測る上でヒントになるのではないでしょうか。

これは日系に限ったことではなく、米系の競合他社と我が社がコンペになるケースでもよく見られます。効果的なウェブマーケティングを顧客に提案しているのに、自社のサイトは誰も存在すら知らなかったりする業者がいるわけです。またよくあるケースとして、米系で特に多いのですが、「御社のウェブサイトを調べたところ、改善すべき点がたくさん見つかりました。検索ランキングをアップさせたければ、私どもにSEO(検索エンジン最適化)をお任せください」という主旨のEメールを送り、営業を仕掛けてくる業者がいます。

我が社がSEOを手掛け、既に検索結果のトップに表示されているサイトにもこうしたメールを送りつけてくることから、信憑性が薄いことはうかがい知れます。「どんな業者なんだろう?」と思い調べてみると、検索エンジンではほとんどヒットしない自社サイトを持っていたりします。だからこそメールで集客しようとしているのでしょう。逆に言えば、こういう業者はウェブマーケティングは不得意でも、Eメールマーケティングなら得意なのかもしれませんね(笑)。


全国大会ならどうなる?


さらに広い市場を求めて、全国規模でマーケティングを展開する場合、それが例えば非日系マーケットあるいは日本本国だとすれば、手っ取り早いのはやはりウェブの活用でしょう(テレビCMなどを打つ予算がない場合は特に)。ただその場合、戦いは全国規模になるため、競争のレベルが上がり、そこで戦えるだけのスキルが必要になります。集客には色々な方法があり常に進化していますが、やはりまだPPC(クリック課金型広告)やSEOを超えるものはありません。つまり、PPCやSEOを駆使し、検索エンジンの少なくともトップ20以内、実質トップ5以内入りを競うことになります。こうした狭い門を突破できるIT業者が一握りしかいないことは、実感していただけるかと思います。

検索エンジンをマーケティングの軸にした場合、全国規模を狙えば確かにパイは大きいのですが、集客という面では結局トップ5以内に限られてしまうため、一握りの勝ち組と大多数の負け組という図式になります。ここがローカルマーケティングとの大きな違いでしょう。ローカルマーケティングなら「サービス・商品名」+「地域」を限定するキーワードでの上位表示で集客することになります。言い換えると「地域」毎に皆にチャンスがあるわけです。一方全国の場合、「サービス・商品名」だけでの検索で上位表示させて集客しなければならないことが多く、勝ち組に入れる条件が非常に限定されてしまうわけです。

たまに「全国規模で1ワードのみのSEOをして欲しい」という依頼を受けることがあります。つまり、全国テレビ放送のCMに匹敵する効果のあるマーケティングが求められているわけですが、その予算がローカル誌への広告掲載程度な場合も少なからずあり、困惑します。

なお近年、PPCやSEOと異なり、検索エンジンを軸にしないマーケティング手法が出てきています。メインにはできなくとも、併用すれば面白い手法があるので、いつか本連載で触れたいと思います。

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