2009年4月29日水曜日

大金をかけたシステムが使い物にならない!その1

いきなりですが、「システム」って何だか知ってます?

IT業界ではこの言葉をよく耳にします。一般の方には馴染みが薄いかもしれませんが、知らないうちに誰もが利用しているものです。YahooやGoogleなどの検索エンジン、amazon.comに代表されるショッピングサイトなどは、全てシステムで作られています。用途に合わせて様々なシステムがあり、レストランで店員さんがタッチパネル式の機械に注文を登録しているのもシステムです。店員さんは、あらかじめ登録されていた料理名を画面に呼び出し、注文を入力します。

こうして入力されたデータは全て「データベース」という情報の格納庫で管理されます。データベースは情報の詰まった大きな箱です。ただ、それだけではあまり役に立ちません。情報を便利に使えるように、プログラミングして操作画面を改良したり、必要な情報を印刷できたりするようにします。書類をダンボール箱に溜めておくだけでは、後で探す際に不便ですよね。内容ごとにフォルダに挟み、付箋を付けておけば分かりやすくなります。このダンボール箱がデータベース、フォルダや付箋が操作画面だと考え
とイメージしやすいでしょうか。

このように、データベースや操作画面を用意する一連の作業を、システム開発と呼んでいます。

2次請け、3次請けは当たり前

日本にいた頃のことです。ある会社が、販売管理システム(取引先からの注文や仕入先への発注を始め、売上、在庫、請求、入金、支払などを管理するシステム)の開発を、あるソフト会社に依頼しました。しかし、そのソフト会社には開発できる人材がおらず、システムの設計と開発を、それぞれ別の2社に外注したのです。

これは、IT業界にはよくある話です。規模の大きい仕事であるほど、実際に開発を行う業者は2次請け、3次請けというのは当たり前で、一説には、直請けだけで仕事のできている業者はわずか5%以下とも言われています。ですから、開発の多くはエンドユーザーの声の届かないところで行われがちで、その弊害は少なくありません。

第一声は「遅っ!」 唖然とする現場

取引先からの注文をシステムに入力する際は、「何の商品を幾らの価格で何個」という情報を入力します。「何の商品」かを入力する場合、あらかじめ登録された商品情報から該当する商品を呼び出して指定します。ですから、納品された販売管理システムには、商品情報を照会する機能がありました。ところが、この機能がとてつもなく遅いのです。商品を一つ選択するのに5~10分も要すのでした。プルダウン(ドロップダウン)式だったのですが、クリックした後、しばらくじっと待つ必要がありました。毎日大量に注
文を入力するわけですから、これでは使い物になりません。

動作が遅い理由は、登録されている商品数が数万件にも及ぶためでした。一般的にプルダウン式の場合、リストに表示させる全情報を、ユーザーがクリックする前にデータベースから取得しておきます。ですので、リストに数万件も表示させようとすれば、時間がかかるのは当然です。そして、そもそも数万件の中から、人間が視認して一件選ぶこと自体、非現実的です。

ではこれは誰の責任でしょう? システムの開発を始める前に、どれぐらいの商品数を取り扱うものなのか当然理解しておく必要があります。このケースでは、エンドユーザーとやり取りをしていたシステムの設計者は、それを理解していました。しかし、実際に開発を行う別の業者には伝えられていなかったのです。しかしプロならば「どういう状況でどう使用されるシステムなのか」正しいイメージをつかんでから開発に入るべきです。ちなみにこのシステム、1500万円の開発案件でした。そんな規模の仕事なのに、こんな程度のデキだったのです。

しかし驚いてはいけません。実はこれは、同じシステムの2回目の開発だったのです。1回目の開発でも失敗し、再度クライアントに予算をとってもらって行った仕事だったのでした……。

2009年4月16日木曜日

ITには人を救う力があるはずなのに

初めまして。ACE Inc.の代表、日比野と申します。IT業界に身を投じて12年、アメリカで起業して8年が経ち、これまでずっと胸の内に秘めてきた思いを実現すべく筆を執りました。

その思いとはズバリ「不透明なIT業 界を丸裸にすることで、横行する悪徳サービスを排除し、企業や個人が本来受けてしかるべき正しいサービスを受けられるようにすること」です。

そのためには、サービスを受ける側の皆さんに正しい予備知識を持ってもらうことが必要だと思います。といっても難しい技術論を説くつもりはありません。一般の方にも分かりやすく、知っていて損はない有益な情報をお届けします。

ダークな業界

ご存知の通り、この国は今、ひどく痛んでいます。毎日のように企業の倒産、大量リストラのニュースが流れ、街ではオフィスリースの看板がやたらと目に付きます。どうやってこの国は立ち直れるのか? 誰も気に病んでいることと思います。

ITの底力に魅了された一人として、私はITの真価をもっと人々に実感してもらいたい。うまく活用できれば、ITには本当に企業を、人を救える力があるからです。

そもそもITとは何か? 日本語に訳すと「情報技術」ですが、要は、コンピュータやネットを利用した様々な情報の活用技術を指します。今やITは、企業や個人にとって必要不可欠なものになりました。例えば、一見ITとは無縁に見えるお寿司屋さんであっても、売上・仕入管理が必要ですから、会計ソフトをお使いだと思います。また、個人のEメールやインターネット利用者数は莫大な数字です。このように日常的に利用されているITですが、一般の方には知られていないダークな側面もあり、それが業界の悪しき習慣を生み出す要因の一つになっています。

これから私は、自分の様々な体験や業界の裏話をお話ししていきます。読者の皆さんに業界の実態を知っていただき、いつか何かのお役に立てて欲しいと願っています。

高いレベルでの競争が必要

ところで皆さんはIT業界に対してどんなイメージをお持ちですか?

企業の方であれば「サービス料が高い」「約束と実際の効果が違う」「煙に巻くような説明なので信用できない」など、何かしらネガティブなイメージをお持ちの方も少なくないのでは? 正直、私自身、日本時代も含め良い話を聞いたためしがありません。

「ホームページを作成してもらったが、ビジターがほとんどなく何の効果もなかった」
「大金を払い業務管理システムを導入したが、使い物にならず眠ったままだ」
「使えないシステムに毎月費用を払い続ける羽目になり、社内責任者はクビになった」などなど。

一方、学生さんや転職を考えている人は、IT業界に対し「最先端ビジネス」「高収入の成長産業」といったポジティブなイメージをお持ちかもしれません。

しかし、不透明な業界ですから、実際に足を踏み入れないと実像が見えてこないのも事実です。そして不幸にも(?)踏み入れてしまった人は、もしかしたら数年後に「何てインチキでデタラメがまかり通った世界だ」と落胆されるかもしれません。

ITが本来持つ素晴らしさに気づき、それを人々に役立てたいという希望に満ちた方であれば、なおさら私は最初に釘を刺しておきたい。あなたが感じているITの価値はきっと正しい。ただその価値を実現するために、あなたが努力して習得すべき技術の量も半端ではなく、もし半端な知識のまま仕事をしようもなら、たちまち、IT企業の悪名をばらまく側に回るということを。

ともかくIT業者に悪評はつきものです。目を覆いたくなるようなサービスが横行し、残念ながらモラルも欠如しています。私はIT業界の悪評を払拭していきたい。そのためには、少しでも高いレベルでの競争が行われる必要があります。

各社が切磋琢磨し、ITが持つ本来の力を存分に発揮して社会に貢献できるようになれば、たとえ自分自身の首を絞めることになったとしても、結構ハッピーではないかと思うのです。いきなり大風呂敷を広げてしまった感は否めませんが、とりあえず今回はご挨拶ということで、以後、お見知りおきを。