2010年9月10日金曜日

あなたは既製服派? オートクチュール派?

販売管理や財務管理などシステムには大きく分けて、パッケージソフト(市販品)とカスタムソフト(オーダーメイド)の2種類があります。両者の違いを例えるなら、パッケージソフトはデパートで売られている既製服です。サイズもS、M、L、XLのように汎用的に用意されており、購入者の体にジャストフィットはしなくとも、そこそこ快適に着られ、予め用意された色や柄からある程度好みに近いものを選択できるので、大きな失敗はし難いといえます。何より量産されているのでリーズナブルに購入できます。

一方、カスタムソフトとはオートクチュールの1点モノ。着る人に合わせて寸法は調整されるので、完璧にフィットします。色や柄も完全に思いのままです。とはいえ、出来上がりを事前に確認するにしても限界があるため、もしかしたら気に入らないものが出来上がってしまう可能性も含んでいます。値段は、もちろんかなり高くなります。

アメリカはご存知の通り合理主義の国です。特に米系企業の場合、業務がシステムに多少フィットしなくても、むしろ「システムに業務を合わせてしまえ」というぐらいの発想を持ちます。ですから圧倒的にパッケージソフトが利用されます。一方で日本は、こだわりの国なのか、どんな痒い所にも手が届くよう、業務に完全にフィットするシステムを追及する傾向が強いです。ですから「業務にシステムを合わせる」カスタムソフトが根強いといえます。

どちらを使うのが正解なのか?

カスタムは、コストが高くつくばかりでなく、実際には使えない・運用に乗らないという事例が山ほどあります。その原因については、本連載で何度か触れてきた通りです。しかし、実はパッケージであっても、やはり導入がうまく行かない例も多々あるのです。

例えばPeachtreeやQuickBooksといった初心者用会計ソフトを使用していた企業が、いきなりGPやSAPのような本格的なERP(販売・仕入・財務・給与・人事・生産といった様々な管理業務を統合したシステム)を導入しようとしても、むしろその会社に不要な機能が多すぎて、オーバースペックにしかなりません。例えるなら、南カリフォルニアに住む友人に高級な毛皮のコートを贈るようなものです。またカスタムに比べると柔軟性も限られてしまうため、結局、自社の業務に合わない部分を無理して我慢して使っていくか、高額の費用を投じて可能な範囲でカスタム化を行うことになります。またERPともなると、どんなに安くとも数十万ドルからの世界ですので、決してリーズナブルというわけでもありません。

ちなみにGPはMicrosoft社製のERPですが、運用に乗らない事例が多発し、実は悪評も高いのです。その点SAPは安定感はありますが、金額は更に1桁違います。在米日系IT業者の中には、なぜかGPをしきりに導入したがる所があるようですが、Microsoft社はGPだけでなく、過去にヨーロッパでかなり好評を得ていたNavision社のERPも買収して販売しています。また、もっと安定した実績のある他社製のパッケージもあると思うので、なぜGPにこだわるのか、私には不思議でなりません。

システム自体が生み出す競争力

カスタムであれパッケージであれ、運用に乗せられることを前提に話すのならば、カスタムの最大の利点は、他社との差別化が図れることだと思います。独自のビジネスロジックなどをシステムで実現することで、その企業は競争力を高めることができるのです。

一方、パッケージの場合、他社もお金さえ出せば同じシステムを容易に持てるため、システム自体が競争力を生むことにはなりません。私はこの違いが大きいと考えています。事実、我が社に依頼のあるカスタムシステム開発では、クライアントの求める仕様にかなり独自性が含まれていることが多く、同業他社にはない優位性をシステムが確立することになるケース
が多々あります。

言い方を換えるならば、そうした独自性、特異性がないビジネスであれば、リーズナブルで身の丈にあったパッケージを探す方が得策かもしれません。

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