2009年5月15日金曜日

大金をかけたシステムが使い物にならない!その2

前回、1500万円をかけて開発したシステムのひどい出来具合についてお話ししました。そのシステムは、取引先からの注文や売上、在庫などを管理する販売管理システムでしたが、画面で商品を1つ選択するのに5~10分もかかるお粗末さだったのです。

さらに驚くべきことに、そのシステム開発は2回目でした。既に一度、同じく1500万円をかけた最初のシステム開発が失敗に終わっており、再度クライアントに予算を取ってもらった上での失敗だったのです。

あまりにも高い授業料

常識的に考えれば、最初に失敗した段階で、クライアントもそのソフト会社に見切りをつけると思いますよね? そうしなかった理由の1つに、最初のシステムへの投資が失敗だったことが上司に知られたら、責任問題に発展し、担当者がクビになる可能性が高かったという事情もあったのだとか。そして、そのシステムの開発費は当時の相場で3000万円程度であり、たとえやり直して費用が倍になってもまだ相場並であるため、何とかやり過ごせたということもあるようです。

ところで、私がなぜこんな話を知っているかというと、何を隠そう、日本で私が入社したソフト会社こそ、このクライアントからシステム開発を請け負った業者だったのです。ただ、その時点では自社内で開発するだけのスキルがなく、実際の開発を下請け業者に外注したのでした。

私が入社したときは、すでに2回目の開発の終盤でした。1回目の失敗については、「こんなことがあった」という程度に聞いていただけですが、要は下請け業者から納品されたシステムを実際に動かそうとしたら、考えられないくらいにバグ(不具合)があり、とても使えるものではなかったそうです。もちろん2回目の開発では下請け業者を変えました。しかし、どの業者も似たり寄ったりで、2回目もトラブルの連続となったのです。


入力ミス厳禁なシステムって……

販売管理システムでは、売上登録を間違ってしまった場合、売上キャンセル処理(日本的な表現では赤伝処理)を行えるのが普通です。例えば100ドルの商品を1個売上登録した後でそれが間違いだったことに気づいた場合、100ドルの商品をマイナス1個売り上げたと登録して、商品の数量も売上金額も相殺して帳尻を合わせるわけです(マイナスの伝票は赤字で記入するため、赤伝処理と呼ばれているのだと思います)。

ところが下請け業者が納品してきたシステムには、この赤伝処理機能がなかったのです。それに気づき、機能を追加するよう依頼したところ、「その話は聞いていなかったから追加開発費を出せ」と言ってくるのでした。クライアントに「入力は絶対に間違えられません」とも言えず、泣く泣く追加費用の要求を呑んだとのことですが、次に出来上がってきたものを試してみると、数量だけがマイナスになるのです。商品の在庫数の帳尻は合いますが、売上金額は倍増してしまいます。「金額が合わなくなるので修正して欲しい」と伝えると、「指示を受けたのは数量のことだけ。その仕様は既に満たしている。再修正が必要なら追加開発費をさらに出せ」と来たそうです。ソフト会社が儲かるはずです……。

皆さんはこんな話を聞いたら、よほど特別なケースだと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろこんな話ばかりのIT業界なのです。実際、私がアメリカに来てからも、赤伝処理機能がないまま開発されたシステムを見たことがあります。それを使っていた現場の方は「入力を間違えられないんだよね」と嘆いているだけで、それはそれですごいと思いましたが、ここで改めて申し上げます。「そんなシステム、決して普通ではないですよ」

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